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【国民年金】納付率の上昇が今後も続けば、財源不足が問題に 「消費税率」の引き上げ延期ができなくなる訳とは

マネーの達人 のロゴ マネーの達人 2017/07/16 木村 公司

2017年6月30日に厚生労働省から、次のような計算式で算出される、2016年度の国民年金の納付率が発表されました。

(実際に保険料が納付された月数 ÷ 保険料を納付する必要のある月数)×100

なお保険料の納付を全額免除された月数や、保険料の納付を猶予された月数などについては、「保険料を納付する必要のある月数」から除外されるので、これらが増えた場合にも、国民年金の納付率は上昇していきます。

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その発表によると2016年度の国民年金の納付率は、前年度比で1.7ポイント上昇し、65.0%だったそうです。

この結果に対して、まだ3人に1人が保険料を納付していない状態と、厳しい意見を言う方がおりますが、個人的には一定の評価をすべきだと思いました。

その理由として過去最低の納付率だった2011年度の58.6%から、5年連続で上昇しているからです。

納付率の上昇が始まった2012年度に、安倍首相が政権に復帰へ

納付率の上昇の始まりとなった、2012年度を振り返ってみると、2012年9月に安倍首相が自民党の総裁に復活し、また同年12月には内閣総理大臣にも復活しました。

それからは皆さんもご存知のように、「アベノミクス」という経済政策を打ち出し、日本経済は回復していきます。

この数年はアベノミクスの勢いに陰りが出ておりますが、失業率は低下を続けていき、最近は人手不足が社会問題になっているのです。

失業率の低下と賃金の引き上げが、納付率を上昇させる

新聞などを見てみると、納付率が上昇した要因について、次のようなものが挙げられております。

・ 日本年金機構が保険料の強制徴収を強化

・ 納付猶予の対象者を、30歳未満から50未満に拡大(2016年7月)

・ 短時間労働者に対する、社会保険の適用拡大(2016年10月)

ただ個人的には安倍首相が政権に復帰してからの、日本経済の回復などによって、失業率が低下し、それに加えて人手不足から賃金が引き上げされたので、国民年金の保険料を納付できるだけの収入がある方が増えたというのが、一番の理由ではないかと思うのです。

このような状態がこれからも続いていくなら、国民年金の納付率は更に上昇していくという、希望が持てるのではないでしょうか?

こども保険の創設による保険料の値上げが、納付率を下降させる

順調に上昇している国民年金の納付率が、再び下降してしまう要因があるとしたら、小泉進次郎衆議院議員らが作る「2020年以降の経済財政構想小委員会」が創設を提言した、「こども保険」ではないかと思うのです。

こども保険が創設された場合には、未就学児に対する児童手当を月5,000円増額するため、国民年金の保険料は月160円くらい値上げされます。

この後にも段階的な値上げが続き、最終的には未就学児に対する児童手当を月2万5,000円増額するため、国民年金の保険料は月830円くらい値上げされます。

これだけ保険料が値上げされると、例えば値上げの恩恵を受けられない独身の方は、保険料を納付しなくなるかもしれません。

ただ2017年7月2日に実施された東京都議会議員選挙で、自民党が惨敗したことにより、こども保険のような国民に負担を与える改正は、実現が難しくなった気がするのです。

マイナンバーとLINEの提携が、保険料の納付率を上昇させる

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≪画像元:内閣府 マイナポータルとは[http://www.cao.go.jp/bangouseido/myna/index.html#LineRenkei]≫

その一方で国民年金の納付率が、更に上昇していく要因について考えてみると、先月に政府から発表された、マイナンバーとLINEの提携が挙げられます。

この提携によりLINE上で、マイナンバーカードで受けられるサービスが紹介されたり、またLINEからマイナンバーの個人向けサイトである「マイナポータル」に、簡単にアクセスできるようになったりします。

なぜこれによって国民年金の納付率が、更に上昇していくのかというと、保険料の免除に該当する可能性のある方に、マイナポータルを通じて、免除手続きに関する情報が提供されるようになるからです。

またマイナポータルを通じて、免除申請ができる仕組み(通称「ワンクリック免除申請」)が導入されるため、免除手続きが簡単になるからです。

老齢基礎年金の2分の1は、税金を財源にしている

日本の公的年金(国民年金や厚生年金保険など)は原則的に、現役世代から徴収した保険料を、その時点の年金受給者に年金として配分する、「賦課方式」という仕組みで運営されております。

ただすべての年金受給者に配分するには、保険料だけでは足りないので、税金が投入されているのです。

例えば原則65歳から受給できる老齢基礎年金の2分の1は、税金が財源になっております。

ですから20歳から60歳になるまでの40年間に渡り、国民年金の保険料の納付を全額免除され、まったく保険料を納付しなかったとしても、満額の2分の1となる老齢基礎年金を、原則65歳から受給できるのです。

ただ国民年金の保険料の納付を、全額免除されていない方が、20歳から60歳になるまでの40年間に渡って、まったく保険料を納付しなかった場合には、税金が投入されないので、老齢基礎年金は0円になってしまいます。

納付率の上昇が今後も続けば、財源不足が問題になる

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国民年金の納付率は5年連続で上昇しているので、国民年金の保険料の納付を全額免除されていないのに、保険料を納付しない方は、減っていると考えられます。

これは良いことなのですが、それぞれが受給できる老齢基礎年金の金額が増えるので、投入する税金も増やす必要があるのです。

そうなると財源不足を回避するため、消費税率の引き上げをまた延期するのは、難しくなる気がするのです。

もし引き上げをまた延期するなら、「経済財政諮問会議」で議論されたように、収入が多い高齢者に対する税金の投入を減らす、つまり老齢基礎年金の金額を減らして、財源不足を回避するかもしれません。

いずれにしろ納付率の上昇が今後も続いていけば、財源不足を回避するための、何らかの対策が必要になるはずです。(執筆者:木村 公司)

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