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【法律相談】散骨に子どもが反対 どうすれば実現できるか

NEWSポストセブン のロゴ NEWSポストセブン 2018/09/10 16:00
散骨の希望は叶うのか © SHOGAKUKAN Inc. 提供 散骨の希望は叶うのか

 近年、ブームになっているのが散骨。故人の遺志はなるべく実現してあげたいものだが、遺された人間に過剰な負担になるようなら、それはそれで問題だ。自分は散骨をしてもらいたいものの、子どもたちが反対した場合、どうすれば散骨は実現できるか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】

 子供と喧嘩になっています。原因は散骨。私は散骨してほしいと願っているのに、子供らは大反対。先祖代々の墓に埋葬したいといっています。そのほうが墓参りしやすいとの理由からです。でも、私は許可された山か海で静かに眠りにつきたい。散骨してほしいと子供らに遺書を残しても、願いは叶いませんか。

【回答】

 個人的には、お子さんたちの考えは立派だと思います。老いては子に従えといいますが、死後のことであれば、なおさらではありませんか。それでも散骨を望むのなら、まず散骨してくれる人を見つけてください。散骨引受人がいれば、その人に祭祀財産としての遺骨の承継者になってもらうのです。

 遺骨は所有権の対象になりますが、埋葬したり、祭祀供養のためにのみ所有されるもので、通常の相続の対象にはならない祭祀に関わる財産です。遺骨の祭祀を承継するものが、その所有権を取得するという考えが有力とされています。そして、祭祀の承継者は被相続人が指定できます。そこで、あなたが散骨引受人をあなたの遺骨の承継者と指定すればよいのです。指定を明確にするため、公正証書を作成するのがよいでしょう。

 お墓などの権利は、お子さんに指定するなど、分けて承継者を決めることも可能です。とはいえ、あなたの死亡後、遺体の火葬の手続きをするのは通常遺族ですから、散骨には遺族から散骨引受人に対する遺骨の交付が不可欠です。無用なトラブルにならないよう十分に説明しておくことが必要です。

 祭祀の承継まではできないという散骨引受人に対しては、散骨を委任する準委任契約を締結することも考えられます。その場合、あなたの死後、相続人は委任者の立場を相続します。委任者が死亡すると契約は終了するのが原則ですが、死後の作業を依頼したのですから、死亡で終了しては背理です。

 散骨引受人は、死亡後に実施すべき作業の委任を受けた受任者として遺骨の引き渡しを求めることができると思います。ですが、子供の心情として精神的負担が大きすぎると判断された場合には、解除が認められる可能性もあります。ともあれ、明確なあなたの意思を文書にして残しておくべきです。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2018年9月21・28日号

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