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NISA初の満期到来、ロールオーバーすべき?

JBpress のロゴ JBpress 2018/10/30 06:00 小島 淳

© Japan Business Press Co., Ltd. 提供

 2014年1月に始まったNISA(少額投資非課税制度)。株式や投資信託などを対象に、本来は2割課税される運用益が5年間非課税になる制度です。2014年に投資した資産については2018年12月末、NISAとして初めての満期を迎えます。

 満期後の具体的な対応は主に、(1)翌年(2019年)のNISA非課税枠に移管する、(2)課税口座(特定口座もしくは一般口座)に移管する、(3)売却して現金化する――の3つです。NISAで投資している方には金融機関からすでに詳しい案内が届いていると思います。

 これを機会に、NISA口座以外の資産についてもその運用成果と資産配分を確認してはいかがでしょうか。さらには、毎年この時期に定点観測するのもいいかもしれません。

非課税枠120万円を超えてもロールオーバー可能

 上記(1)の「翌年(2019年)のNISA非課税枠に移管する」ことを「ロールオーバー」といいます。ちなみに、2014年1月1日から2018年10月1日までで、日経平均株価は48.12%上昇しました。2018年10月半ばから下落傾向を見せているとはいえ、2014年にNISAで投資した多くの方はおそらく資産が増え、非課税効果を実感できたのではないでしょうか。

 NISAのロールオーバーに関して、利用者(投資家)から見たポイントを3つにまとめてみます。

NISAの非課税期間(出所:金融庁) © Japan Business Press Co., Ltd. 提供 NISAの非課税期間(出所:金融庁)

(1)120万円超のロールオーバーも可能(金額上限なし)

 NISAの非課税枠は年間120万円(2014年と15年の2年間は100万円)。NISA口座による運用の結果、時価が非課税枠を超えた金額まで増えたとしても、全額ロールオーバーできます。ロールオーバー可能な金額に上限はありません。ただし、ロールオーバーした金額が120万円以上の場合、非課税投資枠を使い切ることになるので、NISA口座での新規投資はできないことになります。

(2)金融機関への手続きが必要

 ロールオーバーをするには、NISA口座がある金融機関で手続きする必要があります。自動的には移管されません。2019年分の手続きは金融機関によって違いはありますが、2018年11月下旬~12月上旬までに必要書類を送付しなければなりません。間に合わなければ自動的に課税口座(特定口座もしくは一般口座)へ移管されます。

(3)ロールオーバーできるのは1回のみ

 2014年分の非課税枠としてロールオーバーできるのは1回のみです。非課税期間は2019年~2023年で、それ以降は課税口座に移管するか売却することになります。この部分は、長期投資促進の観点からは問題があり、NISAの課題として議論の余地があります。今後は制度が変わる可能性があるので注意しておきましょう。

 大きなポイントは以上ですが、ほかにも「他口座との損益通算ができない」「つみたてNISAへの移管は不可」などがあります。

今後5年間で資産が増えるか減るのか

 ロールオーバーすべきか課税口座へ移すべきかは、今後5年間でNISA口座の資産が増えると考えるかどうかで決めるのが合理的です。たとえば、2014年にNISA口座で100万円買い付けた資産が2018年末で140万円になったとします。ロールオーバーするにしろ課税口座へ移すにしろ、2019年以降の損益の基準となる新しい取得価格は140万円になります(まったく売却しない場合)。

 この140万円が2023年末に180万円になると仮定すると、ロールオーバーすれば課税対象40万円分が無税になってお得になります。逆に課税口座に移していると40万円に課税(20%)されるので8万円の損に。

 一方、140万円が2023年末に90万円まで下落したとします。ロールオーバーしていると50万円の損失はそのままですが、課税口座なら50万円分をほかの課税口座と損益通算できるので、ほかの口座と損益を相殺することで資産全体の税金を減らせる可能性があります。今後5年間で資産価値が下がる可能性が比較的高いと見るなら、課税口座に移すなどして資産全体の目減り(税金)を少なくする効果を期待することになります。

非課税枠をどのくらい残してスタートする?

「今後5年間でNISA口座の資産が増えるかどうか」と書きましたが、正直なところ、これがわかれば誰も苦労はしません。資産運用の専門家でもわかりません。ロールオーバーすべきかどうかの判断材料としては合理的ですが、現実的ではないということです。

 ではどう考えればいいでしょうか。

 基本的には、NISAの年間非課税枠120万円をできるだけ効率的に使いたいです。その観点からすれば、もしNISA口座の資金が120万円を超えていたとしても、そのままロールオーバーするのは再考したいところ。新規資金を追加することができないからです。

 たとえば、2019年の1年間で値上がり益がより期待できる投資対象や銘柄を見つけたとしても、非課税枠120万円を使い切っていればNISA口座で投資することができません。収益拡大の機会損失を避けるためにも、非課税枠をどのくらい残すのかがロールオーバーするかしないかの判断ポイントのひとつになります。

資金計画とライフプランもあわせてチェック

 以前の記事「資産運用のリスクとその対処法を把握しよう」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53233)で、1年に一度くらいのペースで資産バランスのチェックを、と紹介しました。そこではチェックの時期については触れませんでしたが、NISAのロールオーバーのタイミングは適していると思います。

 NISAを継続して活用している方には、ロールオーバーがこれから毎年訪れます。基本的に10月ごろになるとNISA口座をもつ金融機関から連絡がくるはずです。この時期に資産バランスのチェックを行うことを毎年の決めごとにしてはいかがでしょうか。忘れることがないですし、そのための準備(情報収集など)もやりやすくなります。

 資産バランスのチェックに際して覚えておきたいポイントは、大きく2つあります。1つめは、NISA口座以外の投資資産も合わせてチェックすること。NISAだけで投資している方は問題ありませんが、一般口座の資産や不動産などを持っている方は、それらのリスクや投資成果なども合わせて考えましょう。生命保険の見直しもできると効率的です。

 2つめは、投資資産だけでなく老後生活の資金計画を含めたライフプラン全体を確認することです。いつまでに何をしたい、そのためにいくら必要か――。資産運用の前提となるライフプランに変更はないでしょうか。自分や家族の気持ちや考え方に変化はありませんか。家庭・親族の事情や健康状態はいかがでしょうか。もし投資を始めた当初と違いが出てきたようなら、その変化に合わせた投資戦略を考える必要があるでしょう。

 株価も資産運用も、もちろん人生も、予想通りに進むことはほとんどありません。「はずれても大怪我せずに、当たったらラッキー」ぐらいの気持ちで、見当をつけるのがちょうどよいでしょう。予想の当たりはずれよりも、毎年同じ時期に資産を確認し続けることが大事です。それを繰り返していくなかで、自分が納得できる「お金観」を見つけることができれば、資産運用は大成功といえるのではないでしょうか。

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