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「定年後の年収は半分未満」が4割という現実 「労働時間は変わらない」人が半分以上だが…

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/10/07 13:00 明治安田生活福祉研究所
これからますます、定年後を見据えた自分のキャリアプランを考えることが大切になりそうです(写真:stockstudioX/iStock) © 東洋経済オンライン これからますます、定年後を見据えた自分のキャリアプランを考えることが大切になりそうです(写真:stockstudioX/iStock)

「役職定年」や「定年後の継続雇用」などキャリアの節目となる出来事を、多くの人は50代から60歳前後で迎えます。そのとき、彼・彼女らの働き方や収入にはどのような変化があるのでしょうか。また、定年制度に関する意識や実態などにはどのような傾向が見られるのでしょうか。

役職定年後のモチベーション、定年後に働くことの希望やその働き方、定年後の継続雇用などについて、3回に分けてご紹介します(本記事は第3回)。今回の記事では、継続雇用者に期待されている役割と仕事へのモチベーションについての調査結果をご紹介します。

なお、本稿掲載のデータは、明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団が共同で行った調査の結果「50代・60代の働き方に関する意識と実態」によるものです。

第1回:50代会社員が直面する「役職定年」のリアル
第2回:生計維持だけでない「定年後も働きたい」理由

継続雇用を選んだ理由

 現在、定年後の働き方として最も希望が多いのが継続雇用です。ただ、定年後の継続雇用、それも大半を占める再雇用の場合には一般的に雇用条件が引き下げられることが多いため、これら社員のモチベーションをいかにして確保するのかが、企業にとっても社員にとっても重要なテーマとなっています。

 前回記事(「生計維持だけでない「定年後も働きたい」理由」)では50~64歳の定年前の正社員については、継続雇用の希望が多いことをご紹介しました。そこで今回記事では、実際に継続雇用を選択して働いている60代前半男性の実態について詳しく見ていきます。

 私たちの調査対象のうち、定年後も働いている男性の64.1%が、定年前と同じ企業(グループ)に継続雇用で働いています。そして定年前とは別の企業グループへの再就職者は28.0%、起業者は5.4%となっています。

 定年後の働き方として定年前と同じ企業(グループ)での継続雇用を実際に選んだ人の51.3%が「今まで培ったスキルやノウハウを活かせそうだったから」をその理由に挙げ、最も高い割合となっています。次いで「職場や勤務地など環境を変えたくなかったから」37.1%、「会社から継続を頼まれたから」33.9%と続きます。スキルやノウハウを活かすという前向きな姿勢が表れている一方、変化を避ける気持ちや受け身のスタンスもうかがえます。

 定年前の正社員が継続雇用を希望する理由(第2回参照)と比べると、実際に継続雇用で働いている男性の場合には、「会社から継続を頼まれたから」の割合が高くなっています(60代前半の定年前正社員19.2%)。一方で、「今まで培ったスキルやノウハウを活かせるから」の割合は低くなっています(60代前半の定年前正社員73.2%)。

 次に60代前半の継続雇用の男性が会社からどのような役割を期待されていると思うか、本人の認識をたずねました。

継続雇用者が自覚している「自分の役割」

 継続雇用者のほぼ半数の人が「専門知識・ノウハウの提供」49.1%、「後進の指導・助言的役割」45.9%を期待されていると認識しています。一方、50代後半と60代前半の定年前正社員の男性においても、継続雇用者と同じ役割が上位を占めており、期待されている役割の認識はさほど変わりません。また、「経験や人脈を活かした第一線の仕事」を期待されていると認識している継続雇用者も、同年代の定年前正社員には及ばないものの33.0%を占めています。

 一方、「経験・技能を必要としない軽微な仕事」しか期待されていないと認識している継続雇用者は12.1%。同年代の定年前正社員に比べるとやや高いものの、大きな違いはありません。

 このように経験・技能・キャリアなどを活かした役割を発揮することが期待されているとの認識がうかがえます。

 それでは、期待されている役割に応じた適切な評価は、なされているのでしょうか。60代前半の継続雇用の男性に人事考課が実施されているかをたずねたところ、「実施されている」は57.9%。42.1%が「実施されていない」と回答しています。

 そして、人事考課が実施されていると回答した人に、考課結果が何に反映されているかをたずねたところ、「賞与・一時金に反映」されている割合は49.1%でトップ、次に「契約更新の判断に反映」が39.1%と続きます。
一方、考課結果が「処遇には反映されない」と認識している割合は、人事考課が実施されているうちの約6人に1人(15.6%)です。

 60代前半の継続雇用の男性に、現在の労働時間(残業を含む)が定年直前と比べてどの程度の長さになっているかをたずねたところ、51.2%の人が「変わらない」と回答しています。労働時間が短くなった人の割合は46.8%で、定年直前の労働時間を100%とした場合、「75~100%未満」に短縮が22.5%、「50~75%未満」が14.5%。50%未満に短縮となった人は9.8%となっています。

労働時間・年収の変化とモチベーション

 次に、60代前半の継続雇用の男性に、定年後の仕事に対するモチベーションが定年直前と比べてどのように変化しているかをたずね、定年後の労働時間の変化との関係を確認しました。

 労働時間が定年直前と変わらない人のうち、約4割のモチベーションは定年直前とほぼ同じで、モチベーションが低下した割合は約5割でした。これに対し、労働時間が75%未満に短縮した場合には、モチベーションに変わりないのが2~3割で、低下した割合が約7割となっています。

 モチベーションが「やや低い」の割合は、労働時間の変化により影響を受けているようです。なお、「低い」と回答した割合は、労働時間が25~100%未満の人が約2割なのに対し、労働時間が変わっていない人は24.7%となっています。

 60代前半の継続雇用の男性に、定年直前の年収を100%とした場合に現在の年収(勤労収入のみ)はどの程度の水準になっているかをたずねたところ、「50~75%未満」が37.0%と最も高く、次に「25~50%未満」が34.2%となっています。定年直前に比べて年収が50%未満に減少している人が継続雇用者全体の39.8%を占めています。

 次に、継続雇用者の仕事に対するモチベーションが定年直前と比べてどのように変化しているかについて年収の変化との関係を確認したところ、定年後の年収の減少幅が大きいほど、定年直前と比べてモチベーションが低い傾向が見られました。定年後も年収が変わらない人の場合、「低い」と回答した人は2.3%だったのに対し、年収が75~100%未満になった場合では9.4%、50~75%未満になった場合では22.4%とその割合は高くなります。

 また、「低い」と「やや低い」を合わせた、定年直前よりもモチベーションが下がった割合は、年収が変わっていない場合では約4人に1人なのに対し、年収が定年直前の25~75%未満の水準になった場合では、約3人に2人を占めています。

仕事内容の変化とモチベーション

 定年後に継続雇用になった際、仕事内容に「全く変化はなかった」39.0%と「少し変化があった」33.1%を合計した約7割の人が、定年直前とあまり変わらない仕事を続けていると回答しています。

 一方、19.0%が「かなり変化があった」、8.9%が「全く別の仕事になった」と回答しており、継続雇用を選んだものの、仕事内容に変化があった人が約3割いるようです。

 そこで定年前後の仕事内容の変化の程度別に、現在の仕事に対するモチベーションを定年直前と比較してたずねたところ、仕事内容の変化が大きい人ほどモチベーションが低下していることがわかりました。

 仕事の内容に変化がまったくない、あるいは少し変化があった場合、モチベーションが低下した人の割合は約5割でした(「全く変化はなかった」51.6%、「少し変化があった」53.8%)。ところが、仕事内容が大きく変化した場合には、その割合は約7割となります(「かなり変化があった」73.0%、「全く別の仕事になった」73.7%)。

 継続雇用者の約4割の人が定年直前に比べて年収が50%未満に減少し、年収の減少幅が大きいほど仕事のモチベーションも低下しているのが実情です。

 さらに継続雇用を選んだ理由としては「今まで培ったスキルやノウハウを活かせそうだったから」「職場や勤務地など環境を変えたくなかったから」が上位となっています。そのため、定年直前と仕事内容が大きく変わると、本人の希望やスキルとのミスマッチからモチベーションの低下につながるのではないかとも考えられます。

 人生100年時代の職場では、継続雇用者の仕事のモチベーションを確保する仕組み作りが従来以上に課題となるでしょう。

 また、働き手の側も定年後を見据えた自分のキャリアプランを考えることがますます大切になるでしょう。

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