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飲食業界で年間2000億円の損害 「無断キャンセル」が増加するワケ

マネーポストWEB のロゴ マネーポストWEB 2019/07/15 07:00
「無断キャンセルをした理由」と「飲食店を予約する際に頻繁に利用する手段」 © SHOGAKUKAN Inc. 提供 「無断キャンセルをした理由」と「飲食店を予約する際に頻繁に利用する手段」

 飲食店員が客のいないところで交わす「ノーショー」という言葉をご存じだろうか。「No show」(「姿を現さない」という意味)は「キャンセル客」を指し、「×番テーブル、結局ノーショーだって。コース料理をもう作り始めていたのに参ったなぁ」などと使われる。

 近年、この「ノーショー」が飲食店を悩ませ続けている。予約を入れたものの、行けなくなってしまった然るべき理由があって、事前にそれを伝えていれば、店側もそれなりの対応ができる。が、近年急増しているのは、悪質な「ドタキャン」「バックレ」だ。

 経済産業省の『No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート』によると、当日の無断キャンセルが飲食業界全体に与えている損害額は、年間で約2000億円。さらに、通常の予約のうち、1日前、2日前に生じるキャンセルも加えると、その発生率は6%強に達し、被害額は約1.6兆円に及ぶ、と推計されている。被害はなんとも深刻だ。

 テーブル備え付けの網で牡蠣や魚介、肉を焼いたり、各地の生牡蠣を楽しめる『かき小屋 新橋2号店』店長の新井幹浩さんが嘆く。

「宴会シーズンに約30名の予約が反古にされました。来店時間になっても1人も来ず、15分過ぎて幹事さんに電話しても鳴りっぱなし。30名といえば、当店の座席の半数近くを占めます。30分お待ちしてあきらめて、並んでお待ちいただいていたお客様をお通ししましたが、悔しくつらい思いをしました」

 しゃぶしゃぶやすき焼きをメインに供する『銀座 瀬里奈』支配人の田坂信介さんも、無断キャンセルに顔をしかめる。

「たとえば2万円のコースを予約されたお客様10名が来店されなければ、単純計算で20万円の被害です。また、別のお客様をお断りしているぶんも損失ですし、フロント・接客係・料理人などの士気も下がってしまいます」

 物理的な損害ももちろんだが、ポッカリと空いてしまった席を見た飲食店員たちが共通して味わわされるのは、「心が折れるような、やるせない気持ち」だという。

「キャンセルすることに抵抗がない」

 店側のそうした苦悩に反して、無断キャンセルする客の気持ちは軽々しい。グラフをご覧いただきたい。「とりあえず場所確保のために予約した」「天候が悪く、外に出るのが億劫になった」「当日になって食べたいものが変わった」等々、どの理由も自己中心的で無責任極まりない。

 こうした無断キャンセルが横行する背景には何があるのか。レストランの予約・顧客管理システムを飲食店に提供している『テーブルチェック』社の仁木有花さんが言う。

「予約時にクレジットカードの情報を求められる飛行機やホテルの予約と比べ、そこまでの情報を求めない飲食店予約では無断キャンセルが発生しやすいのです」

 クレジットカードの情報があれば、不来店時に店側はキャンセル料を請求できるが、名前や電話番号だけではそうはいかない。キャンセルしても“逃げたもん勝ち”になってしまう。また、ネット予約の増加も1つの要因だ。

「電話や対面で相手と接することなく、ネットで便利に予約ができるようになったぶん、『とりあえず予約を入れておこう』という人や、『まずは複数の店を予約して、後からどれかに決めよう』という人が増えていると思います。そういう人ほどキャンセルすることに抵抗がなく、無断ですっぽかしてしまうようです」(仁木さん)

※女性セブン2019年7月25日号

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