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「豊洲市場は震度5強以上で液状化」ターレや大渋滞より深刻な問題を専門家が指摘

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2018/10/12 07:00

 火事に大渋滞、ターレに挟まれて女性がケガ…… 築地に代わる東京の新たな中央卸売市場として11日に開場した豊洲市場(江東区)は、初日からトラブルが相次ぐスタートとなった。

 そもそも、豊洲市場へのアクセスの悪さや場内の不便さは、これまで市場関係者や専門家からたびたび指摘されてきた。早くもその懸念が的中したことで「豊洲市場は本当に安全なのか」との不安は、しばらく消えることはなさそうだ。

豊洲市場で機能するか心配されているターレット(c)朝日新聞社 © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 豊洲市場で機能するか心配されているターレット(c)朝日新聞社

 ただ、渋滞や市場内の混乱は、時間をかけて対策をすれば、いずれ解決できるかもしれない。しかし、豊洲市場には建物の根本に関わる致命的欠陥がある。これまで繰り返し指摘されているとおり、地下に存在する汚染された土壌だ。

 仲卸業者の宮原洋志さんは、こう話す。

「豊洲は地盤が弱く、地震で液状化が起きる可能性がある。そうなれば地下の汚染土壌が噴き出し、有害ガスが発生するかもしれない。これは働く人の命に関わることです」

 よく知られているように、豊洲市場は東京ガスの工場跡地に建設されていて、地中にはシアン、水銀、ベンゼンなどの有害物質に汚染された土壌がある。東京ガスもそのことを認識しており、当初は跡地を都に売却することをしぶっていたほどだ。

 都はそういった“いわくつき”の土地であることを承知で購入していて、土壌汚染対策の柱として考えていたのが「盛り土」だった。ところが、本来は盛り土で埋まっているはずの建物の地下が、空洞になっていたことが16年に発覚。地下水から環境基準の100倍以上となるベンゼンも検出された。

 その後、追加安全対策工事が実施され、小池百合子東京都知事は今年7月31日に安全宣言を出した。しかし、対策はいつも後手後手で、市場関係者の不安は消えていない。

 では、追加工事で本当に地震に耐えられる市場になったのか。一級建築士の水谷和子氏は、否定的な見方をしている。

「豊洲市場の建物以外の部分は、144ガルまで耐えることができます。しかし、144ガルは震度5程度の揺れですので、震度5強以上では液状化の危険があります。実際に液状化が起きれば、地中から有害ガスが噴き出し、豊洲市場は大きな打撃を受ける可能性が高い」

 都も、豊洲市場の地盤が弱いことを認めている。2012年に作成した「東京の液状化予測図」では、豊洲市場とその周辺は「液状化の可能性が高い地域」と「液状化の可能性がある地域」に指定されている。

 また、昨年8月の「豊洲市場の液状化対策と築地市場における地盤工学的問題」では、2011年3月11日の東日本大震災で、地盤改良前の豊洲市場建設地で108カ所で地下の砂が噴出したことが確認されている。ちなみにこの時、豊洲市場から築地市場の距離は約2キロだったが、築地市場の方は建物も地盤もほとんど被害がなかった。

 問題はこれだけではない。仮に大地震が起きても、地下の汚染された土壌や水が地表に噴出しないよう、都は地下水の水位を干潮時海水面(荒川基準点)から1.8メートル以下にすることを求めている。ところが、これもすでに維持できていないのだという。前出の水谷氏は言う。

「都は、7月19日に水位を測定した結果、1.8メートル以下を達成したのは約4割、最高値は2.65メートルでした。しかも、測定日以前の2週間で雨はほとんど降っていません。そこで、10月1日の水位を確認したところ、1.8メートル以下は33カ所中、わずか7カ所だけ。3メートル以上の水位になっているポイントも複数ありました。これでは、地下から有害な空気が地表に上がってきてもおかしくありません」

 ある仲卸業者は「引越し作業をしている時に異臭がした」と話す。これが設備の修繕で解決するのならいいが、仮に地下水が管理できていないとなると、豊洲市場の安全宣言の根幹を揺るがす重大な問題になりかねない。

 前出の宮原さんも、都の安全宣言を信じられずにいる。そこで宮原さんは、豊洲市場が事故や災害で機能しなくなった時に備え、しばらくは築地市場をそのまま維持しておくことを訴えている。11日には、閉場した築地市場で店を開き、実際に商品を販売した。営業を続ける限りは、都も強引に築地市場の解体作業を進めることはできないだろうと考えたためだ。宮原さんは言う。

「豊洲市場は、見せかけはいいが中身は問題だらけ。いざという時のために、仲間が残ってこれる場所を残しておきたいのです」

 豊洲市場の問題は、まだまだ終わりそうにない。(AERA dot.編集部/西岡千史)

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