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相次ぐ談合疑惑、問題はゼネコンだけなのか リニアや外環道の工事で浮かび上がった課題

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/02/15 08:00 一井 純
リニアの工事は赤字覚悟で入札したゼネコンも少なくない(写真:尾形文繁) © 東洋経済オンライン リニアの工事は赤字覚悟で入札したゼネコンも少なくない(写真:尾形文繁)

 「色々とお騒がせして、どうもすみません」――。

 今年に入り、複数のゼネコン関係者からこうした言葉を耳にした。特に注目を集めたのが談合疑惑だ。昨年はNEXCO東日本・中日本が東京外かく環状道路(外環道)工事の入札を中止。年末にはリニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合の疑いが浮上。東京地検特捜部や公正取引委員会が大手ゼネコン各社を家宅捜索し、トップニュースをさらった。

 2月13日発売の『週刊東洋経済』は「ゼネコン 絶頂の裏側」を特集。相次ぎ浮上した談合疑惑の深層に切り込んでいる。

受注前の情報交換が問題に

 「あれを『談合』と言われたら厳しいな」。リニアの話題を振ると、ある中堅ゼネコン幹部はこうこぼした。「われわれだけではリニアは建設できない。やっぱりスーパーゼネコンがいないと」。

 スーパーゼネコンとは、日本の建設業界でトップに君臨する大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社を指す。今回浮上したリニアの談合疑惑では、トンネルなどの土木事業を手掛けていない竹中を除いた4社が家宅捜索を受けた。

 焦点になっているのは、受注前に工事に関する情報交換をしていたことだ。大林組は公正取引委員会に独占禁止法の課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて談合(受注調整)を申告した。清水建設も「この情報交換が談合だといわれると、認めざるをえない」と言う。一方で、鹿島と大成建設は「必要な情報交換であり、談合ではない」と否認している。

 スーパーゼネコン各社は2005年末に「談合決別宣言」を出した。当時、談合事件が続発し、独占禁止法の罰則が強化された。それにもかかわらず、なぜリニア工事で疑惑が浮上したのか。

 品川―名古屋間約286キロメートルの大半がトンネルで、中でも山梨、静岡、長野にまたがる南アルプストンネルや品川駅地下、名古屋駅地下は超難関の工事とされている。大手4社抜きにしてリニアは建設できないというのは、業界関係者であれば誰もが認めるところだ。

 「リニアについては利益を確保しながらきちんと工事を行うためには受注調整が必要だという発想が、ゼネコンだけでなくJR東海にもあったのだろう。現場に行けば行くほど、工事をきちんと行うことに意識が向き、発注者や他社と協力しようという発想につながる。受注前のこうしたやりとりも談合に当たると認識しないかぎり、談合は今後もなくならない」と独占禁止法が専門である上智大学法科大学院の楠茂樹教授は指摘する。

発注方法に問題はないのか

 外環道については、発注方法を疑問視する声がある。問題となっているのは外環道と中央自動車道とを結ぶ中央ジャンクションだ。「世界最大級の難工事」(国土交通省)で、リニアと同じく、スーパーゼネコンでなければ完成は難しいとされている。

 NEXCOが発注にかけたのは4つの工事だ。入札は「一抜け方式」という特殊な方式が取られ、1つでも工事を受注したゼネコンはそれ以外の工事を実質的に受注できない仕組みになっていた。

 スーパーゼネコン4社に対し4つの工事を用意すれば、均等に住み分けがなされ、競争性が犠牲になるのは当然だ。加えて難工事であることを勘案してか「スーパーゼネコンしか受注できないような条件を設けていた」という声も上がる。

 リニアにしても外環道にしても技術を持つスーパーゼネコンに受注させたいなら、競争入札ではなく随意契約(任意で決定した相手と契約)を結ぶ手段がある。だがその場合には「なぜそのゼネコンを選んだのか」という説明責任が生じる。競争入札は「価格が一番安いから」というだけで説明がつき、談合が起きても被害者の立場を取れるため、発注者にとって楽な制度だ。

 リニア、外環道の疑惑は、「談合=暴利を貪る」というこれまでの構図では語りきれない。最適な受注業者を選ぶにはどうすればよいのか。長年の課題があらためて浮き彫りになっている。

 週刊東洋経済2月17日号(2月13日発売)の特集は「ゼネコン 絶頂の裏側」です。

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