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地方移住を快適にするための心構え「悪口を言わない」「都会風を吹かさない」

マネーポストWEB のロゴ マネーポストWEB 2022/08/06 16:15
移住を成功させるための心構えとは?(唐津・七ツ釜にてSUPを楽しむ。右端が筆者) © マネーポストWEB 提供 移住を成功させるための心構えとは?(唐津・七ツ釜にてSUPを楽しむ。右端が筆者)

 リモートワークが普及したことにより、地方移住や二拠点生活への関心が高まっているが、その一方で、都会から地方に生活の拠点を移すことに不安を抱く人もいるのではないか。移住をうまくやるにはどうすればいいのか? 2020年11月に東京・渋谷から佐賀・唐津へ移住したネットニュース編集者が、移住生活を快適にするための心構えについて述べる。

 * * *

 昨今、「移住者」としてクローズアップされたのは、山口県阿武町の若い移住者でしょう。町が新型コロナウイルス関連の補助金463人分の4630万円を彼に誤って振り込んでしまい、後に誤りに気付くも「オンラインカジノに使った」と返金を拒否されたという、あの事件です。彼は町の助成制度を受け取っていた他、空き家バンク制度を利用して住んでいました。

 この件を受け「だからヨソ者なんて安易に招くべきではない」といった声が町であがったろうことは想像に難くありません。ただ、だからといって、すべての移住者への風当たりが強いかというと、そんなことはないでしょう。私自身は唐津に来てから1年9か月になりましたが、直接的にそのような態度は取られたことはないです。元々、唐津は観光地ということもあって、外部の人に慣れているのもあるのか、人々はかなりフレンドリーに接してくれています。

 そのおかげで非常に楽しく生活しています。地元の人々の家へ行ったり、顔なじみの店が次々と増えたり、さらには地元のイベント好きな人々と一緒に何度もイベントを企画し、唐津だけでなくそれ以外の地域から(長野や仙台からも!)多くの人がやってきてくれました。そうしたイベント運営スタッフとは、打ち合わせや打ち上げでさらに交流を深め、50歳を目前にして友人が続々増えるという経験をしています。

そもそも唐津は、東京の人にとっては馴染みの薄い場所なだけに、「どんな場所だ?」と興味を持ったこれまでの知人やツイッターで知り合った人が続々やってくる。毎日、お祭りのような楽しい日々が続いています。

 私(ライター)の場合、主な仕事は文章の執筆のため、元々東京でやっていた連載仕事と新たに獲得した佐賀新聞の連載は完全リモートで自宅でできる。完全リモートの会社に勤めている人は、移住しても私と同様に、これまでやっていた仕事を継続できることでしょう。「人間関係の充実」「仕事の維持」があれば、人生を変えたい人にとって移住は良い選択肢になると思います。

 とはいっても、ヨソ者を快く思わない人もいるかもしれません。その場合、「そういう人も一定数はいる。彼らとは距離を置こう」と考えるだけでOKです。別に都会だって気の合わない人は大勢いるわけで、気の合う人とだけ付き合ってきたわけだからそれは同じこと。

移住直後に地元の人から助言されたこと

 ただし、移住するなら、心構えとして気をつけておきたいこともあります。移住直後に地元の人から助言されたのは「絶対に他人の悪口を言ってはいけない」というものでした。都会と比べて人間同士の繋がりが濃厚で、1人誰かを経由すれば「あぁ、その人、知ってますよ」となりがちです。だから悪口が筒抜けになってしまう。そして「あの移住者は悪口を言う人だ」という悪評が立ち、疎まれるようになります。

 さらに「都会風をふかすな」もありました。日本に住んでいるのに「アメリカでは……」「イギリスでは……」などと海外の優れた点を述べる人は「海外出羽守」と呼ばれ、嫌われがち。それと同様、「東京では……」「横浜では……」などと言い、それに続けて「電車が3分おきにやってきて便利だ」「有名人の姿を見かけることが珍しくない」などと、都会自慢をしてしまうと、これまた嫌われます。

 あと、もし可能なら、移住した後も1~2か月に1回は、元々いた土地に戻って仕事をするのもアリだと思います。幸いなことに私の場合、『ABEMA Prime』(ABEMA)という報道番組にレギュラー出演しているため、1か月に1回(今後は2か月に1回)東京へ行く名目があります。この時に、元々の知り合いや、リモートだとなかなか会えない仕事相手と会うようにしています。リモートで仕事をしている人も、時々はオフィスに行って、普段は会えない人に会うといいと思います。

 私自身、とにかくどこも混んでいる東京生活はもはや耐えられないな、という感覚があったので脱出しました。どこに行っても空いている唐津の快適生活がありつつも、東京にも居場所がある状態は安心感につながります。一度移住がうまくいくと、その地にずっといてもいいし、気になる街があれば、同様のやり方で次の街でも快適に住めるかもしれませんね。

【プロフィール】

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『よくも言ってくれたよな』(新潮新書)。

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