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グーグル新スマホ「Pixel 3」は"買い"なのか iPhoneよりも「AI」に対してアグレッシブ

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/10/11 13:00 松村 太郎
米国時間10月9日、ニューヨークで発表されたグーグルのスマートフォン「Pixel 3」シリーズ(写真:Shannon Stapleton/ロイター) © 東洋経済オンライン 米国時間10月9日、ニューヨークで発表されたグーグルのスマートフォン「Pixel 3」シリーズ(写真:Shannon Stapleton/ロイター)

 グーグルは10月9日、ニューヨークで同社のハードウェア新製品を発表するイベントを開催した。数多くのグーグル製ハードを発表したこのイベントの中で最も注目を集めたのが、独自スマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」だ。これらのスマートフォンは、11月にNTTドコモ、ソフトバンクを通じて日本でも発売される。

 価格は、有機ELディスプレー5.5インチのPixel 3は64GBモデルで799ドル(日本では税込み9万5000円)、6.3インチPixel 3 XLは64GBモデルで899ドル(日本では税込み11万9000円)だ。

 両モデルの違いはディスプレーサイズだけではない。Pixel 3のディスプレイは上下に黒い帯が入ったような形で、その部分にカメラやスピーカーなどが収められている。しかしPixel 3 XLの上部には黒い帯がなく、iPhone Xのように画面の切り欠き部分にカメラなどが収められる「ノッチ」が存在するデザインとなり、ディスプレイは画面の上部まで敷き詰められている。

注目はAI技術の徹底活用

 グーグルはAndroidと検索エンジンの人工知能(AI)技術の融合を深めている。2018年5月には、Googleアシスタントを通じて、オンライン予約を受け付けていない店舗にAIが電話をかけて予約を取る驚きのデモが行われたことは記憶に新しい。

 この機能は「Google Duplex」という名称で、11月以降、Pixelデバイスから順次提供されるという。この驚きの機能が、遠い未来ではなく来月から利用できる機能となったのだ。当初はアメリカ国内のニューヨーク、アトランタ、サンフランシスコ湾岸地域、フェニックスの各都市で、この機能を使えるようになる。

 Pixel 3の新奇性は、それだけではない。

 Pixel 3では「Call Screen」という機能が利用可能になる。この機能は迷惑電話対策として搭載されているが、Pixel 3上で相手の電話を端末内で音声認識して文字に起こし、対応を選択して音声で返信する仕組みとなっている。

 このように、Pixel 3シリーズはグーグルのAI技術をさまざまな方面で最大限に活用するデバイスだ。実際にアメリカに住んでいると、地元の番号からのロボットコールといわれる迷惑電話がしょっちゅうかかってくる。これにGoogleアシスタントが自動で対処してくれるとなれば、便利さを実感できそうだ。

 また、Pixel 3の日本向けモデルでは、Google Payがおサイフケータイに対応することになった。Suica、QuickPay+だけでなく、楽天Edy、nanaco、WAONといった電子マネーをアプリから設定して利用でき、プラグインを用いてiDにも対応する。

みんなの笑顔が揃った瞬間を撮影

 Pixel 3の魅力は、グーグルが持つ画像処理技術を最大限に生かせるカメラ機能にもある。インテルと共同開発した画像処理エンジンVisual Coreを搭載し、写真機能を向上させたほか、GoogleレンズなどのAIを用いたビジュアル検索などを実現している。

 搭載するカメラは、フロントカメラが800万画素2台、メインカメラは1220万画素1台を搭載する。しかし、メインカメラでは、ポートレート撮影に対応するほか、夜の撮影でもフラッシュなしで明るく映し出すナイトショットに対応する。

 これらの手法は、アップルが語った、機械学習処理とアルゴリズムを生かして写真の画質を向上させる「写真の新時代」の手法を、グーグルらしく突き進めて実装している結果、と見ることができる。

 iPhoneを含むほとんどのスマートフォンの最上位モデルは複数のカメラを搭載しているが、グーグルはAIによるカメラの進化をもってすれば、必ずしも複数のレンズによる高画質化は不要だ、という考えだ。

 シングルカメラでのポートレートモードは、被写体と背景を機械学習処理によって切り分け、背景側にボケのエフェクトを加える。これはアップルが、A12 Bionicの画像処理エンジンとニューラルエンジン、そして高速センサーによって、iPhone XRのシングルカメラでポートレートモードを実現した方法と同じだ。

 「Top Shot」という機能も魅力的だ。これは、写っている1人もしくは複数の人の顔が笑顔で揃っている瞬間を撮影できる仕組みだ。シャッター前後のフレームを保持している点は、iPhoneのLive Photosと同じ。ただしPixel 3では、機械学習処理によって笑顔が揃っているフレームを自動的におすすめしてくれるのだ。

 現状、グーグルもアップルも、機械学習処理による写真の進化を目指している。ただしグーグルのほうが、よりアグレッシブに、機械学習処理をカメラ機能に盛りこんでいるように見受けられる。ただしソフトウェアの問題であれば、より汎用的なニューラルエンジンを備えるA12 Bionicを搭載するiPhoneもソフトウェアアップデートによって、追いつける可能性が高いだろう。

 先進国各国では、フラッグシップモデルとしてのiPhoneの勢力は大きい。特に日本は、国内メーカーの撤退や事業縮小が相次いだこともあり、iPhoneの勢力は各国に比べて極めて高い状態にあった。ここに、グーグルが、AIを存分に生かした独自スマートフォンでチャレンジしようという流れだが、日本ではアメリカ以上に善戦する可能性がある。

日本で複数キャリアが販売する意味は大きい

 アメリカではこれまで、Pixelシリーズを直販のほか、アメリカ最大手の携帯電話ネットワークVerizon Wireless経由で販売してきた。確かにVerizonの米国における勢力は大きいが、AT&T、T-Mobileといったキャリアのユーザーを取りこぼす結果となってきた。

 しかし日本では、NTTドコモとソフトバンクが販売を行うため、これまでAndroidスマートフォンを利用してきたユーザーにとって買い替えの選択肢だ。グーグルの最先端AIを体感したいのであれば、「買い」といえるだろう。こうした乗り換えの促進を狙って、日本向けのおサイフケータイサポートを実現している、と見てよいだろう。

 グーグルは「Made by Google」のブランドで、「Google Home」シリーズやVRヘッドセット「Daydream」、Wi-Fiルーター「Google Wi-Fi」など、スマートフォンとスマートホーム向けの機器をラインアップしてきた。

 たとえばGoogle Home miniは、ファブリックに採用する色の選定だけでも100以上のライティングを変えてテストするなど、「グーグルと人とを結びつけるインターフェース」としての深くこだわりをもって製品を作り出してきた経緯がある。

 グーグルによって丁寧に作られたテクノロジーや人工知能のインターフェースは、驚きや楽しさだけでなく、心地よい生活を作り出してくれることになるはずだ。

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