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3年前にがん手術、医療保険に入れる? 告知項目カギ

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 5日前

PIXTA © NIKKEI STYLE PIXTA  3年ほど前に受けた人間ドックで大腸がんが見つかり、内視鏡手術で切除しました。予後は良好で、検診以外は医者にかかっていない状態なのですが、医療保険で入れそうなものはありますか。夫も勧めてくれるので、再発に備え、保険料が高くても前向きに検討したいです。(Uさん、大阪府在住、50歳)

 実際に医者にかかった経験がある人ほど、「医療保険に入りたい!」と強く思うものかもしれません。「切迫早産で2カ月間入院」「がんで手術」など、そのときは医療保険に入っていなくて治療費を自己負担したという人ほど、体調が回復してきたタイミングで医療保険に強い関心を示します。

 今回はUさんを例に、がん経験者でも入れる医療保険を検討してみましょう。

【相談者プロフィル】

相談者:Uさん(50歳女性、専業主婦)

家族:夫(56歳、会社員)、子ども2人(22歳、20歳)

【加入している保険】

Uさん:なし

夫:

・定期保険(死亡保障2000万円)

・がん保険(診断一時金100万円、入院日額1万円など)

■がん経験者が入れる医療保険は3種

 医療保険に申し込む際に、合わせて求められるものに「健康状態に関する告知」があります。その告知項目の厳しさによって、医療保険は下の表1の3つのタイプに分かれており、タイプA→B→Cの順で検討するのが基本です。

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 まずタイプAの一般的な医療保険は、保険会社が健康だと判断した人が割安な保険料で入れるしくみで、筆者が現時点で把握している限り、35社超の保険会社で取り扱いがあります。

 がんに関しては「これまでがんにかかったことがあるか」「5年以内にがんにかかったことがあるか」という告知項目で尋ねてくるのが通常です。保険会社によって告知項目の内容にばらつきがあり、「これまで」という聞き方をされてしまうと正直お手上げですが、「5年以内」という聞かれ方のところであれば、5年たっていれば、割安な保険料の一般的な医療保険に申し込める可能性が出てくるわけです。

 逆に言えば、Uさんのようにまだ3年という段階で一般的な医療保険に申し込んでも、門前払いされる可能性が高いと言えます。

■引受基準緩和型は多くの情報収集を

 そこで、次に検討したいのはタイプBの「引受基準緩和型」(限定告知型)と呼ばれるタイプです。ネーミングについて言及しておくと、保険会社の目線で見たとき、保険の申し込みを引き受ける判断基準を一般的な医療保険よりも緩めにしたという意味合いがあります。

 一方、契約者目線で見ると、表1にあるように一般的な医療保険よりも少ない告知項目(2~5項目程度)で申し込めるので、「限定告知型」とも呼ばれています。このため、インターネットなどで引受基準緩和型の保険を探すときは、「引受基準緩和型」と「限定告知型」の両方のキーワードから検索をかけると、もれなく探しだせます。

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 引受基準緩和型(表2)は一般的な医療保険に比べて保険料が割高で、契約から一定期間(1年、2年など)は保障額を半分削減されてしまう設計のところが多いものの、一般的な医療保険より告知項目が少なく、入りやすい点が魅力です。

 加えて、一般的な医療保険のように保険を申し込むときに初めて告知項目を目にするのではなく、ホームページやパンフレット上で告知項目をあらかじめ確認できるので、入れそうか無理そうなのかが申し込み前にわかる利点があるからです。

 引受基準緩和型を取り扱う保険会社などは現時点で25社を超えていますが、実は、保険会社ごとに告知項目が異なる点には留意が必要です。ある保険会社では告知項目にひっかかったものの、別の保険会社ではOKだった、ということはよくあるのです。

 そのため、引受基準緩和型を検討する際には、とにかく幅広く情報収集することが大切です。そのうえで告知項目をチェックし、自分の体の状態なら告知項目にひっかからない保険会社を複数ピックアップして検討していく「粘り強さ」が求められます。

 Uさんの場合は、最終的に下の表3の3社で検討することになりました。すべての告知項目にひっかからなかったので、後は、保険料負担と保障内容の充実度からの絞り込みだけです。がん経験者の読者も、ぜひ、この告知項目を試してみてください。

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■無選択型では既往症の保障なし

 幸運にも引受基準緩和型の中で納得のプランに出合えたUさんですが、がん経験者のすべてがこのタイプの保険に入れるとは限りません。それでも、何らかの保障が欲しいという場合や、現在、がんと闘病中ながら医療保険が欲しいという希望が強い場合は、「無選択型」(無告知型)を検討する手もあります。

 ただ、このタイプは表1にあるように、健康状態の告知が不要なため誰でも入れますが、保険料は非常に割高で、保障範囲が狭い点に注意が必要です。たとえば、入院限度日数の上限は短めで、保障期間も5年・10年などの定期タイプのみ。また、病気に関する保障は、契約してから90日間は保障されないのが通常です。

 そして、最も注意が必要なのは、既往症が保障されない点です。Uさんのように、「がんの再発が心配だから医療保険に入りたい」というニーズには対応できないしくみになっているのです。

 なお最近は、無選択型の取り扱いをやめて、引受基準緩和型を主力に位置づける保険会社が増えてきているため、ほんの数社しか取り扱いはありません。

■がん経験者も入れる「がん保険」

 医療保障といえば、医療保険だけでなくがん保険も人気です。実は、がん経験者でも入れるがん保険があります。筆者が現時点で把握している限りでは、すべてのがん経験者を対象としたものが2社あり、昨年、1社が取り扱いをやめたものの、新たに別の1社が取り扱いを始めました。このほか、乳がん経験者専用が1社、小児がんを克服した人向けが1社あります。

 医療保険と比べたときのがん保険ならではの特徴は、保障をがんに特化し、がんに用いられる治療法(放射線治療、抗がん剤治療、免疫療法など)で保険金を受け取れる点が魅力です。Uさんも、すべてのがん経験者を対象としたがん保険を視野に入れて検討してみましたが、告知が厳しめで、保険料水準が予算オーバーだったために断念しました。

 保障が充実していて保険料が割安で人気なプランほど、加入制限を厳しくするというのが保険の持つ一面です。言い換えれば、がん経験者にとっては特に入りにくい設計になっているか、保険料が割高か、保障内容が狭くなっている可能性が高いのです。

 再発時の治療費に備えて医療保険を検討する際は、保険料予算と最優先で必要な保障を決めた上で検討し、場合によっては預貯金で備えると割り切る決断も大切と考えます。

竹下さくら

  © NIKKEI STYLE ファイナンシャルプランナー。損害保険会社・生命保険会社に勤務後、FPとして独立。主に個人のコンサルティングを行うかたわら、講演・執筆等を行う。主な著書に『「保険にはいろうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)、『知らないと損をする!  間違えない保険選びのツボ』(同)などがある。

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