『舞いあがれ!』ねじ工場経営に奮闘する舞ちゃん…って「いずれパイロットになるドラマ」は視聴者の勝手な思い込みだった?予定調和がないからこそ覚える深い没入感
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【イラスト】パイロットよりねじ工場への想いが強くなっていく舞ちゃん
第16週あらすじ
第14週では、急逝した浩太(高橋克典さん)の遺志を継ぎ、めぐみ(永作博美さん)が社長に。
一方で、舞もパイロット内定の話を辞退。めぐみとともに会社の立て直しに取り組みます。
経費削減や人員整理を行い、なんとか融資元の信用金庫から返済期限の延長を得るなか、悠人(横山裕さん)が帰宅、めぐみにある提案を――といった話が展開しました。
タテノさんが注目したポイントは?
パイロットになる夢はどこへ
ここで考察したくなるのが、確固たるものに見えていた舞ちゃんのパイロットになる夢はなんだったのか、という問題です。
お父ちゃんの急逝後、お母ちゃん以上に強く工場を続けることにこだわっていた舞ちゃんの様子からすると、そもそもパイロットになることより、工場を継ぐ夢を持っていた、と考えた方が自然なぐらいなんですよね。
しかし、パイロットの夢も幻だったとは思えないので、自分でも認識していなかったネジ工場に対する強い愛情に気づいた、といったかんじでしょうか。
パイロットになるドラマというのは「思いこみ」?
そもそも舞ちゃんがいずれパイロットになるドラマだよね、ってことは視聴者の勝手な思い込みだったのかもしれません。
ここであらためて公式ホームページの「番組紹介」を見てみると、「やがて新しいカタチで空への夢を見つけていきます」とあります。
実際、工場の業績を回復させた舞ちゃんは夢の航空機の部品の製作へと進みだしているので、パイロットの夢は一旦諦めたものの、違うルートで空へ向かっているようです。
そして予定調和がないからこそ、本当に実在した人物の物語を見せてもらえているような没入感も覚えます。
お母ちゃんのほうが経営者に向いていた可能性も
著者が引き続き気になっているのは兄・悠人さん。結果的に悠人の投資が工場の存続を助けた部分は大きかった。
視聴者としても、恩恵を受けた様子を見ながら、投資家という仕事を否定するのはむずかしく、あらためてお父ちゃんの「投資家ディスり」への違和感が強まります。
むしろお父ちゃんより、勇気をもってリストラを断行したり、値上げ交渉を狡猾に実現したり・・・お母ちゃんのほうが経営者に向いていた可能性まで感じてたり。
現実の東大阪は、航空機どころか人工衛星を作りましたよね。今後はそんな話にもつながっていくんでしょうか。第17週以降も楽しみです。