古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

将来不安の40代独身、支出改善と投資は何から始める

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2020/01/15 11:00
写真はイメージ=123RF © NIKKEI STYLE 写真はイメージ=123RF

「何から始めるとよいのだろうか」と相談に来られたのは、家計管理や金融の知識は豊富にあるのに、全く動き出せていない独身会社員のAさん(43)。将来のために取り掛からなくてはいけないと思いつつも、自分は何から始めるとよいのかが分からず、何もできていないと悩んでいます。

■頭でわかっていても動き出せない

「老後の生活費が2000万円足りなくなると聞いたし、税金も上がるし、社会保障費も上がっていくかもしれない」とAさん。そう考えると、支出を少なくして貯金をしたほうがよいと思うし、個人型確定拠出年金(iDeCo)や積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を利用して老後資金づくりに取り組むことも必要だと考え、気持ちは焦るけれども、どこから始めるとよいのかと思案に余り、いつもつまずいてしまうそうです。

実際、Aさんは何をしたいのか、具体的に聞いてみました。

・老後資金づくりを目的に、iDeCo、つみたてNISAを始めたい・節税したい

・つみたてNISAなどで積み立てたい商品があり、それを設定したい・格安スマートフォンに替えて毎月の支出を下げたい

・キャッシュレス決済を上手に使って、お得に買い物をしたいなどなど。たくさんの情報を得て、これらが「良い」ことだとは理解しています。あとは行動に移すだけのように思えますが、何を戸惑っているのでしょう。

Aさんに尋ねると、やはり何からやっていいのかがわからない、やって後悔しないか、自信がないなどと言います。

つまりAさんは、あれこれ理由をつけてやっていないようです。これは、自分が今のままでも将来大丈夫なのか、そうではないのか、自分の中で、必要な「もの」や「こと」が明確にできていないためだと思えました。そのため、まずはそのあたりをサポートしないと、いつまでたっても動き出せないか、やったとしても他人任せで、全く自分ごととして捉えられない恐れがありそうです。

■自分なりの価値観をつくることが先決

動き出すきっかけにするために、まず、お金の面で大事にしたいこと、将来どうなりたいかなどを聞いてみました。すると、「特にない」とのこと。ただただ、将来を考えるとお金が足りないようだと思え、不安なのだそうです。やはり「自分にとってどうなのか」が見えないために躊躇(ちゅうちょ)し、漠然とした不安につながっているように感じました。

資産形成に関する知識や情報についてはすらすら話してくれましたが、自分の家計の支出額などを聞くと、「一般的には…」とどこかで聞いたような金額を挙げます。「『一般的には』ではなく、Aさんの場合はどうですか?」と聞くと、わからない。「どこにお金をかけたいですか?」と聞いても、わからないと言うばかり。Aさんの場合は、家計改善や資産形成に取り組み始める前に、少し時間はかかりますが、現状を把握しつつ、Aさんなりの価値観をつくっていくことが先決です。これができれば、削減ポイントなども明確になり、新たな取り組みも始めやすくなるでしょう。

まずは支出を可能な限り記録してもらい、現状を把握していくことにしました。

次回の面談時にはその記録をもとに、支出の費目一つずつについて納得できる支出か、そうではないかを二者択一で聞いて、一緒に判断していきました。「住居費」は大切にしたいか、減らすために転居しても構わないかなどと一つずつ考え、答えを出すのです。そうすると、頭の整理ができ、次第に価値観の形成にもつながっていきます。

こうして一緒に考えた結果、Aさんにとっては「衣・食・住」を大切にすることが幸せな生き方と感じることが分かりました。住居は駅近くで通勤しやすい物件であることが大切で、食事も少し良いもの。好きなものを外食し、時には自炊して食べることが生きがいと感じています。また、おしゃれも楽しんで暮らしたい。そう思っているそうです。

■お金をかけたい部分がわかると、支出削減もしやすくなる

お金をかけたい部分が見つかれば、逆にお金をかけなくてよい部分も見つけて、バランスを取らなくてはいけません。どの支出が一番よくないと感じるかと聞くと、「通信費」ということでしたので、当初話していた「格安スマホへの変更」を行動に移してもらうことにしました。

© NIKKEI STYLE

また、日用品や雑貨類を目的なく衝動買いしてしまう傾向があり、これを改めて日用品代を削減。水道光熱費は無駄に使うことを避けるよう意識し、健康のために加入していたスポーツジムも、最近は全く通っておらず、「来月は行こう」と思いつつ会費を払い続けているとのことで、思い切って退会することにしました。体づくりの一環で購入していたサプリメントの定期購入もやめました。読まないのにたくさん買ってしまう書籍も、買わずに借りるようにして支出削減を図りますが、毎月購入している趣味の雑誌だけは必要なものと判断しました。

時間はかかりましたが、このように一つずつ考え、自分の価値観、つまり「自分軸」をつくることができたため、支出にメリハリがつき、かつ無理のない継続が可能となりました。すると、毎月お金が余るようになったので、それを生かしてiDeCoもつみたてNISAも始めてみたいと意思表示されました。良いといわれる制度を体験してみたい、そういう思いもあったようです。投資を始めるには、そういう気持ちからでもよいと思います。

口座の選び方などをアドバイスすると、早速自分で口座を開設。運用を始めると面白みがあったようで、「両方とも(年間上限額まで)満額投資していけるように、家計をもっと絞りたい」「老後までに1000万円ためることが目標」などと話し始めました。自分の将来にとって大切だからと、自分の価値観で行動することができるようになったようです。

■今を充実させる、メリハリのきいたお金の使い方を

将来が不安だという人はよくいらっしゃいます。ですが、その不安の原因や、何が不安なのかをはっきりいえない人も少なからずいらっしゃいます。それはつまり、自分が将来どうなりたいのか、何をしたいのか、それが分からないからかもしれません。

自分がどうなりたいか、どう生きたいか、それが見えてくると、どこにお金をかけ、どこにかけなくてもよいと思えるのか、そういったメリハリのつけ方が見えてきます。将来を不安に思っても、「今」を生きているのですから、今を充実させながら将来に備えるということを考えたほうが、良い人生になると思います。目先のやりたいことをやるためにお金を使うことを優先させ、それ以外の支出は絞っていく。全く支出はしないという極端な考え方ではなく、毎月は支払わないようにするなど、頻度を下げることでも効果は十分にあります。

そうすることで貯金や投資、または自己投資にもお金を使えるようになるでしょう。今、何とも言えない不安を抱えている方は、まず自分の支出がどうなっているのか、現状の把握をしてください。そして、その費目一つずつに「お金をかける価値があるかどうか」を考えて、自分の価値観をつくり、行動に移してください。自分の価値観による支出は、決して理想のモデルになるようなきれいな家計にはなりません。支出の費目がいびつになる場合もありますが、それも間違いではないのです。自分の家計は、自分で納得いくようにつくるものですから。ぜひ自分で、なぜそこにお金をかけるのか、支出するのかと考えてやってみてください。

(「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です)

横山光昭

© NIKKEI STYLE (株)マイエフピー代表、mirai talk株式会社取締役共同代表。顧客が「現在も未来も豊かな生活を送ることができる」ことを一番の目標に、独自の家計再生・貯金プログラムを用いた個別の指導で、これまで1万件以上の赤字家計を再生。著書は累計100万部を超える『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、累計65万部の『はじめての人のための3000円投資生活』シリーズがあり、著作合計88冊、累計270万部となる。講演も多数。

NIKKEI STYLEの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon