古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

1カ月検証!キャッシュレス決済はトクなのか クイックペイやLINE Payをフル活用の結果…

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2019/03/19 07:50 松崎 のり子
消費増税後の消費冷え込み対策として、キャッシュレス決済をすればポイントバックをするというが…キャッシュレスに変えれば本当にオトクなのだろうか?(写真:YakobchukOlena/iStock) © 東洋経済オンライン 消費増税後の消費冷え込み対策として、キャッシュレス決済をすればポイントバックをするというが…キャッシュレスに変えれば本当にオトクなのだろうか?(写真:YakobchukOlena/iStock)

 3度目の正直か、消費増税がいよいよ2019年10月に実施されそうだ。生活に欠かせない飲食料品は軽減税率の対象になるとはいえ、外食は対象外だから牛丼もハンバーガーもイートインコーナーで食べるお弁当も税率10%に上がる。食品だって、原材料費やら配送費やらのあちこちに増税分がのっかるわけだから、結局はじわじわ売り値が上がっていくだろう。我々の生活にダメージであることは間違いない。

 そうした増税後の消費冷え込み対策として、政府はキャッシュレス決済をすれば最大5%のポイント還元をすることを打ち出した。クレジットカードやデビットカード、電子マネー、コード決済などで代金を支払えば、中小企業の店舗なら5%、フランチャイズのコンビニ店なら2%、というようにポイントをバックしてくれるという。

一般消費者のメリットは実際どうなのか

 今の制度設計では、一般消費者が買い物をすることが多いデパートや大手スーパーは還元の対象から外れると思われるが、彼らも売り上げの落ち込みを防ぐべく、自前でポイント施策を打ってくる可能性は高い。とにかく街中にさまざまなポイントがあふれることになりそうだ。

 「現金派」VS「キャッシュレス派」と対抗軸で語られることが多いこの2つ。キャッシュレス派の言い分としては、手元に現金がなくてもATMで手数料を払って引き出す必要がない、会計もスムーズに進み小銭も要らず財布がすっきりする、さらには支払った記録が残るので家計の管理も楽になる、というあたりが聞かれる。もっと言うなら、キャッシュレスはグローバルスタンダード、現金主義の日本は後進国だ――と。

 このあたりは重要なポイントではあるだろうが、今回の本題はそこではない。ズバリ、キャッシュレスにしたら、本当にオトクなのだろうか。現金で払うのと比べ、どれほど違うのか。それが一般の消費者にとっていちばん大事ではないかと思うからだ。

 店舗にとって現金を扱わないほうがレジは楽になるし、省人化にもつながるのは言うまでもない。しかし、我々にとってのメリットは実際のところどうなのか。ゴリゴリの現金派である筆者が、ひと月の間、払えるところはすべてキャッシュレス払いを試してみた結果をご紹介する。

 今回は筆者が現金払いをしている生活費(主に食費、日用雑費、外食費、交際費)をキャッシュレス決済に変えて検証することにした。

 そのためにはまず、普段利用している店で使えるキャッシュレス手段が何かということをリサーチしなくてはいけない。どの店でも同じツールが使用可というわけではないからだ。

 加えて言えば、その店舗で使えるうちで、いちばんオトクそうな支払いツールを選ばなくてはならない。すでにキャッシュレスで支払っている皆さんのように、「Suicaなら全部払えていいじゃないか」とか、「なんでも高還元率カードで払うのがベスト」というわけにはいかないのだ。

 例えば、クレジットカードは、1%以上ならまあまあ高めの還元率だといわれる。しかし、たとえ1%以下であっても、自分がいつも利用するデパートや駅ビル、スーパーのカードのほうがメリットがある場合が多い。割引の対象になったり、貯まったポイントがそのままレジで使えたり、利用額に応じてボーナスポイントがあったりと、お得意様に優しいからだ。いくら高還元率のカードでも、付与されたポイントが自分の生活圏で使いにくければ、節約にはストレートには役立たない。

 そのため普段、食料品を買っているスーパーでは、そのグループが発行するクレジットカードで払うことにした。貯まったポイントは、そのスーパーで現金代わりに使えるので、最も節約になるからだ。

 別の店では電子マネーが使えるとの表示があったため、楽天Edyで払うことにする。Edyは200円の支払いにつき楽天スーパーポイントが1ポイント貯まるスタンダードなものだ。ちなみに、貯まった楽天スーパーポイントは再びEdyにチャージして使うこともできる。

 ほかにも、時々利用するイオン系のスーパーがあった。イオンでは電子マネーWAONの支払いがメジャーだが、筆者は保有していないため迷ったが、よくよく確認するとクイックペイが使えるとある。

 クイックペイは電子マネーの一種で、クレジットカードにひもづけておくとそこから代金が決済される。スマホならアップルペイやグーグルペイにクレカを登録しておき、「クイックペイで支払います」と告げれば利用できる。後からわかったが、この「クイックペイで」はかなり汎用性があった。電子マネーが使えるとの表示のある店なら、大体対応していることがわかったのも収穫だった。

 なお、イトーヨーカドーでは、やっぱりnanacoが便利かなあと思い、それを使うことにした(後にクイックペイで払えることもわかった)。

 食品を買うスーパーだけでも、クレカ、楽天Edy、クイックペイ(モバイル決済)、nanacoの4つのツールを使い分けなくてはいけない。キャッシュレス生活への道のりはスタートから準備の手間がかかる。

コード決済アプリの思わぬ落とし穴

 最近大流行りのコード決済アプリ、つまりバーコードやQRコードを読み取る形での決済も、もちろん使う。よく買い物するドラッグストアでは、楽天ペイ、d払い、LINE Payの3種類が使える。うち、LINE Payはコード払いに対し還元率に3%上乗せしていたり、キャンペーンで20%還元を実施していたりとサービス満点だったので、ドラッグストアではLINE Payで払うことにした。

 この鳴り物入りのコード決済、これで支払おうとすると実際にはめちゃくちゃやることが多い。節約派なら当然のように、店独自のポイントカードも使うだろう。筆者が買い物したのはツルハドラッグだが、会計時にツルハ会員のポイントカードを出し、さらにダブルで貯まる楽天ポイントカードを出し、そのうえでスマホのロックを解除し、アプリを立ち上げ暗証番号を入力し、バーコードを表示してレジで読み取ってもらう――と、両手だけでは追いつかない。

 さらに、現金だけのオペレーションと異なるために、レジも作業の流れが一瞬止まる。決済データ通信を待ってからレシートが発行されるため、ブランクの待ち時間が生じ、筆者の後ろにレジ待ちの列ができてしまった。皆さんごめんなさい。

 コンビニでも以前PayPayでコード決済をやってみたが、スマホで決済すると財布を出さないですむが、受け取ったレシートを入れるためにわざわざ財布を出すというアクションが必要になる(レシートを財布に入れない人もいるだろうが)。これも意外に面倒だ。

 ちなみに、PayPayの支払いで、店が提示するQRコードを読み取る方式(ビックカメラなどがこれ)では、読み取ったあとに自分で払う金額を打ち込み、レジの方に確認をしてもらい…と、かなり時間がかかる。これでいいんですか、と確認しながら支払いするので、コード決済の普及でレジがスムーズになるかどうかは相当疑問だ。

100円ショップでも観光地でも…クイックペイが最強

 ひと月の間、買い物するたびにレジを凝視し、「ここなら何で払えるのかな」を観察する癖がついてしまった。外食先でも、100円ショップでも、旅行先でも同様に、払えるものはキャッシュレスで支払った。

 結局、いろいろ試した結果、筆者の利用環境ではクイックペイ払いが最も汎用性が高かった。100円ショップ(ダイソー)でも、沖縄で立ち寄った道の駅でも、クイックペイ払いが使えたのだ(ただし利用できるかは店舗によって異なる)。

 むろん、クイックペイが使える場所なら、交通系マネーやWAON、nanaco、楽天Edyも使えることが多い。それでもクイックペイを使ったのは、アプリを立ち上げなくてもスマホで端末にタッチするだけでいい手軽さと、ポイントの二重どりのためである。なんといっても、これは節約検証なのだから。

 筆者の行った方法は以下の通り。使用しているスマホはAndroidなので、グーグルペイを使っている。そこにクイックペイの支払い元としてKyashのカードを登録する。Kyashはプリペイド式のバーチャルVISAカードで、これで支払えば代金の2%がキャッシュバックされる。

 とはいえ必ずしも事前チャージする必要はなく、Kyashのチャージ元としてクレジットカードをひもづけておくと、支払った代金はそのカード経由での引き落としとなる。そのため、Kyashとクレカのポイントを二重に稼げるというわけだ(ただし、この方法はグーグルペイのみ対応)。

 こうして、kyash+クレカをひもづけたクイックペイで、できるところでガンガン支払ってみた。レジで決済データ待ちの間しばらく間があくのはどこでも同じだが、それでもスピーディなほうだと思う。

で、どのくらいオトクになったかといえば…

 こうして1月の半ばからひと月の間、できる限りのキャッシュレス生活を送ってみた。各ポイント還元の結果もだいたい出そろい、どのくらいの付与になったかを発表したい。

 ちなみに、キャッシュレス決済で使った総額は約5万5000円。対して、付与されたポイントは以下の通り(ポイントが確定されてないものもあり、概算含む)。

・スーパー提携クレジットカードで146ポイント(1ポイント1円で会計に使える)

・クイックペイ経由のクレジットカードで220ポイント(共通ポイントに交換して、1ポイント1円相当で使える)

・楽天Edyで32ポイント(1ポイント1円で、Edyにチャージして使える)

・nanacoで23ポイント(1ポイント1円で、nanacoにチャージして使える)

・LINE Pay104ポイント(1ポイント1円で、LINE Payで使える)

・Kyashで256ポイント(1ポイント1円で、Kyash残高にキャッシュバックされる)

とまあ、無理やり合計すれば781ポイントだが、使った決済ツールもいろいろなため還元されたポイントも見事に細かい(これらの還元されたポイントは、わざわざ交換しない限り同じ決済ツールで使用することになる)。

 とはいえ、現状では仕方がない。利用する店ごとに使える決済手段は違うし、「ここではどの決済方法がいちばんオトクなのか?」と考えてしまうと、使うツールもその都度変わる。たとえ、1つに絞っても、別の決済ツールで高還元率キャンペーンが展開されれば迷わされるのが人情だ。

 ポイント還元率にも落とし穴がある。たとえ率が高くても、払った金額が小さければ還元されるポイントも小さい。ドラッグストアで1000円程度の買い物をして、還元されるのは3.5%なら35円。つまりは、たくさんお金を使うタイプの人ほどメリットがあるが、節約派にとっては手にできるオトク度は小ぢんまりとしたものなのだ。

 消費増税になる10月以降は、短期的かもしれないがポイント還元での大盤振る舞いも予想され、今の計算よりはオトク度は少し増えるかもしれない。しかし、目先の還元率に目を奪われ、決済ツールをバラけさせてしまうと、今回の検証と結局同じになってしまう。決済ツールをなるべくまとめることがオトクへの道だろう。

 なんでも航空券のマイルにしてしまう、マイル教の人がうらやましい。マイルだけが目的で、目移りせず一途に修行に励めるのだから。いったん帰依したら、そのトクの神を信じ抜くことができる人が、キャッシュレス社会を生き残っていけるような気がした。

東洋経済オンラインの関連記事

東洋経済オンライン
東洋経済オンライン
image beaconimage beaconimage beacon