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就活面接は「不意を突く質問」への備えが必要だ 「寿司ネタに例えると?」は都市伝説ではない

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2019/03/14 10:00 佃 光博
就職活動での面接には変化球のような質問が投げかけられることがある。あらかじめパターンを学んでおけば焦らずに切り抜けることができそうだ(写真:Fast&Slow/PIXTA) © 東洋経済オンライン 就職活動での面接には変化球のような質問が投げかけられることがある。あらかじめパターンを学んでおけば焦らずに切り抜けることができそうだ(写真:Fast&Slow/PIXTA)

 3月に入って大規模な合同企業説明会が開催され、リクルートスーツ姿の就活生が目立つようになった。面接も盛んに行われている。学生は面接に備え、キャリアセンターなどで模擬面接を経験しているだろう。

 話す内容とともに、受付での振る舞い方(受付段階でも観察されている)、ドアの開け方と自己紹介、いすへの座り方、姿勢と視線などのマナーも指導してもらったはずだ。これが面接の基本である。

 しかし、企業は学生がそういう指導を受けることを前提に面接を行う。面接の応答はしばしばキャッチボールに例えられるが、素直な球ばかりではなく、受けづらい曲球もある。どんな質問があるのだろうか?

 2019年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、HR総研が「楽天みん就」と行った共同調査から、先輩たちが「困惑した面接での質問」を紹介してみたい。

「ありのまま」を勘違いする学生

 面接の目的は、企業と学生の相性を確認することだ。志望動機、自己PR、学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)の3つの質問で、企業は学生の能力と本気度を知り、直近の過去(大学生活)のエピソードによって人物を確認しようとする。ところが、多くの学生はトークを練り上げて面接に臨む。企業はそんなトークを聞きたくない。聞きたいのは、「ありのまま」「素」の言葉だ。

 「ありのままの自分を出してほしい」と言う企業の言葉を素直に信じる学生はいないが、信じない理由は「ありのまま」の意味がわからないからだと思う。学生は「ありのまま」と聞くと、「ありのままならリクルートスーツじゃなくていいのか」と、「ありのまま」を外見から理解して演じようとする。それは勘違いだ。

 企業の言う「ありのまま」とは「素直に」「嘘はつかず」「話を盛らず」という意味だ。しかし、そう言っても学生に伝わらないので、定番の質問以外で無茶ぶりや不意を突いて、その反応で発想力や論理性を見て取ろうとする。しかし、この種の質問を知らない学生はかなり多いようだ。

 採用広報解禁後の3月2日の夜に面白い番組を観た。多数の人事と就活生を集めた「就活応援TV2019 学生と企業のホントの本音」(NHK)だ。画面下部にTwitterの投稿が流れていたが、そのほとんどが学生のコメントで、「勉強になった」「おもしろい」「もっとこんな番組を放送してほしい」と、熱心に観ていることがわかった。

 若者の投稿が目立ったが、土曜日の夜の番組だったので、多くの人事関係者や大学関係者も観たはずだ。

 面接の質問も主要テーマとして取り上げられ、「あなたを野菜(あるいは果物)に例えると何?」という質問に複数の学生が戸惑ったと発言していた。「楽天みん就」の登録学生を対象にした調査でも、多くの学生が「例えると何?」に戸惑っている。しかし、「例えると何?」は面接官が好んで用いる質問パターンである。

 例える対象はたくさんあるが、最も多いのは動物だ。イヌ、ネコのようなペットから、利口そうに見えるゾウやイルカ、強そうなクマ、ライオン、トラといろんな答えが考えられる。ゲーム感覚で友だちと話しておくといいだろう。

「自分を〇〇に例えると?」

 食べ物系も多い。「自分をフルーツに例えると」「自分を野菜に例えると」「自分を寿司ネタに例えると」という質問を先輩は受けている。

 「色に例えると」もかなりある。なかには「自身を戦隊ヒーローに例えると何色になると思いますか」という変則的な質問を受けた学生もいる。「家電(あるいは商品)に例えると」もよくある質問だ。数は少ないが、「標識に例えると」「車の部品に例えると」「文房具に例えるなら」「歴史上の人物に例えると」という質問もある。

 すべて面接官と学生の双方が知っているものが対象になる。学生は面接での模範解答を知りたがるが、面接はテストではないので模範解答はない。ただ、質問されても慌てることのないように、「例えると何?」という質問パターンがあることは心得ておくべきだろう。

 「あなたを四字熟語で表してください」と「あなたを漢字一文字で表すと」もよく使われる質問だが、不意打ちを食らうとしどろもどろになってしまうかもしれない。自分が好きな言葉と嫌いな言葉について考えておくといい。四字熟語や漢字の知識は筆記試験対策としても必要だ。

 おとぎ話も面接官と学生が共有できる話題だ。ただし、浦島太郎やかぐや姫はほとんど出てこない。回答で多かったのは桃太郎だった。今回の調査でも「桃太郎にもう1匹動物を連れて行くなら?」「桃太郎で3匹連れて行く動物にあなたは何を選びますか?」「あなたは桃太郎だとすると、イヌ・サル・キジ以外にどの動物をもう1匹連れていくか?」と3人が経験している。

 お金を「もらったら」「使えたら」という質問もかなり多い。金額は100万円が圧倒的に多く、「買う」「旅行」「食べる」などで使えそうな金額だが、「100兆円もらったらどうするか」という質問もある。どんな回答を想定しているのか見当がつかない。

 変な質問もある。「99円のものを顧客に95円で売ってほしいと言われたらどうするか」という質問は、おそらくその顧客が優良顧客になりそうだという見込みなどの前提を立てたうえでの回答を期待しているのだろうが、学生を戸惑わせそうだ。

質問にはパターンがある

 新聞に盛んに取り上げられている旬の話題も問われる。「これからの日韓関係についてどう思うか」「AIについてどう思う?」。新聞を読み込んでしっかりとした論旨で答えてほしい。

 余計な一言が地雷になることがある。「日本刀の鑑賞が趣味だと言ったら、日本刀についての質問をされたこと」が印象に残っているという学生は、知識が浅いことが露呈したのかもしれない。何社も面接を受けていれば、面接官のなかに日本刀に関する造詣が深い人がいてもおかしくない。

 論理性が試される質問もある。「就活の流れや今まで何を考えて、どういうふうに取り組んできたかを継時的に教えてください」では「継時的(時間的順序にしたがって)」がキーワードになる。

 「降水確率何%くらいで傘を持って出かけますか」のようなシンプルな問いかけでは、条件の設定が重要だ。アーケード街なら傘は不要だ。電車の中でも必要ない。帰宅時間は午後なのか、夜なのか。条件次第で回答は変わってくる。

 「あなたの出身地は現在とても観光客が多く、時には交通機関が混乱してしまうらしいですね。そこに住んでいるあなたは、そういった問題についてどう思われますか」と問われた学生もいる。

 この「どう思われますか」で解決策を問われていると勘違いする学生もいるだろうが、そうではない。純粋に「どう思うか」を答えればいい。この問いで試されているのは社会問題に対する感受性だ。「うちの社長の名前は?」は、極めて素朴な質問で、答えられない学生は意外に多そうだが、答えられればプラスになるはずだ。そして、社長メッセージへの感想を述べれば、その研究ぶりを面接官は評価しそうだ。

 質問を読んでいくと、採用選考の基本を知らないシロウト面接官がかなり多いことにも気づく。2月28日掲載の記事「先輩就活生がウンザリした『印象の悪い面接』」でも書いたが、厚生労働省は就職差別を禁じ、具体的に14項目を明示している。ところが、守っていない企業がかなりある。具体的な質問を紹介してみよう。

 「尊敬する人物は誰ですか」「座右の銘は?」「お父さんの勤務している会社名・職種は?」という質問を受けたというが、これはアウトだろう。「親の教育方針は?」も、面接では聞いてはいけないことの1つだ。面接官は、本人をよりよく理解するために育った環境を知りたいのだろうが、それはプライバシーに属する。

 また、「彼氏いるの?」と無遠慮な質問をする面接官もいるが、時代錯誤も甚だしい。これも公になれば女性蔑視と指弾され、企業に悪い評判をもたらすだろうと思う。

「面接官にあだ名」が流行る?

 最後にこれからの面接シーズンで使われそうな質問を紹介しておこう。

 1つは、「面接官にあだ名を付けてください」というもの。先ほど挙げたNHKの番組の模擬面接で出た質問だ。3人の面接官の1人が、3人の就活生に出題した。3人ともよどみなく答えていたが、事後の感想では「焦った」と話していた。

 面接官には初めて会うので、あだ名を事前に準備できない。また、学生の人間観察力と言語力、ウイットもわかるのでよい質問だと思う。

 もう1つは、質問カードを選ばせるもの。「学生と企業のホントの本音」の前に放送された「全問リアル就活」の模擬面接で、3枚のカードを出して、学生役のタレントに引かせていた。

 3枚のカードには「三度の飯より好きなことは?」「坊主頭にクシを売るにはどう売る?」「『内定です』と言われてまず何をする?」が記載されており、タレントは坊主頭のカードを引いて詰まりながら回答していた。

 この形式には多元的な仕掛けがある。引いたカードの質問への対応だけでなく、引かなかったカードの質問への反応も見ることができる。今回の調査にも「ランダムにクジを引いて、その場で出されたお題に対してスピーチ」というものがあった。クジを引くという形式で学生の緊張はある程度ほぐれると思う。これもよい質問の出し方だと思う。

 いずれにせよ、採用面接の現場では、いろいろな質問が出てくると思って臨むのがよいだろう。

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