古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

クリスピー・ドーナツは人体に危険?異常に大量の砂糖&油、米国では客離れで経営破綻

ビジネスジャーナル のロゴ ビジネスジャーナル 2016/08/06 株式会社サイゾー

 ドーナツの本場であるアメリカ発祥の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」(以下、クリスピー)。日本に上陸した2006年当時、東京・新宿サザンテラスの1号店には長蛇の列ができるなど、おおいに話題を呼んだ。

 ところが、その人気チェーンの店舗数が、ここにきて激減。15年11月には全国で64店舗を展開していたが、その後は閉店が相次ぎ、現在は47店舗に減っている(6月末時点)。

 背景には、健康志向の高まりなどによって、クリスピーの甘すぎるドーナツが敬遠され始めたことがある。実際、ドーナツは肥満の原因になるどころか、とんでもない健康被害を引き起こす可能性がある食べ物だ。

●アメリカでは規制のトランス脂肪酸を使用

 ただでさえ体に悪そうなドーナツだが、「クリスピーの場合はトランス脂肪酸が含まれていることが問題です」と語るのは、管理栄養士のAさんだ。

 トランス脂肪酸とは、植物性油を化学的に乳化させた時にできる油脂成分のことで、マーガリンやショートニングなどに多く含まれる。化学的に処理された油脂のため、同じ植物性油でもオリーブオイルや亜麻仁油などと違って体に負担がかかりやすいという。

「トランス脂肪酸はコレステロールの増加や動脈硬化、心臓病などのリスクを高めることがわかっています。脂質は3大栄養素のひとつで、本来は体に必要な栄養分ですが、トランス脂肪酸に関しては、たとえ微量であっても口にしないほうがいいとされています」(Aさん)

 クリスピーの公式ホームページには、最初のオリジナルドーナツである「オリジナル・グレーズド」の製造方法が紹介されており、「大きくふくらんだドーナツは、植物性ショートニングのプールに飛び込みます」との一文がある。しかし、本来なら「プール」どころか1グラムもとらないほうがいいのがトランス脂肪酸だ。

 アメリカでは日本以上にトランス脂肪酸に対する危機意識が強く、すべての食品に含有量の表示が義務付けられている。なかには、トランス脂肪酸の使用自体が規制されている州もあるほどだ。アメリカのクリスピーも例外ではなく、「トランス脂肪酸フリーの植物油を使用」をうたっている。

 しかし、本国のアメリカでは危険物扱いされているのに、日本のクリスピーでは、制限されていないのをいいことにトランス脂肪酸を使い続けている。

 実際、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンに問い合わせてみると、カスタマーセンターは「ドーナツを揚げる際には大豆とパーム油の混合油を使用しており、トランス脂肪酸が2%の割合で含まれています」と回答。にもかかわらず、どのドーナツに何グラムのトランス脂肪酸が含まれているか、具体的な情報がまったく明示されていないのだ。

●大量の砂糖使用、1個で1日の摂取量超え

 しかも、クリスピーはトランス脂肪酸だけではなく、具体的な材料や添加物をまったく開示していない。なかでも気になるのが砂糖の量だ。

「糖質を体内で代謝してエネルギーに変換するにはビタミンB1が必要ですが、脂質や糖質を大量にとると、必然的にビタミンB1が不足してしまうのです。ビタミンB1が不足すると、疲労や倦怠感を生み、集中力の低下につながります」(同)

 日本で販売されているクリスピーのドーナツの砂糖の量は明らかにされていないが、アメリカの場合、オリジナル・グレーズドが10グラム、「オールドファッションチョコレート」には26グラムもの砂糖が入っている。日本の成人がとっていい糖類の量は、1日当たり25グラム。オールドファッションチョコレートには、1日の摂取量を超える大量の砂糖が使われているのである。

「ドーナツに含まれる大量の油も問題です。脂質を代謝するにはビタミンB2が必要になるため、脂質をとりすぎると、本来、体の機能を維持するのに必要なビタミンB2まで足りなくなってしまう恐れがあるのです。

 ビタミンB2は、皮膚や髪などの細胞の再生に関わる大切な栄養素。不足すると、ニキビや脂浮きなどの肌荒れや抜け毛を引き起こし、エネルギー代謝がうまくいかずに慢性的な疲労の原因にもなります」(同)

© Business Journal 提供

 公式ホームページの栄養成分表を見てみると、クリスピーのドーナツはどれもほぼ「脂質」と「炭水化物」だけで構成されており、ビタミンやたんぱく質など、ほかの栄養成分はほとんど含まれない。もし、こんなものを食事代わりに食べようものなら、必要な栄養素をとれないだけではなく、もともとあったビタミンすら消費しかねないのだ。

「もし、ドーナツを食べるなら、食事代わりにするのは絶対にNG。おやつとして少量だけ楽しむぐらいにとどめておいたほうが身のためです」(同)

●アメリカのクリスピーはすでに経営破綻

 そうはいっても、高脂質・高糖質のドーナツをやめられない人がいるのも事実。実は、ドーナツの依存性には遺伝子レベルの理由がある。

「人類が飢餓に悩まされていた時代には、カロリーの高い糖質や脂質を多く含む食料が最も貴重なものでした。私たちの体は、遺伝子レベルで砂糖や脂質を求めるようになっているのです」(同)

 そこにつけ込み、砂糖と油まみれの危険なお菓子を売って儲けているのが、クリスピーというわけだ。

 そもそも、最盛期にはアメリカだけで400店舗以上を展開する巨大チェーンだったクリスピーだが、04年以降は健康志向の高まりなどの影響で経営が悪化、06年に経営破綻している。その後、08年までに半数以上の店舗を閉鎖しており、現在はスーパーマーケットへの卸売などが主で、無店舗販売が中心となっているのだ。

 クリスピーが日本に進出したのは、アメリカでの経営破綻後、出資していた投資家たちが「少しでも資金を回収しよう」と販売権を売却したからである。日本出店の当初、クリスピーは「アメリカで大人気のドーナツ」と話題になったが、実際には、すでに消費者から見限られた存在だったのだ。

 そして、今や日本でも糖質制限ダイエットがブームになり、「脱脂質」「脱糖質」の傾向が強くなっている。店舗数の激減には、そういった事情もあり、アメリカで起きたことと同じ現象が日本でも起きているわけだ。

 もっとも、クリスピー日本法人の若月貴子副社長は、相次ぐ撤退は経営不振によるものではなく「今後20年、30年と日本の市場で事業を展開していくための意思ある撤退」と説明している。しかし、油と砂糖まみれのドーナツが、今後も消費者に受け入れられるのだろうか。
(文=松原麻依/清談社)

ビジネスジャーナルの関連リンク

ビジネスジャーナル
ビジネスジャーナル
image beaconimage beaconimage beacon