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レクサス「LS」の最新進化は一体何がスゴいか 今秋発売控え先行公開された5代目を解剖

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 5日前 山本 シンヤ
新型レクサスLSの詳細を一足お先にお届けします(撮影:尾形文繁) © 東洋経済オンライン 新型レクサスLSの詳細を一足お先にお届けします(撮影:尾形文繁)

 1989年にトヨタ自動車が新たに立ち上げた高級車ブランド「レクサス」のフラッグシップモデル「LS」。日本名では「セルシオ」と呼ばれた高級セダンだ。事後対処ではなく原因を元から断つ「源流主義」をスローガンに、それまでのトヨタ車とは異なり世界基準モデルとして「ゼロ」から開発。「走る/曲がる/止まる」といった基本性能はもちろん、圧倒的な静粛性と滑らかな走り、そして高品質を実現。世界のライバルにも大きな影響を与えたといわれている。

 高度成長期以降、日本車はメインマーケットの1つである北米市場で大成功を収めているが、その評価の多くは「安くてよく走る」「壊れない」がほとんど。大衆車としては認められているものの、その上の高級車となるとアメリカ勢のリンカーンやキャデラック、ドイツ勢のメルセデス・ベンツやBMWにはまったく歯が立たなかった。

 トヨタの高級車といえば、長い歴史を持つ「クラウン」が有名だが、日本の道路環境に合わせた日本専用モデルのため一部を除き海外輸出は行われておらず、かつて北米向けのトヨタ最高級モデルはクラウンより1クラス下のマークⅡセダンベースの「クレシーダ」であった。トヨタが世界の高級車市場でガチンコ勝負をするためには、クラウンの延長線ではなく、ブランドを含めて新規開発を行う必要があった。

全面刷新の5代目「レクサスLS」は秋に正式発表

 それがLSだった。1994年に2代目、2000年に3代目が登場。日本向け仕様は3代目までセルシオとして売られていたが、2005年にレクサスブランドの日本展開がスタート。2006年に登場した4代目からは、世界共通で「レクサスLS」と呼ばれる。もちろん、性能は世代ごとに良くなったが、従来モデルのネガ潰しが多く、理論的な完成度は高いものの強い主張が見られないことや、ライバルの著しい進化などから、初代ほどの“レクサスショック”はなかったのも事実である。

 そんなLSも5代目への刷新が近づいている。今年6月26日、デトロイトショーで世界初公開された新型レクサスLSの日本仕様がお披露目された。正式発売は今年の秋を予定しているが、今回はその詳細を一足お先にお届けしよう。

 開発コンセプトは「初代LSの衝撃を超えるクルマを」、つまり、「原点」に帰ることだった。チーフエンジニアの旭利夫氏は「歴代LSは静粛性、快適性、滑らかな走り、品質の高さなどは支持された一方、 “五感に訴える”部分は弱いと思っていました。新型はラグジュアリークーペ『LC』に続く新世代レクサスとして、ライバルであるメルセデス・ベンツ「Sクラス」、BMW「7シリーズ」、アウディ「A8」よりも『ちょっといい』ではなく、『すごくいい』でなければダメです。そのためには、すべてを大きく変える必要がありました。開発するうえでのキーワードは『よりエモーショナルに』『よりエキサイティングに』『より先見的に』でした」と語る。

 その実現のためには従来の延長線上ではダメで、新規のパワートレイン、プラットフォームを並行して開発が進められたそうだ。そのため4代目は2012年に予定になかった大幅改良という延命措置が行われ、結果的に11年の長寿モデルになった。

独自性を備えたエクステリアデザイン

 エクステリアデザインは、後席を重視するフォーマルセダンでありながら6ライトキャビンのクーペシルエットを採用。ボディサイズは全長5235×全幅1900×全高1450mm、ホイールベースは3125mm。低重心かつシャープでダイナミックなデザインはライバルとは異なる独自性を備えている。

 もちろん好き嫌いが分かれるものの、ジャーマン3(ベンツ、BMW、アウディ)の後追いではない新たなチャレンジに対して高い評価を得ているそうだ。個人的にはやっとレクサスのアイデンティティの1つである「スピンドルグリル」に見合ったプロポーションに仕上がったという感想を抱いた。

 デザイン優先のエクステリアのため居住空間は、物足りないのではないか――。そう考えてしまうが、低重心パッケージかつヒップポイントを従来型から25mm下げることで必要十分なヘッドクリアランスを確保。それでも、サンルーフ付きモデルはちょっと頭上空間の余裕が少ないかもしれない。また、新型LSは標準ボディが従来のロングホイールベース仕様相当のため、クラストップのレッグスペースも特徴の1つとなっている。

 インパネ回りは上部を水平基調による「広がり感」、下部を厚みのあるコンソールやアームレストによる「安心感」を演出。

 木目やアルミなどの高級車の定番マテリアルを極力減らし、上級モデルには日本の伝統美を形にした「匠クラフトマンシップ」が随所に盛り込まれている。

 ドアトリムにはレクサスの「L」をモチーフにしたブリーツ状トリム処理は日本の「折り紙」がヒント。写真で見ると堅そうに見えるが、実際に触れてみるとソフトな感触だ。夜間に「行燈(あんどん)」をイメージした間接照明に照らされたときの陰影もまたすてきである。また、ドア・トリム・オーナメントは「切り子細工」がモチーフ。こちらも光の加減でさまざまな表情を見せる。どちらも職人の手によって丁寧に製作されている。

 フットワークはTNGAの考え方に基づき全面刷新されたプラットフォーム「GA-L(グローバル・アーキテクチャ・ラグジュアリー)」を採用。原理原則に従い、ヒップポイントを下げる、エンジンを下げる、サスタワーを下げる、全高を下げる……といった低重心化をはじめとする最適設計による基本性能の飛躍的な向上により、LSのDNAである「静粛性/快適性」はしっかりと継承しながら、ステアリングの正確性や応答性、フラットライドなど、次世代のフォーマルセダンにふさわしい乗り味を実現している。

 新型LSにはスポーティなグレードである「Fスポーツ」も用意されており、専用セットアップのサスペンションに前後異径タイヤ(フロント:245/45R20、リア:275/40R20)、アクティブスタビライザー、そして専用ブレーキシステム、VGRS(可変ギアレシオのステアリング)/EPS(電動パワステ)/DRS(リアステア)を統合制御するレクサス・ダイナミック・ハンドリング(LDH)の組み合わせによって、ボディサイズを感じさせないハンドリングとLSらしい乗り心地を両立させている。

パワートレインは?

 パワートレインを見てみよう。ガソリン車は初代から採用されてきたV8エンジンがラインナップから消え、新開発となるV6-3.5 Lツインターボエンジン(最高出力421馬力/最大トルク600Nm)+ダイレクトシフト10速ATの組み合わせ。高速燃焼と高効率ターボにより、「V8並みの動力性能」と「圧倒的な燃費性能」を両立している。

 ハイブリッド仕様はすでに発売されているラグジュアリークーペ「LC500h」にも採用されるV6-3.5L+モーター+有段ギアの自動変速機構を組み合わせた「マルチ・ステージ・ハイブリッド」を搭載。ハイブリッドの欠点といわれる「ラバーバンドフィール」をなくし、ダイレクトでスムーズなフィーリングが特徴だが、LC500hに対してラグジュアリーセダンにふさわしい滑らかな制御に変更。スペック的に見てしまうと従来のV8-5.0L+モーターに劣るものの、軽量化されたGA-Lプラットフォームと相まって、リアルワールドでのパフォーマンスと燃費のバランスは大きくレベルアップしているそうだ。

 そして、レクサス自ら「世界一安全な車」と語る先進の安全予防技術は、アクティブ操舵回避支援(世界初)や歩行者注意喚起がプラスされたプリクラッシュセーフティ(PCS:ミリ波レーダー+ステレオカメラ式)やレーダー・クルーズ・コントロール、レーン・トレーシング・アシスト(LTA)、レーン・チェンジ・アシスト(LCA)を連携させた高度運転支援技術「LEXUS CoDrive」、ドライバー異常時停車支援システム、夜間視認性向上に寄与する上下2段式アダプティブ・ハイビーム・システム(AHS)、交差点での出会い頭事故を予防するフロント・クロス・トラフィック・アラート(FCTA)などをパッケージ化した「Lexus Safety System+A」を搭載する。

 先進の予防安全技術といえば、スバルの「アイサイト」、ボルボの「インテリセーフ」、メルセデス・ベンツの「インテリジェントドライブ」が高い評価を受けているが、そんな中で「世界一安全な車」と言い切ったレクサスの予防安全技術の実力はどうなのか? そう遠くないタイミングでレポートをお届けできるかもしれない。

レクサスブランドが国内展開されてから12年

 2005年にレクサスブランドが国内展開されてから12年、これまでは正直言ってしまうと「高級なトヨタ車」から抜け出せていなかったが、新型LSと先に登場したLCの登場により大きな変革を迎えている。LS以外のクルマはどうだろうか。

 現時点でレクサスの販売を大きく支えていクロスオーバーSUVモデルは「LX/RX/NX」に加えて、TNGA-Cプラットフォームを用いた末っ子の「UX」が導入予定でラインナップを充実させる一方で、「IS/GS」が属するミドルクラスセダンの販売は苦戦中。ちなみにGSは2012年、ISは2013年登場で、世代交代が待ち望まれているが次期モデルのうわさはまだ出ていない。さらに2011年登場の末っ子コンパクトハッチバック「CT」は、今秋に刷新ではなく大幅改良モデルが登場予定と、レクサスの変革がまだブランド全体に及んでいないのが気になるところでもある。

 レクサスは既存のプレミアムブランドに対抗していくためにはライフスタイルブランドへと進化することで新しい価値を生み出そうとしている。そのため、車以外の分野でもさまざまなチャレンジを行っているが、個人的にはやはりレクサスのメインストリームの「車」で勝負してほしいと思っている。

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