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「30年で資産8倍」でもなかなか続かない積立投資

JBpress のロゴ JBpress 2019/11/28 06:00 MonJa編集部
GAIA中桐啓貴さん © JBpress 提供 GAIA中桐啓貴さん

株式市場は成長するという「腹落ち感」が大事

――『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』を出したきっかけと、この本を通じて伝えたいことは何でしょうか。

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中桐 本の表紙にもあるとおり、「一番シンプルな方法が一番儲かる」ということです。その方法が、長期積立投資です。

 私は以前、証券会社に勤めていました。今はIFA(インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー)という、特定の資産運用会社に属さない立場で資産運用に関するアドバイザリー業務を行っています。その間、私は一貫して、最も効率のいい運用手法は積立投資ということでお客さまに勧めていました。私が2007年に出した『会社勤めでお金持ちになる人の考え方・投資のやり方』という本では、毎月5万円ずつ分散投資を続ければ、35年後には1億円になるということを書きました。

 ところが、私がいろいろなセミナーで聞いた話やネット証券の調査を総合すると、せっかく積立投資を始めても、2~3年でやめてしまう人が多いようです。

 主なきっかけは、リーマン・ショックのように市場環境が悪化して株価が下がったとき、下落に耐えられなくなることです。また、積立投資は結果が出るまで少なくとも3年くらいはかかるものですが、それまで待てずに売ってしまうパターンも見受けられます。

 そういう方に5年、10年と積立投資を地道に続けてもらえるように、私が日々考えていることをできるだけわかりやすく伝えたいというのが、この本の狙いです。

中桐 啓貴(なかぎり ひろき)さんGAIA 代表取締役社長 兼 CEO © JBpress 提供 中桐 啓貴(なかぎり ひろき)さんGAIA 代表取締役社長 兼 CEO

――なぜ積立投資を続けるのは難しいのでしょうか。

中桐 長い目で見て、株式市場が右肩上がりで成長していくことに対する理解、腹落ち感がないことがいちばんの問題ではないでしょうか。

積立投資を始める人自体は最近とても増えているのですが、それは周りがやってるからとか、NISAのような税制優遇制度があるからとか、おそらくそんな理由が多いと思います。その動機だけでは、続けるのはなかなか難しいと思います。

 この本では、資本主義とは何かという話から始まって、資本主義経済は必ず成長するという事実、そこで世界の株式に分散投資すれば年6~7%の割合でお金が増えていくことを説明しています。そのことを理解していれば、たとえ一時的に株価が下がったとしても、また上がると信じて投資を続けられます。

 今後10年、20年のうちにバブルや経済危機は必ず起きます。高値から見ると半分くらいの価格になることも考えられます。そこをきちんと乗り越えなければ投資は成功しません。

危機を恐れる人間の本能とどう向き合うか

――実際にマーケットが大きく下がったら、不安になってしまう方は多いと思います。

GAIA中桐啓貴さん © JBpress 提供 GAIA中桐啓貴さん

中桐 人類の長い歴史の中で、みんなが食べられるようになったのはここ50年くらいの話です。それまで世界には戦争や飢餓がはびこり、常に命の危険におびやかされていました。その時代の記憶は、今の私たちのDNAにも埋め込まれています。だから株価が急激に下がるなどの危機が訪れると、本能が自分の命を守るための信号を発信します。長期的に考えれば株価の下落は一時的なものなのに、人は本能に突き動かされて、非合理的な行動をしてしまう。それは仕方のないことです。

 そうした本能の衝動に抗って、相場が下がっても積立投資を継続することが重要ですが、それには鍛錬が必要です。慣れないうちは本当に難しいものです。今はスマホがあれば投資信託でも何でも簡単に売れてしまうので、つい感情的に売ってしまいたくなります。そこでパニックにならずにひと呼吸置くためには、誰か信頼できる人に相談するのがいいと思います。手前味噌になりますが、そういうときに私たちのようなファイナンシャルアドバイザーを活用していただきたいと思います。

――確かに、増えると期待して投資しているのに、一時的であれ大きく減ってしまうと、期待と現実の落差を自分ひとりで受け止めるのは難しいかもしれませんね。

中桐 第三者だからこそ冷静に判断できるのが、ファイナンシャルアドバイザーのメリットだと思います。ガイアでは、相場が大きく下がったときにもお客さまに安心していただけるよう、アドバイザーがお客さまに電話したり、市場の動きについて動画を配信したりします。だから私のお客さまには、相場が原因で積立投資をやめる方はいません。

短期売買で成功できる人はいない

――投資で失敗してしまう人は多いですが、なぜ失敗してしまうのでしょうか。

中桐 特に男性に多く見られるのですが、「自分は投資がうまい」と思い込んでしまう方がいます。個別株投資で大きな利益を狙おうとか、最近だとビットコインに投資したりとか、そういうハイリスク・ハイリターンの世界に行ってしまいます。これも人間の本能に関わる話ですが、お金が減るかもしれないというリスクを取って投資しているわけですから、早くお金を貯めて早く安心したいという思いが強くなるんでしょうね。

 世界の株式に分散投資すれば年6~7%の利益が狙えるといいましたが、もし実際に年利7%で運用できれば、10年でほぼ倍、30年で8倍になる計算です。20代から30代の資産形成層の強みは時間があることです。月5万円、あるいは3万円でもいいので、早い時期から積立投資を始めれば、そのお金が30年後には大きく育って、安心した老後生活を送れると思います。

 短期売買でお金持ちになれる人はほとんどいません。基本は投資信託のような値動きが比較的おだやかな商品に、長期で投資することです。

最初はインデックスファンドから。分散投資が重要

――そう考えると、iDeCo(個人型確定拠出年金)は利益に税金がかからないうえ(通常の株式や投資信託では約20%の税金がかかる)、運用商品は投資信託で、原則として途中でお金を引き出せないので、仕組みとしてはとても理にかなっていますね。

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中桐 やはり、これから積立投資を始めるならiDeCoがいちばんいいと思います。できれば運用商品は元本確保型ではなく、値動きはあるけれど長い目で見て利益を狙える、株式型の投資信託を選ぶべきでしょうね。

 最初は、インデックスファンドを選ぶのがいいと思います。市場平均に連動するので、価格が下がったときの後悔が少ないからです。運用コストが安いのも魅力ですね。最近は特にコストダウンが進んでいて、10年前と比べると信託報酬は1/3~1/4くらいになっています。

 投資に慣れてきたら、そこにアクティブファンドを加えてもいいと思います。私のお客さまには、ヘルスケア産業(医療や介護などに関連する産業)に投資するファンドを勧めたりしています。最近よく聞くようになったESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した企業への投資)というテーマも、長期の積立投資に向いているかもしれません。

 iDeCoは金額に上限があって、投資できる商品も限られているので、つみたてNISAや一般NISAも並行して活用したいところです。

 注意したいのは「ホームバイアス」です。日本人だから日本株に投資すればいいと思いがちですが、残念ながら日本の潜在成長率は高くありません。日本株は全体の10%くらいでいいと思います。あとは米国などの先進国株式や先進国債券、必要に応じて新興国株式も加えるなど、分散投資することが重要です。

――最後に、これから資産運用を始める方にアドバイスをお願いします。

中桐 投資はギャンブルとはまったく違って、全体として成長するものだという認識を持つこと。そして、投資は一生付き合っていく問題だということです。国に頼れる時代は終わりました。将来のお金は自分でなんとかしなければいけません。そのためには、お金や資産運用に関する知識を常に高めていく必要があります。

 よく飛行機にたとえて話をします。どうして飛行機が飛ぶかを理解していれば、機体が揺れていても怖くありません。仕組みがわからないから怖くなって、降りたくなるのです。「株式市場は右肩上がりで成長していく」という資本主義の仕組みを理解しているかどうかが、30年後にはものすごい差になって表れます。だから皆さまにもぜひ、『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』を通じて、長期積立投資の効果を知っていただきたいと考えています。

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