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ユーザー数を激増させた「孫社長のひと言」とは?

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2017/03/21 三木雄信

「仕事が進まない」「今日も残業だ」「結果が出ない」……こうした問題を、すっきり解決してくれる手法がある。PDCAを超スピードで回す「高速PDCA」だ。ソフトバンクでは6万人超の社員がこの手法を使い、わずか三十数年で8兆円企業を誕生させた。華麗な躍進にばかり衆目が集まるが、その裏には、孫社長の緻密な戦略があった。その舞台裏を、9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の話題の新刊『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して紹介する。

誰もが唖然とした「孫社長のひと言」

 普通は成功する可能性がありそうなこと、これまでの業界の流れから勝算が判断できることを試して、とても成功しそうにないこと、業界の常識から考えてやってもダメそうなことは試さないと思います。

 ところが、孫社長は、業界の非常識であっても、可能性がなさそうに思えても関係なしで、目の前のすべての方法を必ず試します。

 ソフトバンクが「Yahoo!BB」のサービスを開始した当初のこと。

 代理店の販売員たちを集めた孫社長は、こう言い放ちました。

「目が合ったら渡せ!」

 何のことやら意味がわからず、その場にいた全員がポカンとしました。

 しかし孫社長は真剣そのもの。赤い紙袋を片手に、身振り手振りを交えて、「こうやって渡すんだぞ」と熱のこもったレクチャーが続きました。

今では考えられない「業界の非常識」とは?

 街頭でモデムを配る手法は、社内で「パラソル」と呼ばれていました。

 商店街やショッピングモール、駅前などの一画にある3坪程度の空きスペースを借り、パラソルを立てて簡易的な販売所を作り、その近辺でどんどんモデムを配る。

 だから「パラソル」というわけです。

 今でこそ、他の通信事業会社も同じような販促を行っていますが、当時としては完全に「常識外れ」としか言いようがないものでした。

 通信業界は「通話品質が安定しないサービスは提供できない」を常識とするなど、いわば〝お行儀のいい〟世界です。

 販売窓口を設けるなら、ドコモショップのように自社の店舗を構えるのが当たり前。それが通信事業者として顧客からの信頼に応えるやり方であり、そこからはみ出す販促や販売手法など考えもしなかったのでしょう。

 そもそもNTTグループの寡占市場が長らく続いてきたので、事業会社の側からアグレッシブに営業するという概念自体がなかったのかもしれません。

 ところがソフトバンクは、普段は焼き鳥の屋台や野菜の即売所などが出店しているような小さなレンタルスペースで、自社サービスを売りました。しかも若い女性たちをたくさん使って、派手に人目を引く販促方法をやろうというのですから、業界の常識からすればあり得ないことです。

なぜ業界の非常識を実行したのか?

 なぜ「パラソル」を孫社長が考えついたかというと、すでに他の業界では効果が立証されていたからです。

 衛星放送の「スカパー!」がサービスを始めた頃、実はソフトバンクがチューナーの販売を請け負っていました。そのとき、「パラソル」が成功したのです。

 このときは名古屋地区のみの実施で、扱う商品も別ものですから、他の経営者ならこれを横展開しようとは思わないでしょう。

 しかし孫社長はこの小さな成功を見逃さず、「全国でもやってみよう」と考えました。

 普通の人であれば、「成功する確率がどれだけあるかわからないのに、すべての方法を試すなんてバカげている」と思うかもしれません。

 しかし、先を見通せない不確実な時代には、これこそが勝つための唯一の手段であることを、孫社長は知っているのです。 

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