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専門家が言う「投資信託は買ってはいけない」は本当か

All About のロゴ All About 2017/07/12 やがら 純子
「投資信託は買ってはいけない!」は本当か © オールアバウト 提供 「投資信託は買ってはいけない!」は本当か

投資信託と、個別の株式投資を単純に比較して、どちらが儲かる儲からないとはいえません。投資信託の本当の力は、別のところにあるのです 「投資信託はコストが高く、仕組みが複雑で、儲からない商品だ! 買ってはいけない」というような雑誌記事をよく見かけます。中には、そういう内容の特集を組む雑誌まであり、これがなかなか売れ行きが良いらしい。

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その一方で、ファイナンシャルプランナーは「資産運用には投資信託が有効。とくに投資は初めてという方にはおすすめ」などと言います。いったいどっちなんだ!と混乱してしまいますね。

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はっきり言います。「投資信託は儲かりにくい商品」です。でも、「負けにくい商品」でもあります。この「負けにくい」ことが、資産運用ではとっても大事であり、だからこそ多くのファイナンシャルプランナーが投資信託をおすすめするのです。

投資信託は「儲かりにくい」

「株で一発当てて、大儲けしてやろう」と思ったら、もっとも値上がりすると予想した株式に投資資金全額をつぎ込むという、本命1本勝負の方法が一番です。当たれば大儲けです。しかし当然、予想がはずれる場合もありますから、そんなイチかバチかの投資方法はリスクが大きすぎます。

そのリスクを減らすために、本命1本に絞らず、複数の株式や債券、不動産などに分けて投資をする「分散投資」が必要です。どれかが値下がりしても別のものが値上がりして、全体としては利益が出る、あるいは損失が出ても小さく抑えられますよね。しかし、一人でいろんなものに投資をするのは、お金がかかりすぎます。そこで、「大勢の投資家が少しずつお金を出しあって、共同でいろんなものに投資をしよう」と、今から140年ほど前に生み出されたのが、投資信託です。

複数のものに投資をした場合、すべてが同じように値上がりすることはありませんから、本命一本勝負で大当たりした場合に比べれば、当然、利益は少なくなります。投資信託はもともと儲かり度合いが小さい、「儲かりにくい」商品なのです。

注意:「儲からない」ではなく、「儲かりにくい」です。

そんな儲かりにくい投資信託で、資産を効率よく増やせるのでしょうか?

「儲けやすい」より「負けにくい」が、結局、資産を増やす

リスクとリターンは表裏一体。リターンだけを取り上げて、金融商品の実力を語ることはできません 投資信託には、「儲けにくい」反面、予想がはずれた場合のダメージが少ない、「負けにくい」という特徴があります。

「いくらダメージが抑えられるといっても、儲けもチョビチョビだなんて……。投資のやりがいが感じられない」と思うかもしれませんね。

資産運用は、短期間で答えを出すべきものではありません。数年、数十年かけて資産を作っていくものです。この長期の資産運用では、儲けやすいけど、損も大きい」投資方法よりも、「儲けにくいけど、負けにくい」投資方法、つまり投資信託のような商品がとても大きな力を発揮します。

「大負け」は、それまでの苦労を無にする

上の表を見てください。2人の投資家が、100万円で投資を始めました。Aさんは、大きな儲けを狙う投資家です。1年目は利率10%で運用できて、100万円が110万円になりました。2年目は20%を達成。3年目は予想がはずれてしまい、?20%。資産を減らしてしまいます。4年目は10%で、少し挽回しました。

Bさんは、投資信託のように複数の銘柄に投資して、負けにくい運用を心がける投資家です。その結果、4年間ずっと5%ずつの運用でした。大きく儲けることもないかわりに、負けることもありませんでした。

AさんもBさんも、4年間の平均の運用利率は5%です。でも、100万円が4年後にいくらになったかを見てください! Bさんのほうが約5万円も多いのです。

20%負けは、20%勝ちしても挽回できない!

Aさんの3年目の負けは、それまでせっかく積み上げてきたものを大きく減らしてしまいました。失った金額は、当初の100万円の20%で20万円、ではありません。複利運用(得た利息を元本に足して、次の運用にあてること)によって、3年目の投資元本が132万円になっていたため、損失は約26万円になりました。資産を増やすために有効な「複利効果」が、マイナス方向に働いてしまったのです。

20%の負けから、もとの金額まで挽回するには、+20%の運用では間に合いません。+25%の運用が必要です。子どもの教育費やマイホーム資金、老後の生活費など、数年かけてお金を準備しようというとき、途中で「負け」が発生することは大きなダメージになります。そこで、負けにくい商品である投資信託の価値が発揮されるのです。

日本の投資信託は、手数料が高すぎる?

投資信託は、個人の投資活動が活発な諸外国でも人気。投資信託の手数料は、諸外国と比べて高すぎるということはなさそうです。 投資信託を否定する意見には、手数料などのコストがかかりすぎるという指摘が多く、中には、投資に不慣れな日本人から手数料をむしりとる商品だなどという人までいます。

下の表は、購入時に購入価格の何%という形でかかる「販売手数料」と、運用期間中に運用資産額の何%という形でかかる「信託報酬」について、主要先進7カ国を比較したものです。それぞれの国の制度や人口の差、地理的条件などがあり、単純に比較できない面もありますが、少なくとも、日本は特別コストが高いわけではなく、むしろ安いくらいのようです。(このほか、商品によっては、解約するときにもコストがかかる)

あえて「買ってはいけない」というならば

仕組みが複雑なものは、リスクを正しく理解できない場合があります。シンプルなものがおすすめです。もしも、投資信託がコストが高いばかりでまったく役に立たない代物ならば、140年の歴史を待たずして、市場から淘汰されているのではないでしょうか。

あえて、買ってはいけないというならば、投資信託に限らず、「理解できない商品は買わない」ということです。投資信託そのものがわからないという方は、基本についてはガイド記事を読んだり金融機関で説明を受けたりし、購入するときはなるべく「基本形」のものを買いましょう。

様々な条件がついた投資信託は、仕組みが複雑でわかりにくいものがあります。「どういうときに利益が出て、どういうときに損失が出る」ということすら、すっきり分からないものは、やめておきましょう。インデックスファンドなどシンプルな商品は、分かりやすいうえ、手数料も割安ですから、初めての方にもおすすめします。

情報に振り回されないで!

投資信託のことに限らず、基本を理解した上で、情報を解釈してください。この記事についても、同じです。たとえば、2ページに載せた「100万円を2人の投資家が運用」の表は、「負けないことが大事」ということを伝えるために、「運用利率がこうだったら」と仮定して作っています。投資信託なら絶対に負けないという意味ではありません。投資信託はリスクのある商品だという基本を理解していれば、そんな誤解はしなくて済みます。

「こういう考え方もあるのか」と、たくさんある考え方の中の一つとして捉えましょう。記事だけでなく、「全国の平均値」などのデータも、調査の仕方でまったく数値が異なることもあります。情報に、必要以上に振り回されないことも大切です。

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