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孫社長、山中教授が檄「若者はすぐ渡米せよ」 異能の若者を支援、返済不要の奨学金が発足

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2017/02/10 山田 雄一郎
左から孫正義社長、山中伸弥氏、五神真氏、羽生善治氏。豪華なメンバーが意見を交わした(撮影:梅谷秀司) © 東洋経済オンライン 左から孫正義社長、山中伸弥氏、五神真氏、羽生善治氏。豪華なメンバーが意見を交わした(撮影:梅谷秀司)  

 2月10日。ソフトバンクグループの孫正義社長が代表理事を務める「孫正義育英財団」が、若者1500人(財団の公表人数)を集めて対談イベント「~未来を創る若者たちへ~」を開催した。対談相手は、副代表理事でノーベル賞受賞者の山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長、理事で東京大学総長の五神真氏、評議員にプロ棋士で唯一の七冠獲得者として知られる羽生善治氏である。

 対談では、それぞれが現在の道を歩むことになった経緯を明かした。中学生でプロ棋士になった羽生氏は、朝方まで対局をし、帰宅する際、通勤や通学の群れと逆方向に歩く自分を客観視し、「完全に道を踏み外したと思った」と語り、会場を沸かせた。

 「今後、世界はどうなるか」に話題が移ると、山中教授は「今の世の中は急激に変わりすぎている。人類が未来永劫存続するとは思えない。技術の進歩が人類を滅ぼすかもしれない」と語った。羽生氏は「オックスフォード大学の研究所を取材した際、現在、人類には12のリスクがあり、その1つはAI(人工知能)と聞いた。だが、気候変動などほかのリスクと違い、AIは残り11のリスクを解決するポテンシャルがある」と指摘。孫社長は「その話は初耳だがまったくの同感」と満面の笑みを浮かべた。

孫社長のポケットマネーで異能の若者を支援

 孫正義育英財団は昨年12月5日に設立された。未定な点も多いが、ソフトバンク創業者である孫社長の個人資産を財源とし、生徒、学生を対象に、学費や留学資金を無償提供するものだ。つまり、民間の資金をベースとした、返済義務のない奨学金である。

 同財団ホームページの「募集要項」には「募集人数100名程度(目安)」と記してあるが、孫社長は「数十名から始めて、将来は数百名にしたい」と記者団に語った。資金提供期間は募集要項によれば「最長4年間」だが、孫社長の思いとしては、「希望者には6歳の未就学児もいる。そういう人にも支援するのだから、何年でも支援したい」。

 キーワードは「異能」と「海外」だ。特殊な才能を持った若者に早く海外(主に米国)に出てもらい、才能を開花させてほしい、というのが本音だ。「奨学金はいろいろある。国家予算として支援するものもあるが、異能の若者に支援する奨学金がない。批判もあるだろうが、(異能を強調するために)あえて自分の名前を冠した財団にした」(孫社長)。

 「異能をどう測るか」と聞かれると、「ホームページを開設しただけで『こんなすごい人もいる』と多くの情報がすでに寄せられている」とした。「日本には『出る釘は打たれる』という言葉がある。異能の若者に早く海外に行ってほしい。そうすることで心も育つ」(山中教授)。

 副代表の山中教授は10年前に初めて渡米したが、「その後は毎月、米国に行っている。世界の中心だから、米国に行くべきだ。多くの若者が才能を開花させている」(山中教授)。孫社長は「これからの若者は英語を第1言語にしないといけない。開かれた心で海外を見てほしい」とも語った。

第二、第三の孫社長、山中教授を育てられるか

 孫社長は「本当はネットバブル(1999年~2000年春)の頃にこうした財団を始めたかった」とも明かした。「(ソフトバンクの株価が高騰し)数日だけマイクロソフト創業者のビル・ゲイツを個人資産額で上回ったことがあった。だが、財団設立を考えているうちにネットバブルが弾け、ソフトバンクの株価が100分の1まで下がり、実現しなかった」(孫社長)。

 孫社長は財団設立の意義について、「僕たちはバトンを引き継いでいかないといけない。つねに若者たちが次の時代を作る。若者たちが国の宝であり、人類の宝だ。よき心、熱き心を広げてもらいたい」と語った。孫社長は「まずは日本で始めるが、いずれは海外にも広げたい」との構想も披瀝した。

 同財団は2月末に最初の募集を締め切る。個人面談を経て、最初の助成対象者を決める。面接会場に来られない地方在住者にはスカイプでの面談も予定している。

 孫社長自身、16歳の時に米国に留学。米国での猛勉強が現在の礎となっているという。当時の苦労を思い出したのだろうか、イベント後、久々の囲み取材では、若者へのメッセージを聞かれて「解き放て、飛び立て」と語り、目をうるませる場面もあった。財団は第二、第三の孫社長、山中教授を育てることができるか。孫社長にとって新たな挑戦が始まった。

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