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外国人バイトが消えて店が回らない…人手不足深刻化 一体なぜ?

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2019/03/22 17:00
留学生へのビザ交付率が急落している(AERA 2019年3月25日号より) © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 留学生へのビザ交付率が急落している(AERA 2019年3月25日号より)

 日本に留学したい外国人へのビザ発給が昨年秋から厳しく制限された。人手不足で社会が混乱するおそれがある。

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 昨年9月、神奈川県のコンビニオーナーの男性(62)は、咽頭がんの手術から退院した翌日、店頭に立っていた。会社経営者の妻から「何を考えているの」と怒られながら、週2日は夜10時から朝6時まで出勤する。

「昨年の秋ごろから、これまでアルバイトを担ってくれていたネパール人留学生がいなくなった。どこへ消えたのか」

 男性がコンビニを開店したのは3年前。週末の深夜帯は特にアルバイトが集まらない。そのころから日本人の応募はなかったが、近所の日本語学校に通うネパール人留学生は喜んで働いてくれた。時給が1300円で、ほかの時間に比べて高いからだ。辞めてもまた日本語学校からネパール人留学生の応募があった。ところが昨年秋、状況が急変した。

「これまでは放っておいても新しい外国人が入ってきたが、働く人がいないから店を続けられない。24時間営業どころじゃない」

 同様の「危機」が今、様々な業界に広がっている。東京都内の日本語学校幹部はこう話す。

「外食チェーンの採用担当者が血眼になってアルバイトを探している。4月に向けて前年の4分の1程度しか集まってない状態で、『学生1人当たり紹介料2万円を払う』とまで言っている。こんなことは初めてだ」

 いったい、何が起こっているのか。学校幹部は続ける。

「日本語学校は年4回の入学時期があり、最も入学が多いのが4月で、次が10月。昨年の10月入学から留学ビザの交付が厳しくなった。すでに留学ビザを取得している学生も最初の更新(1年3カ月)で厳しく労働時間を調べられ、昨夏から次々と帰国させられています」

 グラフは、日本語学校の業界団体「全国日本語学校連合会」(JaLSA)が取りまとめた東京入国管理局の在留資格認定申請についてのデータだ。「交付率」は、ビザ申請があったうち、どれだけが交付されたかを表している。

 中国、韓国など大きく変化していない国もあるが、多くの国は昨年に比べ交付率が大きく下がった。1.1%のネパール、0.8%のバングラデシュ、0.3%のスリランカなど、ほぼ「ゼロ回答」の国もある。

 東京入国管理局の担当者はアエラの取材に「特定の国を厳しくしているわけではなく、あくまでも平等に審査をしている」と説明するが、全国日本語学校連合会の荒木幹光理事長は「2008年にグローバル化戦略の一環として政府が始めた『留学生30万人計画』を達成した結果、審査が厳しくなったのではないか」と指摘する。

「これまでは人手不足を補うためにも、在留審査に提出される書類のチェックも甘い部分があったのでは。留学ではなく稼ぐことが目的の学生が増え、それらの学生を対象にする商売目的の日本語学校も増えた。そうした新設校が影響を受けている」

 日本語学校などに通う外国人留学生は12年の約18万1千人から、17年は約31万2千人に急増した。数字を押し上げたのがベトナムやネパールなどアジアの若者だ。留学生には資格外活動として週28時間の労働が認められており、語学より出稼ぎが目的の留学生が増えた。学校に行かずフルタイムで働いたり、失踪して不法滞在になったりする留学生がいるのも現実だ。

 一方、そうした留学生が貴重な労働力となっているのも事実だ。外国人労働者の約23%は資格外活動で働く留学生で、その数は技能実習生より多い。彼らが活躍するのは冒頭のコンビニのような目に見える場所だけではない。外国人を対象としたアルバイト求人サービス会社「WORK JAPAN」(東京)代表の松崎みささんが言う。

「コンビニなどは一定の日本語能力が求められ、外国人にはハードルが高い。求人の大半はお弁当工場や物流センターの仕分けなど、目に見えない仕事です。都市部では留学生が貴重な戦力になっていますが、彼らがいなくなることで目に見える影響が出てくるかもしれません」

 都内のあるホテルのベッドメイキングのアルバイトリーダーの女性(48)は、ゴールデンウィークが不安で仕方がない。

「声を大にして言えませんが、お客があまり来なければいいのですが……。手が足りません」

 長期休暇期間中は学校も休みで、長時間働いてくれた留学生が、昨年夏ごろからいなくなった。年末年始は大みそかと三が日に1日3千円の特別手当を出すことで何とか乗り切ったが、スタッフの数はぎりぎりだ。

 募集広告を出しても人は集まらない。スタッフに声をかけ、友人や知人の紹介を依頼する。採用に至り、半年以内に60日働けば4万円のインセンティブを支払っている。昨年までは1万円だった。女性は言う。

「私が働き始めた10年前は、外国人は一人もいませんでしたが、今はもう、外国人なしにホテルが動きません」

(編集部・澤田晃宏)

※AERA 2019年3月25日号より抜粋

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