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「ベツノマスク」注文殺到、減収カバー 札幌の障害者就労支援施設

毎日新聞 のロゴ 毎日新聞 2020/06/24 08:33 毎日新聞
政府が配布したマスク(右端)のガーゼやゴムひもを使い、リメークされた「ゆかたマスク」。奥では再製造の作業が行われていた=札幌市豊平区の就労継続支援施設「クラブハウスコロポックル」で2020年6月16日、貝塚太一撮影 © 毎日新聞 提供 政府が配布したマスク(右端)のガーゼやゴムひもを使い、リメークされた「ゆかたマスク」。奥では再製造の作業が行われていた=札幌市豊平区の就労継続支援施設「クラブハウスコロポックル」で2020年6月16日、貝塚太一撮影

 安倍晋三首相の肝いりで、政府が新型コロナウイルス感染防止策として全世帯に配布した布マスク。大人向けには小さいとの指摘が相次ぎ「アベノマスク」とやゆする向きもあるが、おしゃれな柄の生地を縫い付けるなどして作り直し、「ベツノマスク」として活用する動きが広まっている。障害者の就労支援施設では作り直した「リメーク商品」が飛ぶように売れ、生産が追いつかない事態も起きている。【源馬のぞみ】

 「せっかくもらったのに使わないのはもったいない」。写真共有アプリ「インスタグラム」には、こんな投稿が4月上旬以降相次いでいる。政府が投じた費用は約260億円。これを何とか生かそうとする動きだ。

 インスタでは「#ベツノマスク」というハッシュタグを付けた投稿が目立つ。マスクの縫い目をほどいて立体マスクにしたり、カラフルな柄の布を表地として縫い付けたりとそれぞれのアイデアと工夫が光る。動画投稿サイト「ユーチューブ」でも、リメーク術の紹介で100万回以上動画が再生される投稿が複数あり、関心の高さをうかがわせる。

 こうしたネット上の動きに触発され、高次脳機能障害者の就労継続支援施設「クラブハウスコロポックル」(札幌市豊平区)は5月上旬にリメーク商品の販売を始めた。布マスクを持ち込んだ客に、1枚税込み300円でリメーク済みの商品と交換している。

 「小さくて、見た目もちょっと……」。施設向けの布マスクが届いた4月上旬、利用者からは不評の声が漏れた。そこで、生活支援員の土谷規子さん(58)が思い付いたのが、自宅で眠ったままになっていた浴衣の活用だった。

 当初は利用者向けに製作。利用者らが裁縫道具を使い、縫い糸を外した布マスクの表面に、不要となった浴衣の生地を縫い付けた。交通事故で脳を損傷するなどした利用者には、指先を使う作業はいいリハビリになった。

 ところが効果はそれだけではなかった。販売を始めると評判が口コミで広がり、ネット上では「ゆかたマスク」として注目を集めた。約300件の予約電話が殺到した日も。新型コロナ感染拡大の影響でバザーが中止になるなど収入激減に困っていただけに、うれしい誤算だった。

 土谷さんは「減収分を補うだけでなく、余剰金も出るほど売れた」と喜ぶ。利用者だけでは生産が追いつかず、家族会などのボランティアの手も借りて奔走する。

 障害者の就労支援事業の仲介を担う一般社団法人「ジョブステーション西宮」(兵庫県西宮市)も5月中旬、ネットをヒントにリメークを提案したところ、三つの事業所が製作に応じた。

 同法人は「不要なマスクがあれば寄付してください」と呼び掛けて集めたマスクを事業所に提供し、事業所がリメークした商品を販売している。男女兼用の立体マスクは税込み500円で、女性サイズのプリーツ(折り返し)があるマスクは同400円。

 事務局長の柴田圭一さん(49)は「この秋にかけて、焼き菓子や布雑貨を販売するなどのイベントが全滅となる中、施設利用者の工賃にもなるし、減収分の足しにもなる。ただ、マスクだけではすべてを補塡(ほてん)できない」と話す。

 一方で、柴田さんはリメーク作業の意義を強調する。「利用者には、作業があること自体が大切。マスクが売れるのも大事だが、仕事を創出し、やりがいを感じてもらうことにもなる」

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