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高齢者が「車の運転に必要な能力」を鍛える30の方法 認知症予防にも効果的

マネーポストWEB のロゴ マネーポストWEB 2022/08/05 16:15
運転に必要な能力を鍛えるための30の方法【その1】 © マネーポストWEB 提供 運転に必要な能力を鍛えるための30の方法【その1】

 5月13日から、75歳以上のドライバーの免許更新に「運転技能検査」が加わった。過去3年間に一定の違反歴がある場合、試験コースで運転課題をこなし、100点満点中70点以上を取らなければ免許の更新は認められない(第一種免許の場合)。

【表】運転に必要な能力を鍛えるための30の方法

 75歳以上の全員に義務付けられた「認知機能検査」もあるほか、警察庁は運転免許の「返納」も促しており、運転免許更新のハードルは着実に高くなっている。

「高齢になると認知機能が低下し運転技術が衰えることが多く、運転免許を返納しようか迷う方が少なくない。認知症になって運転が危険な方は、もちろん免許の自主返納をして頂くことが必要です。しかし早めの認知症予防に取り組めば、脳と体の機能低下を防ぎ、長く安全運転を続けられます」

 そう指摘するのは、『認知症予防で運転脳を鍛える』(JAFメディアワークス刊)の著者で、鳥取大学医学部教授の浦上克哉医師。日本認知症予防学会理事長で認知症診断・予防の第一人者である浦上医師は、「高齢者の運転免許を取り上げるのは逆効果になりかねない」と語る。

「今のシニアは車を持つことがステータスで運転が趣味という世代。免許返納は彼らの生きがいを奪い、行動意欲が低下してかえって認知症リスクが高まります。逆に、運転のように高度な認知機能を必要とする行動を続けることは、認知症予防につながります。高齢者が車を運転すること自体が認知症を防ぐのです」

 実際、国立長寿医療研究センターの研究では、運転をしていた高齢者は運転をしていなかった高齢者に対して、認知症リスクが約4割減少することが分かった。

視空間認知機能、近時記憶、見当識などを鍛えるトレーニング

 浦上医師は、「運動」「知的活動」「コミュニケーション」の3要素を取り入れた「とっとり方式認知症予防プログラム」を開発し、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の認知機能を改善した実績を持つ。

 そのプログラムを応用し、安全運転を長く続けるための認知症予防法を記したのが別掲表だ。

 たとえば空間の全体的なイメージを把握する「視空間認知機能」が衰えると、車間距離を一定に保てなくなったり、ラインに沿って駐車できないなどの影響が出る。

 この機能を鍛えるには、限られた空間に物を正しく配置するトレーニングが効果的だ。

「安全な場所でバックしながら車庫入れする練習をすれば、車体の位置を空間的に把握できます。車を使わなくても、ガーデニングや本棚の片づけなど日常の動作で視空間認知機能を鍛えられます」(浦上医師・以下同)

 情報を覚えたのち、いったん別のことに意識を向け、数分から数日経ってから思い出す「近時記憶」は、アルツハイマー型認知症の最初期に衰える機能だ。運転面では、出発前にキーが見つからなかったり、大きな駐車場で車を駐めた位置が思い出せないといったトラブルが生じる。

 近時記憶を鍛えるには、意識的に情報を記憶して、のちに思い出すトレーニングが有効だ。

「ドライブ先で見たものや食べたものを覚えておき、帰宅してから思い出して家族に話してください。大きな駐車場の何番のマスにマイカーを駐めたかを覚えるよう努力することも効果的です」

 時間や場所の感覚、人間関係などを把握する「見当識」が衰えると、日時や場所の感覚が薄れ、日付や自分のいる場所が分からなくなる。さらに進行すると、家族や知り合いの顔や関係性が分からなくなってしまう。

「よく行く場所への道順を忘れる、ドライブ中に行き先が分からなくなるなど、運転にも大きな支障が出ます。カレンダーに予定を書いたり日記をつけるなど、日々の感覚や変化を意識することで見当識を鍛えられます」

 運転中は状況に応じて速度を変えたり、ハンドル操作を加減する必要がある。物事を正しく認識し、目的や条件に応じて必要なものを選択する「判断力」は、車の運転に欠かせない能力だ。

「買い物の際、いつも決まったものを選ぶのではなく、値段や機能、栄養価などを比較検討したり、早く会計できそうなレジを選ぶなど、日常のちょっとした心掛けで判断力を養えます」

料理や折り紙も効果的

 実践する際は「日常で楽しく行なう」ことがカギとなる。

「頻度を気にするより、日常生活のリズムに予防法を取り入れ、習慣化するのが長続きのコツです。ストレスを感じず楽しみながらやるのも大切。間違い探しをしたり、詩・俳句の創作、料理や折り紙でも運転能力を鍛える認知症予防はできます」

 別掲表に掲載した以外にも、運転を続けるために取り組みたい認知症予防法がある。

「高齢期の運動不足は認知症発生リスクを1.4倍高めます。血液の循環を良くして脳の神経細胞を活性化するウォーキングなどの『有酸素運動』と、日常で不自由なく動ける筋力を維持するスクワットなど『筋力トレーニング』をバランスよく行なうことが大事。毎日6~7時間の『質の高い睡眠』も心掛けましょう」

 以上の予防策を講じたら、運転席に乗り込みエンジンをスタートしよう。

「車が運転できれば、コロナ禍でも人との接触を増やさず行動範囲を広げやすくなる。日常生活はもちろん、少し足を延ばしてドライブや旅行を楽しめば、生活にハリが生まれて健康長寿につながります」

※週刊ポスト2022年8月5・12日号

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