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稼ぐエリートほど「肉と運動」を好むワケ

プレジデントオンライン のロゴ プレジデントオンライン 2018/09/13 09:15 堀江 重郎

金融機関のトレーダーなど「判断力」を求められるエリートには、「肉」を好み、定期的に「運動」する人が多い。その理由は「テストステロン」というホルモンの影響かもしれない。順天堂大学大学院の堀江重郎教授は「筋肉をつけるためにスポーツクラブに通い、肉を食べれば、テストステロン値が上がり、判断力が向上します。ビジネスエリートの行動は理にかなっています」という。自身の「脳力」を高める食事のポイントとは――。

※本稿は、堀江重郎監修『元氣食堂 肉とマカとテストステロン』(プレジデント社)の巻頭記事「テストステロンを高める、おいしい処方箋」の一部を再編集したものです。

テストステロンは「筋肉」と「判断力」に不可欠

男性の健康医学を研究する研究者、医療関係者により構成される「日本Men’s Health医学会」において、注目テーマの一つとして取り上げられる機会が多いのが「テストステロン」です。日本では「男性ホルモン」と言ったほうがなじみがあるでしょうか。

テストステロンは主に睾丸(精巣)でつくられます。でも、最近の研究によってわかってきたことなのですが、脳の「海馬」という記憶を司るところでも、ガンガンつくられているんです。

このことは、東京大学名誉教授で順天堂大学客員教授でもある川戸佳先生が世界で初めて解明しました。しかも海馬にあるテストステロンの濃度は、血中にあるものより高い。女性も海馬では、男性に迫るくらいに相当な量のテストステロンをつくっています。

テストステロンは、「筋肉」や「判断力」に欠かせません。言い換えれば、テストステロンを増やせば、元気で決断力のある仕事や人生を送れるというわけです。また、テストステロンがすごく高い人は、みんなに好かれます。魅力があるんです。

それだけではありません。テストステロンは、狩猟をする、旅に出る、新しいことにチャレンジするという「冒険のホルモン」であり、仲間や家族、あるいは縄張りや集団を守る「社会性のホルモン」でもあります。

さらには、ゲーム(麻雀、囲碁、将棋)やスポーツ、仕事などにおいて戦う「競争のホルモン」でもあるのです。ほかにも我慢できる、ボランティアや寄付をする、公平・公正を求める、不安を感じにくいといったことにも寄与します。

まさに、できるビジネスパーソンとして活躍するには不可欠なホルモンであり、ひとかどの“男”として魅力を高めるのにも有効なホルモンです。このテストステロンを高める要素の一つとして、「リスクをとる」ということが挙げられます。

リスクをとる人はテストステロン値が高い

今の世の中でリスクをとる人の代表格といえば、金融界で活躍するトレーダーたちです。実はロンドンのシティで活躍するトレーダーについての研究があります。

ケンブリッジ大学が行ったもので、17人のトレーダーを対象に、11時と16時の唾液を採取してテストステロン値を測定しました。その結果は、「テストステロン値が高い人は儲けが多い」というもの。この研究はリーマンショック(2008年9月)の前に行われたのですが、これを受けて、「自分がお金を預けている人が、テストステロン値が高いかどうか」ということが真剣に論じられていました。

ただこの話には、オチがあります。「テストステロン値が高い人は、儲けも大きいが、損も大きい」ということです。要するに、それだけリスクをとっているということ。手堅いスタイルとは反対で、大きくヤマをはるわけですね。

テストステロンは不安を感じにくくすると言いましたが、じつは「鈍感力」の源にもなっていて、他人の言うことが気にならない方向へと誘ってくれます。だからテストステロン値を高めれば欝病にもなりにくい。しかも、打たれ弱いのをカバーしてくれるのがテストステロンでもあるのです。

一方、テストステロンは加齢とともに低下します。テストステロンが低下すると人間はどうなるでしょうか?

テストステロン値が低いと早死にする

中学・高校生時代に一気に高まるテストステロンも、成熟した大人になって以降は、一般的には次第に低下して行くと言われています。たしかにデータをとっても、年齢とともに下がる傾向は明らかです。

ただ、よく見てみると年齢を重ねても下がらない人がいるんですね。たとえば、人間関係がアクティブであったり、社会参画が十分だったりする人は、テストステロン値が高いまま維持されると考えられます。

一方、平穏な老後を迎えた人のように、筋肉を使わず、判断力も必要ない立場になってしまうと、テストステロン値は急速に低下します。たとえ年齢が若くても、筋肉を使わない、判断をしないという人は、テストステロン値の低下に注意しなければなりません。

テストステロン値が低下すると、次のような症状が出ます。

【1】意欲・集中力に欠ける。

【2】チャレンジができない。

【3】人間関係がおっくうになる。

【4】眠りが浅くなる。

【5】痛みを感じやすくなる。

さらにひどくなれば、認知機能の低下や早死などのリスクが高まります。

大げさに聞こえるかもしれませんが、テストステロンは人生を左右しかねない重要なホルモンなのです。

薬指と人差し指の長さでテストステロン値の高低がわかる

となると、ここで気になるのが「自分のテストステロン値は高いのだろうか、低いのだろうか」ということでしょう。これは、指の長さで見分けられると言われており、世界で最も権威ある科学誌の一つである『ネイチャー』にも2000年に掲載されました。

第2手指(人差し指)と第4手指(薬指)を比べた場合、男性は第4手指のほうが長いことが多い。ところが女性の場合は、どちらの指も同じくらいの長さの人が多い。これはなぜかというと、お母さんのおなかにいる胎児のときに、男性ホルモンを出す量に応じて指が伸びてくるのですが、第4手指のほうがテストステロンの受容体が多いんです。

また、胎児のときの傾向がその後、ほぼ一生涯続くということもわかっています。ただし、あくまでこれは“傾向”です。繰り返しになりますが、筋肉も使わない、判断もしないという状況が続けばテストステロンは低下していきます。

レオナルド・ダ・ヴィンチの『ウィトルウィウス的人体図』でも第2手指より第4手指のほうが明らかに長く描かれています。テストステロン、あるいは男性らしさと指の長さについて、彼が知っていたのかどうか気になるところです。

さて、それはともかく、テストステロン値を高めるには、どんな食生活や食習慣が望ましいのか、見ていきましょう。

肉を食い、ジムで鍛えて判断力をアップさせるエリート

テストステロン値を高めるためのキーワードの一つ目は「肉」です。ポイントとなるのは「筋肉をつくる」という点と、その「食べ方」にあります。

テストステロンは筋肉をつくるのに不可欠なホルモンですが、筋肉をつくると、筋肉からテストステロンが出ます。これは男性でも女性でも同様です。判断力が要求されるビジネスエリートがスポーツクラブに通っているのはまさに、理にかなっていることなのです。単なる見栄でやっているわけではありません。

また筋肉を効率よくつくるには、体の中で燃焼しやすく、タンパク質を効率的に吸収できる肉を積極的に食べたいところです。なかでもラムやマトンなどの羊肉は、カルニチンというアミノ酸が豊富に含まれていて、これが精巣を通じてテストステロン値をアップさせます。もちろん筋肉アップにもプラスに作用します。

羊肉にはやや劣りますが、カルニチンは牛肉にも多く含まれています。ただし、動物性脂肪を取り過ぎると、前立腺ガンを引き起こしかねません。それが気になるなら、赤身肉を中心に食べるといいでしょう。動物の赤身肉には鉄分などミネラルも豊富に含まれています。その意味で馬肉もおすすめです。

ちなみに、赤い色を見ることもテストステロン値を上げる要因になります。だから、最初から焼かれた肉を食べるよりも、最初に赤い生肉を見ておいて、それを目の前で焼いたほうがテストステロン値は上がります。真っ赤な馬刺しを口に運ぶのも、効果があります。

「バーベキュー」で集団を率いるといい

肉は、テストステロン値を上げる食べ方ができる点でも秀逸です。実は、何を食べるかも大事なんだけど、バーベキューなどで、大人数で食べる雰囲気が大切なのです。野外で、かたまり肉をナイフで削って食べるような豪快な食べ方もいい。

ただ、大人数で食べる際に心がけたいのは、「自分がほかのみんなに食べ物を振る舞う」こと。一つ一つの材料に火が入り、「よし、食っていいぞ」と言える人間のみ、テストステロン値が高まります。なし崩し的にみんなに食われちゃダメなんです(笑)。

バーベキューがさらにいい点は、“火”を感じながら食べられること。人間は、火を見ると燃えるものがある。特に男は、原始に帰るような本能を呼び覚まされる。火をいじることはやはり大事です。和風なら囲炉裏での料理もいいですよ。

これらを手軽に家庭で実現するなら「すき焼き」がおすすめです。下準備は誰がやってもいい。なんなら、自ら調理する必要もありません。「まずネギを焼いて」「次は肉を入れて」と口先だけの“鍋奉行”でいいのです。ただし、「よし、食っていいぞ」と号令をかける権限だけは手放さないでくださいね。昭和の時代に威張り散らしていたわがままオヤジのイメージでしょうか(笑)。

もし、鍋を囲む集団に女性が入ると鍋奉行はもちろん、そうでない男性もテストステロン値がアップする可能性が高くなります。ただし狩猟時において、獲物を追いかけている時の男性はテストステロン値がアップするものの、獲物を仕留められないと急激に落ちてしまうことは覚えておいてください。

さて、テストステロン値を上げるキーワードはまだあります。

マカはあらゆる野菜のなかで最強ともいえる存在

テストステロン値を高めるキーワードの二つ目は「マカ」です。マカは精力を高めるなど体にいいと注目されています。このマカをはじめ「元気が出る野菜」と呼ばれているものには、テストステロンを直接アップさせるというよりは、結果的にテストステロンアップにつながる可能性が高いものが少なくありません。

南米原産の元気がでる食品としてますます注目されているマカは、抗酸化作用において最強クラスと言えます。体のサビ取りをしてくれるわけですね。これは体を若々しく保つために、とても大切な効能です。その点では、同じアブラナ科野菜のブロッコリーもいい。多くのアブラナ科野菜は、たとえば前立腺にいいとか、ガンを予防するとか、テストステロン値を上げるとか、人間にとってさまざまないい作用があると言われているんです。

その中でもマカは栄養価が抜群に高い。ただ、まだその全ての効能が解明されているわけではありません。どんな形でテストステロンに好影響を与えるのかがより科学的に解明されてくれば、マカの評価はより一層上がることになるでしょう。

日本でも、ようやく生のマカを口にするがでてきてきました。すりおろすと強烈な香りが漂い、ピリッとした辛みは牛肉や青魚などと合わせて食べるとピッタリです。それが体内に入ると、エネルギーがみなぎる感じがします。

マカは、テストステロンにいい影響を与える食べ物として、最も注目していきたい野菜であることは間違いありません。

「抹茶」と「チョコレート」が“やる気”を引き起こす

マカ以外なら、ナガイモや自然薯(じねんじょ)などのヤマノイモは、漢方では「山薬」と呼ばれていて、これもテストステロン値を上昇させるのにいい役割を果たすことがわかっています。ネバネバした野菜の多くは、なんらかの形でいい影響があると考えて間違いありません。

元気がでる野菜の代表格ともいえるニンニクは、単体で食べてもテストステロン値が即上がるというものではありません。しかし、マカの食べ方と同じように、肉や青魚と一緒に食べると効果が高まるのです。ニンニクをたっぷり使ったカツオのタタキなどは、まさにテストステロン値を上げる食べ方です。アリシンなどの含硫化合物(硫黄化合物)がそうした役割を果たします。ネギやタマネギ、ニラなどの香味野菜も同様の効果が期待できます。

ほかに、ウリ科植物に含まれているシトルリンは、テストステロンの作用を補助してくれます。とくにスイカの皮に近い白いところがすごくいい。カブトムシの餌にしている場合ではなくて、人間こそ食べなきゃもったいない(笑)。

テストステロンと相関関係があると考えられる、ドーパミンを上げる食べ物も注目したいところ。「抹茶」なら薄茶ではなく濃茶を、「チョコレート」ならカカオの含有量が多いものをおすすめします。

やる気に満ちた元気な人生を送るために、また、健康長寿を得るために、ぜひテストステロン値を高める生活を送ってください。

堀江重郎(ほりえ・しげお)

稼ぐエリートほど「肉と運動」を好むワケ: 堀江重郎氏(順天堂大学大学院教授) © PRESIDENT Online 堀江重郎氏(順天堂大学大学院教授)

順天堂大学大学院 教授

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、国立がんセンター中央病院などを経て、42歳で帝京大学医学部主任教授に就任。日本初の男性外来であるメンズヘルス外来を開設。2012年より現職。日本メンズヘルス医学会理事長、日本抗加齢医学会理事長。著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館101新書)、『ヤル気がでる!最強の男性医療』(文春新書)などがある。(写真=iStock.com)

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