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年収低い方が家事育児を担うのは当然か「俺ぐらい稼ぐなら喜んで仕事減らすよ」と妻に言い放つ夫

BUSINESS INSIDER JAPAN のロゴ BUSINESS INSIDER JAPAN 2018/10/12 10:45 滝川 麻衣子

現在、日本の夫婦の6割(夫婦共に無職を除く)は共働き世帯で、その数は右肩上がり。仕事を続ける女性が増えるに連れ、責任ある仕事や管理職を任されるケースも当然、生じてくる。

そこで聞こえてくるのが「私の仕事が忙しくなると夫が不満そうで、夫婦の衝突が増える」という妻の声だ。

仕事と家事や育児をめぐる夫との調整で、妻側が神経をすり減らす話は珍しくない。一方、夫が忙しいのはまるで当然のよう。妻が仕事をがんばると、なぜ夫は不機嫌になるのか?

「家事育児に支障が出ない範囲で」

共働き家庭で、妻が忙しくなると夫の機嫌が悪くなる問題とは。 © GettyImages 共働き家庭で、妻が忙しくなると夫の機嫌が悪くなる問題とは。

寝室でパソコンに向かう樹里(じゅり)さん(仮名、34)は、背中でドアが激しくバタン!と閉まる音を聞いて首をすくめた。

フリーランスのマーケッターとして働く樹里さんは、会社員の夫が帰宅後の夜に自宅で仕事をすることは、できるだけ避けている。パソコンのキーボードを打つ音がうるさくて眠れないと夫が言うからだ。

ただ、フリーで仕事を続ける身には、時に徹夜覚悟で仕事を片付けなくてはならない日もある。

「その時は夫に子ども部屋で寝てもらうのですが、夫の不機嫌はマックスです」

保育園に通う6歳と2歳の子どもを共働きで育てる樹里さんの悩みは「私の仕事が忙しくなると、夫がどんどん不機嫌になること」だ。夫は外資系企業で働く同い年だが、基本的には「妻が仕事をするのはオッケー。でも、家事育児に支障がでない範囲で」というスタンスだ。

妻の忙しさの“しわ寄せ”に不満の夫

夫の帰宅後は、家で仕事をしないようにしているが‥‥。 © Shutterstock 夫の帰宅後は、家で仕事をしないようにしているが‥‥。

樹里さんは「仕事が好きで、ありがたいことに依頼も多い」。それでも午後6時には仕事に区切りをつけ、保育園の迎えやその後の子どもの世話を、中心になって引き受けている。

夫に子どもたちの迎えを頼むのは月に2〜3回程度だが、それでも「私の仕事が忙しいために、しわ寄せが自分に来ていると夫は感じるようです。お前が忙しいから思う存分、仕事ができないと言われます」。

地方への出張が入る時は必ず、実母に来てもらうようにして、夫の負担を減らしている。しかし「自分の親に子どもを任せっきりにしている」と、夫の目には映るようだ。夫は「母親が子どものケアをすべき」という考えが根強い。

メディアの取材を受けたり仕事先も広がったり、樹里さんも多忙な日々だが、「夫には仕事の話は一切、しません」という。

夫に話しても、基本は無言です。とくに自分の仕事が行き詰まっている時は、プライドがあるみたいで。結婚前は仕事も応援してくれると思ったのですが」

職場で吊るし上げにあった夫

ただ、夫にも言い分はあるとは思う。

第二子の出産後、夫は仕事を定時で切り上げ、子育てをかなりするようになっていた。上の子どもの保育園送迎を全て引き受け、家族と夕食をとるように。しかし「この部署で一番、残業をしていないのは誰かわかっているのか」と上司に言われ、実際、評価も大幅に下げられた。

「吊るし上げを食らってしまって。男性の育児参加に限界を感じたようです」と、樹里さんは振り返る。その後、夫は転職している。

しばしば手伝いに来てくれる実母には、「あなたは忙しすぎるからスネてるのよ。もっと、旦那さんの愚痴も聞いてあげて」と言われる。とはいえ、家事も育児も仕事も夫のケアも求められると「私のケアは誰がするの」と思ってしまう。

私だってふつうの至らない人間。どこまでがんばればいいのでしょう

年収低い方が家事育児という理屈

家事育児の分担は、どうやって取り決めるべきか。 © GettyImages 家事育児の分担は、どうやって取り決めるべきか。

「こう言ってはなんだけど、俺の方が年収高いんだから、家事や子どものことを君が多くやるのは、合理的だと思うよ」

IT企業で働く夏実さん(仮名、41)は、共働きの夫(42)の言葉に絶句した。

小学1年生の長男(6)と保育園に通う長女(3)を抱え、テレビ局勤務の夫と暮らしているが、お互い多忙で毎日の生活を回すのは、ギリギリだ。夏実さんはこの夏に管理職になった。仕事の質も量も変わってくる。家事育児の分担の見直しを持ちかけると、返ってきたのがその言葉だった。

夏実さんは、朝はまだ暗いうちに起きて持ち帰った仕事をした後、そこから夕飯の仕込みと朝ごはんを作る。子どもたちを起こして支度をさせ、長男を小学校に送り出し、通勤途中で長女を保育園に送り届ける。

夫も朝は、洗濯や子どもの身支度に稼働するものの、とにかく夜が遅い。帰宅後は一人でお迎えから夕食、子どもと宿題、お風呂、寝かしつけと奔走する傍ら、仕事の連絡がスマホにバンバン来ると、注意を引こうと子どもが騒ぎ出し、夏実さんはお手上げ状態になる。

「俺ぐらい稼ぐなら、喜んで仕事減らすよ」

管理職になったのを機に、夫に「家の事情を会社に話して、早く帰れる日は帰って欲しい」と話したのだが、「一人で仕事をしているわけじゃない。自分だけが、子育てあるからと早く帰るわけにはいかない」。夫は今以上を引き受けることをとにかく渋る。

揚句の果てに、こうも言う。

「もし、今の俺ぐらい君が稼いでくれるなら、喜んで仕事減らして家事育児やるよ」

人生をやり直せぐらいの発言に、夏実さんは、ふつふつと怒りがこみ上げてくる。

「小さな子どもがいても夫が思う存分働けるのは、私が夜の子どもの世話を一手に引き受けているから。そもそも、自分一人の力で稼いでると言えるのでしょうか」

結婚前から忙しい女性が苦手?

少なくない数の男性には「女性よりも自分が活躍していたい」という固定観念があるのか。 © 撮影:今村拓馬 少なくない数の男性には「女性よりも自分が活躍していたい」という固定観念があるのか。

「女性が仕事で活躍すると、別れてしまうカップルも少なくないです。私の周りでも女性経営者や広告系、コンサルなどの収入が高い女性や、メディア露出するようになった女性は、何人もそれで結婚前に破局しています」

人材コンサル系の会社を経営するエリカさん(30代前半、仮名)は、すでに結婚前の段階から、男性は交際相手の女性が「自分より忙しくなる」「自分より活躍する」という状況が、苦手なのではと指摘する

「もちろん人によりますが、仕事でバリバリ活躍したい男性ほど、親や周囲の影響で『パートナーの女性より立場的に上でいたい』という固定観念がある。すると、『もっと自分が成長してからでないと結婚できない』と思うようです」

そんな体験も踏まえて、妻が忙しくなると夫が不機嫌問題についてはこういう。

「仕事で活躍したい、がんばりたい女性との家庭生活は、仕事も家事育児も求められる。男女の役割分担の意識が残る世代の男性は『仕事だけしていれば良い』と思っていたのに、と戸惑うのでは

妻が多忙になればなるほど、男性にも仕事と家庭の「両立不安」が高まるのかもしれない。

男性の本音は妻が家事育児の中心になってくれる「そこそこ共働き」かもしれない。それならいいけれど、自分より忙しくなったり、収入が上になったりすると、複雑な男性はやはり多いようだ。

妻の活躍全面支持派の理由

人口減少社会の働き方を考えれば、夫婦の分担をめぐる考え方は変わってくるかもしれない。 © Business Insider Inc 提供 人口減少社会の働き方を考えれば、夫婦の分担をめぐる考え方は変わってくるかもしれない。

では、夫婦共に思い切り働いていてもうまくいっている夫婦は、どんな関係性を築いているのか。

空き空間をインターネット上で貸し借りする、レンタルスペースのスペースマーケット(東京都新宿区)社長の重松大輔さん(41)は、妻も会社で役職に就く多忙な共働きだ。

保育園から小学校まで3人の子育て中でもある。お互い夜の会食や繁忙期もあるが、周囲の手も借りながら調整し、子育てと両立させている。そんな重松さんは、妻の活躍を全面的に支持している。

「夫婦ともに働く生活は、人口減少社会でスタンダードになると早くから確信していました。転職するにしても起業するにしても、共働きじゃないとチャレンジしづらい。片方だけが仕事というのはやはり、リスクがありますので」(重松さん)

子育てと仕事と家事とをこなそうとすれば、タスクは山積みだ。 © 撮影:今村拓馬 子育てと仕事と家事とをこなそうとすれば、タスクは山積みだ。

共働きの両親の姿を見て育ってきたことも大きいという。

「母も定年まで働いていましたし、父も家事も育児もしていました。最初に勤めた大手企業も長く働く女性が多かった。子どもの教育や家庭のリスク分散を考えても、結婚は稼げる女性としたいと、ずっと思っていました

こうしたベースの考え方に加え、重松さんの家庭では生活インフラを整えていることも大きいという。

「夫婦ともに忙しいなら、収入の一部を使って家事をアウトソースしたり、時短家電を使ったりと、時間を捻出する工夫をすることもできる。今は家事代行もシェアリングエコノミーサービスで低価格のものもある。近所のパパ友やママ友と子どもを預け合える関係も、本当に助かります」

抱えているタスクの棚卸しをして、自分でやらなくていいことはしない。夫婦で時間を作ることで、余計なストレスも軽減できると思いますよ

夫婦が仕事や家事育児の分担で揉める場合、そもそも、全てを本当に自分たちでやる必要があるのかを、考えてみるのも一つかもしれない。

1990年代半ばに専業主婦世帯の数を、共働き世帯が逆転してから約20年。今は「男は仕事、女は家庭」の古い価値観と、「共働きで共に家庭を回す」新しい価値観が混在する過渡期。

身近な人でも意見の違いはどうしても生じる。ただ夫婦は、現代をサバイブするためのパートナーだと考えれば、家事育児分担で内紛を繰り返している場合ではない。負担合戦をするより、建設的な話し合いへと前進できるだろうか。

© Business Insider Inc 提供

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https://www.businessinsider.jp/post-163525

(文・滝川麻衣子)

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