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「小さな団体こそ救って」…格闘技振興議連参加の今井絵理子議員に感じた弱者への優しい目線

スポーツ報知 のロゴ スポーツ報知 2020/11/22 11:00 報知新聞社
会長に就任した馳浩元文科相らと格闘技振興議員連盟の設立総会に出席した今井絵理子議員 © スポーツ報知/報知新聞社 会長に就任した馳浩元文科相らと格闘技振興議員連盟の設立総会に出席した今井絵理子議員

 政治家に必要な資質とはなんだろう? 剛胆なまでの決断力か、冷徹なまでの実行力か。あくまで個人的な意見だが、私は弱者への温かい目線こそが国会議員には必要だと思っている。

 当選したとたん「先生」と呼ばれ、自分は偉いと勘違いしてしまう議員も数多く見てきた中、あくまで「下から」の目線で物事を捉え、言葉を紡ぐ1人の議員に出会った。

 19日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で開かれた「超党派 格闘技(プロレス・総合格闘技等)振興議員連盟」の設立総会。新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむプロレスを始めとする格闘技団体を超党派で支援する国会議員の集まりが、この日誕生した。

 会長には元新日本プロレスのIWGPジュニアヘビー王者・馳浩元文科相(59)が就任。顧問には大のジャンボ鶴田さんファンで知られる立憲民主党の野田佳彦元首相(63)と公明党の太田昭宏元代表(75)、会長代理には自民の野田聖子議員(60)と言った大物がずらりと並んだ。

 事務局長を務める元格闘家の無所属・須藤元気参院議員(42)ら党派、世代を越えた29人の現職国会議員が発足メンバーとして名を連ねる中、最年少の37歳で事務局次長に就任したのが、今井絵理子参院議員だった。

 馳会長の「新型コロナでプロレス、格闘技団体が苦しんでいる中、議員の中からもなんとか頑張りませんかという声が集まった。我々が受け皿として、何かあった時に健全な興行と選手の安全を守ることを目標に超党派で集まれないかと、格闘技好きの先生方にお声がけさせてもらった」という設立意図の説明。

 さらに「プロレスもK―1もRIZINも会場やテレビで楽しんでもらっているけど、弱点は何かあった時に各団体がバラバラで統制が取れなかったこと。コロナのような何かがあった時こそ、選手や家族、そして団体を守るセーフティーネットになりたい」という熱い言葉を真剣な表情で聞いていた今井氏。

 スーパーアイドル「SPEED」の元メンバーという横顔がどうしてもつきまとうが、実は誰よりもプロレスへの思い入れが強い議員の1人だ。

 一人息子の今井礼夢(らいむ、16)がプロレス団体「HEAT UP」の入団試験に合格。12月7日にレスラーデビューを飾る。先天性難聴というハンディを持った礼夢を懸命に育ててきた母親としての顔も持つ今井氏に席上、馳会長が発言を促した。

 「私は16歳から全日本女子プロレス、特に今はディアナの伊藤薫選手の大ファンで、ずっとパワーをいただいてきました。そんな私の息子が12月7日にプロデビューを果たすんです」と、まず笑顔で話した今井氏。

 その上で「大きな団体は資金繰りなど(の支援)の制度は分かっていらっしゃると思うんですが、地域に根付いているプロレス団体とか小さな団体は制度を知らないところが多いなと思いました。なので、制度の周知、徹底をやっていただきたいなと思います」と決意表明。「資金繰りに関しても小さな団体は時間もかかったと聞きました。何か一つ、窓口というか経産省さんが作って下さった支援策のまとめも必要なのではないかと感じました」と続けた。

 最後には「息子がこれからデビューしますが、私も母として支えていきたいと思います」と一瞬、母親の顔に戻って話した今井氏。この日の会場には新日本プロレスの菅林直樹会長(56)と大張高己社長(46)、全日本プロレスの福田剛紀社長(54)、サイバーファイト(NOAH、DDT)の高木三四郎社長(50)、RIZINの榊原信行CEO(57)、日本修斗協会の佐藤ルミナ代表(46)らが団体の垣根を越えて初めて集結していた。

 しかし、今井氏が議連参加にあたって、ヒアリングして集めていたのは、そうしたメジャー団体ではなく、日本中に数多(あまた)ある弱小団体の悲鳴のような声の数々だった。

 議連発足の初日から小さな団体の苦境に目を向けた、その発言に共感したから、会場を後にしようとした小柄な後ろ姿に声をかけ、初対面のあいさつをした。丁寧に私の名刺を受け取ると、「応援を本当によろしくお願いします」―。ペコリと頭も下げられた。

 もちろん、私もマスク越しの笑顔に骨抜きにされるような駆け出し記者ではない。2017年に一部週刊誌が報じた今井氏のスキャンダルを覚えているし、その時は正直、議員としての資質を疑った。だが、3年を経て初めて会った今井氏は、あくまで弱者への目線を持った1人の国会議員に成長していた。

 私の知人にも2人、現職の衆院議員と元議員がいる。両者とも昔から、いわゆる“勝ち組”だったが、どこか弱い者、困っている人への視点が欠けているなと感じる場面が何度かあった。そんな経験から、私の中には「カネがあって、看板がある。こういう人間だけが政治家になるのか…」という国会議員という存在へのあきらめのようなものが芽生えていた。もちろん、本当に国民のために尽くしている議員も知っているので、一部の例だけをあげつらうのは申し訳ないのだが。

 そんな中、出会った今井氏の弱者へのまっすぐな姿勢。ハンディを抱えた息子を立派に育て上げ、障害者福祉にも熱心に取り組む「下から」の目線には信じるに足る何かが確かにある―。37歳の国会議員から受け取った点字入りの名刺の手触りを楽しみながら、私は、そんなことを思っていた。(記者コラム・中村 健吾)

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