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セブン-イレブン出身者が取締役を独占、セブン&アイHDに漂う不安

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2018/04/17 06:00 ダイヤモンド・オンライン編集部
セブン-イレブン出身者が取締役を独占、セブン&アイHDに漂う不安 © diamond セブン-イレブン出身者が取締役を独占、セブン&アイHDに漂う不安

セブン&アイ・ホールディングスが、2018年度から社内取締役のうち8人のうち7人をセブン-イレブン出身者で固めることを取締役会で決議した。だが、この人事には不安と危うさが漂っている。(ダイヤモンド・オンライン編集部 田島靖久)

井阪社長が導入した定年制で安斎、大高両取締役が退任

「これでは、セブン&アイ・ホールディングスから、セブン-イレブン・ホールディングスに名前を変えた方がいいのかもしれませんね」

 4月5日、セブン&アイ・ホールディングスの取締役会で決議した「役員の異動」を見て、セブン&アイ関係者はこう語った。

 その中身は、2017年度に9人だった社内取締役のうち、セブン銀行会長の会長を兼務する安斎隆氏と、グループ傘下のヨークベニマル会長を兼務する大高善興氏の2人が退任。代わりに執行役員人事企画本部長を務めていた永松文彦氏が、取締役に昇格するというもの。

 今回、退任する2人は、セブン&アイがホールディングス(持ち株会社)に移行した2005年からの取締役。だが、“中興の祖”である鈴木敏文氏(現名誉顧問)の電撃退任の後を受けて、16年に就任した井阪隆一社長が決めた「定年規定」によって、70代の2人が“引導”を渡された形だ。

1人を除く7人全員がセブン-イレブン出身者

 2人が鈴木氏に近かったこともあって、一部には「鈴木人脈の一掃」と捉える向きもある。もちろん、対立した鈴木人脈を一掃することにより、自身の地盤を固めたいという思いもあろう。だが、それよりも自らの出身母体であるセブン-イレブン出身者で、社内取締役を固めようとしているのではないかという見方が強いのだ。

 下表をご覧いただきたい。これは17年度と今回決定した18年度の社内取締役を比較したものだ。

 これを見れば明らかなとおり、17年は9人中6人がセブン-イレブン出身者だった。それが、安斎、大高の両氏が退任、代わりにセブン-イレブン出身者である永松氏が就任することになり、1人を除く7人の社内取締役がセブン-イレブン出身者となった。

「突然の社長交代劇で社内における地盤が盤石でなく、疑心暗鬼になっていたのではないか。そこで、かつての身内であるセブン-イレブンの、しかも気心の知れた人物を身の回りに置いておきたいとの気持ちで決めたのではないか。事実、新任の永松氏は井阪社長の同期で、気心が知れた仲と言われている」(セブン&アイ関係者)

鈴木体制ではヨーカ堂を始め外食や百貨店にも配慮

 今回の人事により、セブン-イレブンに“占拠”された形のセブン&アイ。確かに、営業利益で見ると、セブン-イレブンはグループ全体の8割超を叩き出す “稼ぎ頭”で、一見、当然のこととも言える。

 だが、鈴木体制の時代、やはりセブン-イレブンが収益の大半を稼ぎ出していたにもかかわらず、こうした人事はしなかった。

 例えば、セブン&アイの社長にイトーヨーカ堂出身の村田紀敏氏を始め、経理担当の取締役に清水明彦氏を据えるなど、たとえ業績が悪くても“祖業”出身者を厚遇することで、創業会社のプライドを保ってきた。また、外食や百貨店といった傘下の事業会社の社長も取締役に抜擢していた。

 一方で、セブン-イレブン出身者は、現在、セブン&アイの社長を務める井阪氏と、副社長を務める後藤克弘氏くらいにとどめていた。

「稼ぎ頭であることは鈴木さんも分かっていた。しかし、『業績がいいからといって調子に乗るなよ』という戒めのメッセージもあって、あえてセブン-イレブン出身の取締役を少なくしていた。一方で、創業企業のイトーヨーカ堂を始めとするグループ企業のモチベーションを上げるため、主要な事業会社の社長や出身者をバランスよく取締役にしていた。こわもてで厳しい印象のある鈴木氏だったが、人事面ではきめ細かい配慮をしていた。そういう意味で人心掌握に長けていたといえるだろう」(セブン&アイ関係者)

 既に、グループ企業からは「各事業会社の事情や状況など知らないセブン-イレブン出身の取締役たちに何ができるのか。やる気がなくなる」といった不満の声も漏れる。だが、そもそも「純粋持ち株会社」としての機能面から見ても、「おかしいのではないか」という指摘もある。

グループの多様性に配慮しないコンビニ一本足打法にリスクも

「傘下企業同士を組み合わせるなどして相乗効果を追求したり、利害を調整したりといった“グループ戦略”を担うのが持ち株会社の役割のはず。これでは、セブン-イレブンが親会社で、各事業会社が子会社という形になってしまい、コンビニの都合や論理を押しつけられる可能性だってある。グループとして多様な企業を持っている意味がない」(セブン&アイ関係者)

 確かに、セブン&アイ内部では、以前からセブン-イレブンを中心に、「業績が振るわない傘下企業は切り離すべきだ」との意見が根強くある。また昨年、“物言う株主”のサードポイントが大株主になり、「コンビニ専業になるべき」と迫られた経緯もある。

 だが一方で、「コンビニ飽和時代」と言われ始め、ピーク感が漂い始めているのも確かで、“コンビニ一本足打法”もリスクが高いと言わざるを得ない。就任から2年目を迎えた井阪社長が下した決断には、危険が漂っている。

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