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弁護士、公認会計士、投資家…肩書を広告塔にする投資詐欺

MONEY PLUS のロゴ MONEY PLUS 2022/11/24 18:09 MONEY PLUS
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前回、旬を過ぎた芸能人が資産運用詐欺の広告塔に利用されるという話を書きました。ただ最近は、著名人を広告塔にするのではなく、「肩書」を広告塔にするケースも増えています。その一例を紹介しましょう。

広告塔が損害賠償責任を追及されることもある

先日、ずさんな経営と詐欺的な手法で破綻したFTXに事案に絡み、その広告塔になっていた有名スポーツ選手などに対し、投資家が集団訴訟を行うというニュースが流れました。

提訴の行方についてはまだ分かりませんが、同じことが日本で行われた場合、CMなどに起用された広告塔が損害賠償を負うことになるのでしょうか。この件については11月19日のAERAdot.の記事で國府田英之氏が詳しく書いているので、興味のある方はご覧ください。

FTX破綻で米投資家から提訴された大谷翔平 日本でも「広告塔」は責任を問われてしまうのか(1/3)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

この記事によると、村松弁護士のコメントとして「その損害について、出演者の故意や過失(予見可能性)があったのかが特に争点となります」とあります。予見可能性とは、「危険な事態や被害が発生する危険性を事前に認識できたかどうか」ということです。

記事によると、「原野商法」に関する1987年の裁判では、それを行った会社のパンフレットに登場して広告塔を務めた有名俳優に対して、大阪地裁が賠償責任を認めたという事実があったそうです。その時の理由について、村松弁護士は、こうコメントしています。

「この俳優はパンフレットの中で、被告の会社の役員と個人的なつながりがあることなどを記載しており、俳優個人の立場で被告の会社を推薦している点が問題視されました」。

信用補完の方法はさまざま

近年、著名人のようなあからさまな広告塔ではないものの、その人の立場を利用して、結果的に広告塔としての役割を担わされている人たちがいます。具体的にいうと、弁護士や公認会計士などの肩書を持つ人たちです。

今、ポンジスキームではないかと話題になっている某投資会社には、テレビなどで活躍する有名弁護士や大蔵省(現財務省)出身の元世界銀行駐日代表、その他、さまざまな経済界の重鎮が、アドバイザーに名前を連ねています。本人はそれほどメディアに出ておらず、したがって著名人とまではいわないまでも、弁護士や財務省出身者、あるいは公認会計士といった肩書を広告塔にするケースもあるということです。

このあたりは、何となく肩書に弱い日本人の弱点をうまく突いているといっても良さそうです。

ちなみにこの投資会社は、立派なセミナールームを持っており、そこにファイナンシャルプランナーや投資家など、メディアに出ている人たちが登壇して、投資家向けセミナーを開催していました。著名人とまではいわないまでも、こうした肩書を持っている人がセミナーで話をしてくれる会社なら、信用しても大丈夫だろうと思う人がいても、不思議ではありません。

あるいは、大手メディアに広告を出稿・掲載してもらうことによって、信用を確保しようとするケースもあります。

以前、私が取材した案件でも、全国紙に広告を掲載していたケース、テレビ局と組んで投資家セミナーを開催したケース、などがありました。

また、記者やライターを集めて記事を書かせるケースもあります。以前、某雑誌社から、「米国大手証券会社の創業者一族の子孫が、日本で新しい証券会社を設立するので、取材して記事にして欲しい」といわれ、その子孫と称する本人に取材したことがあります。

しかし、質問に対する回答がどれも要領を得ないものばかりだったので、掲載を見送ったところ、後から妙な人物とのつながりがあるという情報が流れてきました。別にこの人物が詐欺事件を起こしたわけではないのですが、妙な人物とのつながりがあると考えられる以上、記事にしなかったのは正解だったと思っています。

予見可能性はある?

最近、よくある話としては、自分たちでオウンドメディアを立ち上げ、そこでマネー関連の記事をファイナンシャルプランナーなどに書かせるケースです。

某情報商材会社が、「年平均リターン数百%を実現している運用者が発信する情報に基づいて売買すれば、誰もが高いリターンを享受できる」といったことを匂わせて、会員を集めているという怪しい案件があったので、いろいろ調べていたところ、その情報商材を積極的に広告しているネットメディアがありました。

そこにはファイナンシャルプランナーと呼ばれている人たちも寄稿していたのですが、なぜそのネットメディアが、そのような怪しい情報商材を推す広告を掲載しているのかを不思議に思い、運営会社の概要を調べたところ、その情報商材会社の子会社であることが分かりました。

恐らく「メディアなどに出ているファイナンシャルプランナーたちが寄稿しているメディアの広告だから信用できる」と思い込ませたかったのでしょう。

では、なぜ弁護士や公認会計士などの有資格者や、ビジネスの最前線で活躍していた人、メディア、ファイナンシャルプランナーといった人たちは、微塵も「この連中は怪しいのではないか」ということを疑うことなく、結果的に詐欺連中に加担するようなことをしてしまうのでしょうか。

これだけ情報が豊富にある時代、少し調べれば、この会社のアドバイザーになるべきか、そのメディアに寄稿するべきか、あるいは一緒にセミナーを開催するべきかの是非は、簡単に分かりそうなものです。つまり、十分に予見可能性があるといえるのではないでしょうか。

冒頭の話の流れでいえば、もし予見可能性があるとしたら、仮に詐欺事件に発展した場合、損害賠償を負うことになっても不思議ではない、のです。

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