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義母に認知症の傾向が… 銀行口座が凍結される前にどう対策するか

マネーポストWEB のロゴ マネーポストWEB 2021/11/23 15:00
今はまだ大丈夫でも…(イラスト/大野文彰) © マネーポストWEB 提供 今はまだ大丈夫でも…(イラスト/大野文彰)

 認知症になり本人の意思がはっきりしなくなると、さまざまな面で支障が出てくる。とりわけ難しいのが、財産や預金の管理だろう。周囲の人はどのように対応することができるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】

 近くに住む義母は要介護1で、日時や曜日を間違えるなど認知症の傾向があります。義母は生活費を銀行から引き出すときは必ず窓口で手続きするため、私が付き添っています。先日、認知症の人の口座は凍結されると聞いたのですが本当ですか? この先、義母の症状が進んだ場合、生活費を引き出すことができなくなるのではないかと心配です。対策を教えてください。(富山県・58才)

【回答】

 銀行が預金の払い戻しに応じるのは、預金者本人の意思確認ができることが前提です。本人の意思によらない場合は、家族でも引き出せません。

 本人の認知判断能力が低下すれば民法の成年後見制度を利用し、程度が軽い場合は補助人や保佐人の同意を得た本人が、能力低下が進行した場合には成年後見人や任意後見人が預金取引をするのが原則です。しかし現状は、認知能力が低下しても、費用や第三者への依頼への抵抗感等から成年後見制度の利用があまり進んでいません。

 その一方で、銀行には認知能力が低下した預金者から日々の生活費や治療費の支払いのため預金引き出しの要請がされる場合があります。こうした現状を踏まえ、全国銀行協会が公表した預金取引についての「考え方」は次のようなものです。

 まず、認知能力の低下した預金者の親族に成年後見制度の利用を促し、手続き完了までの間は、本人との間で、本人のための費用の支払いであることを確認するなどしたうえで対応することが望ましいとしています。

 しかし、預金者本人から親族等へ有効な代理権付与が行われ、銀行が代理人の届け出を受け付けている場合は、その代理人と取引を行うことも可能とされています。つまり、銀行に代理人として届け出ておけば、本人の認知能力が低下しても代理人が預金の引き出しができます。

 本人の認知能力の衰えが深刻でこうした扱いができない場合には、成年後見制度を利用するほかありません。しかし、先述の「考え方」では、成年後見を利用できない場合、きわめて限定的な対応として、「認知判断能力を喪失する以前であれば、本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払い手続きを親族等が代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかである場合に限り、依頼に応じることが考えられる」としています。

 以上のことから、あなたの場合は代理人届を出すのが有効ですが、届け出は預金者本人がします。すでに認知能力が低下していれば、銀行から円滑に受け付けてもらえないかもしれません。

 そのような場合でも、認知能力の低下が常時あるわけではないのであれば、意識がはっきりしているときに、本人が代理人に預金取引を委任する意思があることを公証人に確認してもらいましょう。公正証書を作成し、預金取引を含む事務の委任を受ける内容の委任契約を締結することで、預金取引の代理権を証明することもできます。まずは公証人役場で相談してみるとよいでしょう。

【プロフィール】

竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※女性セブン2021年12月2日号

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