古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

求人減の兆し 40代「転職賢者」は会社より未来選ぶ

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2019/01/11 11:00
40歳からの転職は会社選びか仕事選びかで明暗が分かれることも。写真はイメージ=PIXTA © NIKKEI STYLE 40歳からの転職は会社選びか仕事選びかで明暗が分かれることも。写真はイメージ=PIXTA

リクルートキャリアが発表した2018年11月の転職求人倍率(転職支援サービス「リクルートエージェント」の登録者1人に対する求人数)は1.66倍と、人手不足時代を反映して高水準を続けています。しかし、長期的に見ると、17年12月の1.92倍をピークに少しずつ低下、採用の過熱感は落ち着きつつあるようです。この傾向が続くと今年は、40歳以上のミドル世代の転職は厳しさを増すかもしれません。今回は、求人が減少する時代の転職で特に気を付けたいポイントについて考えます。

■景気動向に連動、転職難易度は二極化へ

上で述べた転職求人倍率の全体平均は1.66倍ですが、実は職種別にみると大きく二極化しています。たとえば、きわめて求人需要が多い職種の求人倍率をみると、

●建設技術者 4.31倍

●組込・制御ソフトウエア開発エンジニア 4.19倍

●インターネット専門職 4.14倍

など、求職者1人に4社以上の募集が集まっています。それとは逆に、求職者の数が多いわりに求人が少ない職種では、

●オフィスワーク事務 0.39倍

●総務・広報 0.72倍

●営業 1.42倍

など、求職者1人に対して募集企業が1社を割り込むようなケースもあります。ちなみに、求人倍率1倍(求職者1人に求人企業1社)という数字は、均衡しているように見えますが、実際には勤務地や希望給与、求める経験・スキルなどがマッチするかといった変数が多いため、求職者にとってはかなり厳しい「就職難」の状況です。

人手不足が叫ばれ、相対的に求人倍率が高い(就職先の選択肢が多い)といわれている現在ですら、職種によってこれだけの格差があります。さらに「業種別の求人倍率」「地域別の求人倍率」、目に見えない「年齢別の求人倍率」などが掛け算されることで、特に40代以上の方の中には、転職に苦戦するケースが生まれているのが実情です。

この状況にさらに冷や水を浴びせるような景況の減速期がやってきたら? そう考えると、日ごろから万が一に備えておくことの重要性を感じていただけるかもしれません。

■40歳からの「会社選び」に潜むリスク

新卒で就職するときの就職活動は、職種の定めがない総合職の募集が多いために、就職というより就社、つまり「会社選び」になりやすい傾向があります。入社以来、一度も転職経験がない方は、これが唯一の「就活体験」であるため、いざ転職となったときに、再び「会社選び」を始めてしまうことが多々あります。

新卒時の就職活動のイメージは捨てて挑みたい。写真はイメージ=PIXTA © NIKKEI STYLE 新卒時の就職活動のイメージは捨てて挑みたい。写真はイメージ=PIXTA

しかし、「会社選び」の場合、観点としては、売り上げや利益などの財務状況、業界内での位置づけ・シェア、また従業員数や沿革など、ハード的な要素が多くなりがちです。もちろん社風や人間関係、コミュニケーションスタイル、評価制度などのソフト面も重要な基準となりますが、転職活動の初動では、どうしてもハードが中心になりがちです。

この場合、「財務基盤が安定しているか」や「知名度があるか」といった外形的な要素に振れやすく、結果的に「勝ち馬を探す」ような転職活動になってしまいます。

当然のことながら、人口収縮やIT化の加速、人工知能(AI)の活用範囲の拡大など、外部環境の変化を受けて構造が変わろうとしている端境期にある今、オールドエコノミーの大企業は改革を強いられ、ニューエコノミーのネット企業は技術変革競争でさらに激しい生存競争を繰り広げている状況です。40歳を超えた人が、今後20年もの間、安定性を継続できる勝ち馬企業を探すことに挑むのは、まったく現実的ではありません。

個人の観点で見ても、会社都合で職種の変更を強いられる就社型の働き方を選んでいては、自分自身の中に経験やスキルがストックされていく専門性を持つこともできなくなってしまいます。個人の生き残り戦略として、幻の勝ち馬企業を探すことよりも、自分自身が生き残れるスキルを構築すること、つまり「仕事選び」にシフトすることをお勧めしたい理由はそこにあります。

■自分のプロフェッショナルを効果的に売る

「会社選び」ではなく「仕事選び」を目指して成功するためには、自分の売り込み方も重要な要素となります。就職活動経験が少なく、慣れがない上に、雇用する側の視界を想定せずに活動を始める人の多くは、下記のような活動パターンになりがちです。自分自身がこれまでやってきたことを伝え、企業側に価値を算定してもらうという方法です。「ありのままの自分を売る」ということで便宜上、「Be型」と名付けます。

Be型

「私をいくらで買ってもらえますか?」方式の売り込み方

●アピールする内容

*学歴・勤務企業歴

*経験・実績・スキル

*理想の報酬(希望上限)

*理想の勤務条件・環境(設備面など)

一方、プロフェッショナル性が高く、成果の創出に自信がある方は、短期的な処遇条件より長期的なキャリア形成と、経験スキルや処遇の将来的な可能性を重視した活動になるケースが多いようです。転職活動での売り込み方も次のようなパターンになります。「自分がやりたいことを売り込む」ので、ここでは「Do型」と呼びます。

Do型

「私を買ってくれるとこれだけメリットがあります」方式の売り込み方

●アピールする内容

*経験・実績・スキル

*自分がありたい姿・成し遂げたい目標

*入社後に予想できる貢献内容

*必要最低限の報酬額

*必要最低限の勤務条件・環境(権限など)

*評価制度の確認

これら2つを比べてどう感じられますか? 特に「採用する側」の観点に立って考えてみてください。

採用側の意欲をそそるプレゼンテーションが重要。写真はイメージ=PIXTA © NIKKEI STYLE 採用側の意欲をそそるプレゼンテーションが重要。写真はイメージ=PIXTA

Be型は、自分が得たい情報が中心で、企業に提供できる価値に関する情報が少なく、採用する側が踏み込んで入社後の活躍イメージの想像を膨らまさないといけない傾向があります。ギブ・アンド・テークの交換でいうと、報酬をはじめとしたテークが先行していて、ギブが見えない構造です。リスクが採用する側に偏在しているので、なかなか買い手の意欲をそそらないプレゼンテーションになってしまいます。

一方でDo型は、求職者側からのギブが明確で、かつテークについてもミニマムスタートなので、買い手側にとってのメリットが伝わりやすく、買い気を盛り上げる売り込み方法になっています。

外部環境が大きく変動する時代の変わり目において、キャリア形成でもっとも重要なことは、自分自身の力量を高め続けられる状況づくりです。

●会社選びより、仕事選び

●過去の実績よりも未来にやりたいこと

●目先の報酬の多寡よりも、長期に自分の価値を高め続けられる機会

ぜひこれらの観点を参考に、盤石なキャリア形成に備えていただければ幸いです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行

© NIKKEI STYLE ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

NIKKEI STYLEの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon