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「年金を払わず、将来は生活保護を受けた方が得」は本当か?

マネーの達人 のロゴ マネーの達人 2016/09/07 木村 公司

生活保護の扶助は、継続的に支給される

「生活扶助」、「住宅扶助」、「教育扶助」、「医療扶助」、「介護扶助」と、一時的に支給される「出産扶助」、「生業扶助」、「葬祭扶助」の8種類があります。

この中の生活扶助は、生活保護の基本となる扶助で、食料費、被服費、水道高熱費など、生活に最低限必要な費用を満たすために、支給されているものです。

また住宅扶助は家賃代などを満たすため、医療扶助は診療代や薬代などの医療費を満たすために、支給されているものです。

国立社会保障・人口問題研究所のサイトの中にある、「扶助別保護費1人当たり月額の年次推移[http://www.ipss.go.jp/s-info/j/seiho/seiho.asp]」を見てみると、生活扶助の1人当たりの平均受給額(平成25年度)は、1か月で5万2,567円だとわかります。

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またすべての扶助を併せた、1人当たりの平均受給額(平成25年度)は、1か月で13万9,884円だとわかります。

それに対して国民年金は、20歳から60歳になるまでの40年間に渡り、1か月も欠かすことなく保険料を納付して、原則65歳から満額の老齢基礎年金を受給できても、その金額は78万100円(平成28年度額)です。

これを月当たりに換算すると6万5,008円にしかならず、しかも生活保護と違って、住宅扶助や医療扶助がありませんから、この6万5,008円の中から、家賃代や医療費などを捻出しなければなりません。

このように生活保護は国民年金と比較して、かなり恵まれているため、国民年金の保険料など納付する必要はなく、高齢になって働けなくなったら、生活保護を受ければ良いと、主張する方がおります。

しかし次のような理由により、安易に保険料の滞納を続けるのは、止めた方が良いと思うのです。

財産の差し押さえや延滞金の徴収が実施される

国民年金法を読むと厚生労働大臣は、国民年金の保険料を納付しない方に対して、期限を指定して督促状を送付し、その期限内に納付しない場合には、財産の差し押さえを実施すると記載されております。

また督促した時は保険料に加えて、年14.6%(納期限の翌日から3か月が経過するまでは年7.3%)の、延滞金を徴収すると記載されております。

従来からこういった規定はあったのですが、実際は厳しい取り立ては実施されておりませんでした。

しかし近年は政府の方針が変わり、特に収入があるのに保険料を納付しない悪質な滞納者に対しては、厳しい取り立てが実施されるようになっているので、督促状やその前段階である催告状を無視するのは、とても危険だと思います。

なお国民年金の保険料は、配偶者や世帯主が連帯して納付する義務を負うので、財産の差し押さえが実施されれば、家族にも迷惑をかけることになります

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消費税率の引き上げの恩恵を受けられない

政府は消費税率の10%への引き上げと同時に、「老齢基礎年金」、「障害基礎年金」、「遺族基礎年金」を受給できる、一定の低所得者を対象にして、月額5,000円程度の「年金生活者支援給付金」を支給するとしております。

なぜ消費税率の引き上げと同時に実施するのかというと、その引き上げ分を財源にするつもりだからです

そのため国民年金の保険料の納付を滞納して、「老齢基礎年金」、「障害基礎年金」、「遺族基礎年金」を受給できなくなった場合、買い物のたびに納付した消費税が、自分のところに返ってこなくなり、消費税率の引き上げの恩恵を受けられなくなります。

市区町村などから管理された生活が待っている

生活保護を受けるには資産がないことが条件になるので、例えば山間僻地に住んでいるため、公共の交通機関が全く整備されていない場合などを除き、自動車を所有できません。

その他に預貯金、家や土地などの不動産、生命保険なども、上記の自動車と同じように例外的な場合を除き、原則的に所有できません。

こういった財産上のデメリットだけではなく、生活保護の申請をする際には親族に対して、経済面などの援助をお願いする「扶養照会」という通知書が届きますので、生活に困っていることが親族に伝わります。

また定期的に収入の申告をしたり、定期的にケースワーカーの訪問を受け、その指導に従ったりする必要があるので、生活全般が市区町村などから、管理されたものになるのです。

生活保護を受ける世帯の増加により扶助の削減が続いている

国立社会保障・人口問題研究所のサイトの中にある、「被保護実世帯数・保護率の年次推移[http://www.ipss.go.jp/s-info/j/seiho/seiho.asp]」を見てみると、生活保護を受ける世帯は、平成7年度くらいから増加を続けております。

具体的な数字を見てみると、平成7年度には1か月平均で60万1,925 世帯だったものが、平成25年度には159万1,846世帯にまで増えているのです。

ここまで生活保護を受ける世帯が増加すると、財政的にかなり厳しくなってくるので、平成25年8月から3段階に渡って、生活扶助の削減が実施され、また平成27年7月からは、住宅扶助の削減が実施されました。

このような事情があるため、国民年金より生活保護の方が有利という状況が、いつまで続くかはわからないのです。

生活保護を受ける前に国民年金の免除申請を行う

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国民年金の保険料を納付するだけの金銭的な余裕がないなら、その納付を滞納して生活保護を受けようなどと考える前に、免除(全額、4分の3、半額、4分の1、納付猶予)の申請を行います。

この手続きは住所地の市区町村役場の窓口で行いますが、郵送でも手続きは可能です。

例えば単身世帯の方が免除を受けられる、前年の収入の基準(括弧内は所得の基準)は、次のようになっております。

・ 全額免除:122万円(57万円)

・ 4分の1納付:158万円(93万円)

・ 半額免除:227万円(141万円)

・ 4分の3納付:296万円(189万円)

これを見ると年収が296万円以下であれば、何らかの免除を受けられる可能性がでてきますので、決して免除のハードルは高くないのです。

このように免除を受けると、原則65歳から支給される老齢基礎年金は減額され、例えば20歳から60歳になるまでの40年間に渡り、全額免除を受けた場合、その金額は満額の半分である39万50円(平成28年度額)です。

これを月当たりに換算すると3万2,504円にしかならず、とても生活できる金額ではないので、生活保護の申請を行い、老齢基礎年金の金額が差し引かれた、生活保護の扶助を受給します。

それなら国民年金の保険料の納付を滞納して、生活保護を受けるのと変わりがない気がしますが、きちんと免除を行っていれば、財産の差し押さえや延滞金の徴収に怯える必要がありません

また生活保護を受給する世帯の増加により、生活保護の扶助の削減が続いたとしても、老齢基礎年金までは削減されないという安心感があります。

将来的にはこれらに加えて、年金生活者支援給付金を受給できるというメリットも発生するので、国民年金の保険料を納付するだけの金銭的な余裕がないなら、まずは免除の申請を行うべきだと思います。(執筆者:木村 公司)

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