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安倍首相の後継「岸破義信」が争う間に極右台頭の土壌も

NEWSポストセブン のロゴ NEWSポストセブン 2018/11/20 07:00
岸田政調会長もポスト安倍の1人(時事通信フォト) © SHOGAKUKAN Inc. 提供 岸田政調会長もポスト安倍の1人(時事通信フォト)

 安倍晋三首相は露・プーチン大統領との首脳会談で「3年以内に日露平和条約を締結する」と合意した。首相の残り任期中に、北方領土返還を実現させるという宣言にほかならない。「安倍退陣の日」をただ待っているポスト安倍の面々は、すでに18年間も実質的な最高指導者を続けるプーチン氏と握手する総理の自信に満ちた表情に圧倒されたに違いない。

「岸破義信」なる名前がメディアにとりあげられている。安倍首相の最後の任期に合わせて、“自民党のブルペン”で投球練習をはじめた岸田文雄・政調会長、石破茂・元幹事長、菅義偉・官房長官、加藤勝信・総務会長の4人の一文字ずつ取って、産経新聞が次の総理総裁の有力候補と報じた。

“大宰相”として後継者を指名する立場にある安倍首相に極めて近いといわれる産経が報じたのだから、この国の政局は大きく動き出す……はずがない。

 なにしろ総理候補といわれても国民にはリアリティが感じられないからだ。立憲民主党の枝野幸男代表が「私こそポスト安倍だ」と語るほど政界は人材不足だ。

 その状況が一番危うい。「究極のポピュリスト政治家」が彗星のように現われ、有権者の支持を集める危険がある。米国でトランプ大統領が誕生した時のように。北海道大学教授で政治学者の吉田徹氏の分析だ。

「ポピュリズムの台頭が世界の潮流になっているのは、経済のグローバリズム化の結果、勝ち組、負け組がわかれたものの、既成政党のプロ政治家が解決策を示すことができないことが大きい。

 国民が既存エリートに対して不信感を覚えると、不満を吸収するように、移民排斥や民族差別など憎悪感情に訴える素人政治家が登場し、場合によっては政権を取ってしまう。米国だけでなく、欧州もポーランドやハンガリーで政権を獲得し、イタリア、オーストリアでも連立政権入りした」

◆極右の「ミスターX」が出現

 自民党が大量議席を得ているのは国民にとって「他に選択肢がない」という事情が大きい。「岸破義信」がコップの中の争いを演じている間に、強いメッセージ力を持つ《未知の政治家》が登場すれば、瞬く間に有権者の支持を吸収して台頭してくる可能性は十分ある。

 事実、オバマ政権が2期目の折り返しを迎えた2015年初めの時点で「次の大統領がトランプになる」と思っていたアメリカ人はほとんどいなかった。

 世界を見ると、選挙に勝つために必ずしも政治基盤は重要ではない。オランダのヘルト・ウィルダース党首率いる自由党は、党員わずか1人。党首がすべての公認候補を指名し、昨年の総選挙では立ち会い演説なし、ポスターも貼らず、メディアを敵に回してツイッターで国民に直接、「イスラム移民排斥」を訴え、なんと第2党に躍進した。

 日本でも、たった1回の総選挙で政権に就いた細川護煕首相のケースがある。前回総選挙は小池百合子東京都知事が“この指止まれ”と即席で立ちあげた希望の党が、一時は安倍首相を大いに慌てさせた。社会学者の筒井清忠・帝京大学日本文化学科教授が指摘する。

「日本で“敵をつくって攻撃する”というポピュリズム的なところがあったのは、小泉純一郎・元首相や小池都知事、そして橋下徹・元大阪市長らですが、安倍首相が退陣する頃には、彼らよりもその手法を鮮明にする政治家が現われそうな感じがします。

 というのも、LGBT論争や沖縄基地問題などでの右派と左派の激しい対立に象徴される、国民分断が進むムードが強まっている。こういう状況でポピュリストが登場すると勢いを持ちやすい」

 折しも、国会では外国人の単純労働者を受け入れる入管法改正案が審議中だ。

「日本から外国人労働者を追い出せ」──などと極端なナショナリズムを掲げる“ミスター(ミズ)X”が出現する土壌が生じつつあるという指摘だ。

※週刊ポスト2018年11月30日号

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