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杉田かおる「天才子役のプライド捨て所持金800円から復活」

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2017/04/02 内山賢一

 非正規社員、失業、高齢化、病気――。いま、奨学金や住宅ローンなどの借金返済に困る人が増えている。明るい未来を担保にして借金が出来る時代は終わりつつあるのか。AERA 2017年4月3日号では「借金苦からの脱出」を大特集している。

 華やかに見える芸能界も一寸先は闇。抱える借金は億単位だ。だが、生き残る人は強い。追いつめられても、つぶされることなく、再び花を咲かせる力とは。女優の杉田かおるさんに、所持金800円からの復活について話を聞いた。

*  *  *

「うちは売れているタレントを抱えているから、君に投資する余裕があるよ」と、都内の喫茶店で声をかけていただき、同席していた母と妹の家族3人で感激したあの日の光景は、今でも鮮明に残っています。

 当時の私は13歳。子役からの脱皮を模索し、12歳で独立。アイドル路線へと変更してもうまくいかず、設立した事務所が1年で倒産。幼くして300万円の借金を背負い、途方に暮れていたときに大手芸能プロダクションの社長にかけていただいた言葉でした。借金も肩代わりという破格の待遇で、事務所に所属することになりました。

 そうしていただいた仕事がドラマ「3年B組金八先生」です。中学生で妊娠する難しい役柄で、返事に3日間ぐらい悩みました。結果的には子役から女優への転機となり、自分の中で新たな道筋が見えたことを覚えています。その後、「池中玄太80キロ」に出演、挿入歌「鳥の詩」も歌わせていただき、16歳で借金を完済できました。

 26歳になって、また大きな借金を抱えることになります。身内の連帯保証人になり、1億円の借金を負ってしまいました。

 所持金が800円になって持ち物をフリーマーケットに出し、お金を捻出したこともあります。節約は必須なので、いらないものを書き出してみました。最初に書いたのは、雑誌……でしたね。取材を受けていて申し訳ないんですけど(笑)。それに美容室は数カ月に1度でいいとか、挙げていくと自分が本当に必要なものが見えてきました。

 仕事はどんな依頼でも受けようとしました。死体役やハローワークの解説ビデオにも出ました。バラエティー番組に出たのも、この頃です。やってみると発見があったり、新鮮だったり、悲愴感というより、わりと毎日を楽しんでいましたね。借金を完済したのは42歳の時でした。

 浮き沈みの激しい人生でしたが、いつも心の支えになっていたのは、13歳の時にかけてくださった、やなせたかし先生の言葉です。先生は「僕は絵も詩もうまくないけど、幸せになることは得意なんだ」とおっしゃる。だから私に「お金持ちや偉くなるのではなく、自分が幸せになることを目指しなさい」って。今は母と夫の3人で静かに暮らしています。母の介護をして4年目。毎日母の食事を作り、私が出演したドラマの再放送を観ながら昔話をする。先生が言っていた幸せの意味がようやく分かったような気がします。

杉田かおる(すぎた・かおる)/1972年、7歳の時ドラマ「パパと呼ばないで」でデビュー。「3年B組金八先生」や「池中玄太80キロ」など出演作多数。2017年秋以降公開予定の映画「バケツと僕!」に出演(写真:杉田さん提供) © dot. 杉田かおる(すぎた・かおる)/1972年、7歳の時ドラマ「パパと呼ばないで」でデビュー。「3年B組金八先生」や「池中玄太80キロ」など出演作多数。2017年秋以降公開予定の映画「バケツと僕!」に出演(写真:杉田さん提供)

(構成/ライター・内山賢一)

※AERA 2017年4月3日号

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