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豊洲移転問題で不都合な真実! どうする小池知事

dot のロゴ dot 2017/04/12 dot.

 小池百合子東京都知事に決断の時が迫っている。土壌汚染問題が収まらない豊洲市場への移転か、築地市場に残留し、再整備の道を選ぶのか。ただ、その築地でも東京五輪を巡って「不都合な真実」を抱えていることが発覚。「究極の選択」を前に、都知事の決断やいかに。

 百条委での「真犯人捜し」が難航する築地市場。

 だが、市場のある業者は「百条委もいいが、知事が早く移転問題の結論を出してくれないと困る」と憤る。

 豊洲移転の是非について、小池知事はいまだ結論を出していない。ブレーンらの間でも意見が分かれており、移転問題を検討するための「市場のあり方戦略本部」は、4月3日にようやく1回目の会合が開かれたばかりだ。

 そんな中、小池氏のブレーンの一人である「市場問題プロジェクトチーム(PT)」の小島敏郎座長(青山学院大教授)が3月29日の会合で「ウルトラC」とも言える案を打ち出した。

 この案は築地市場の現地再整備が期間7年、総額500億~800億円という“格安価格”で可能だというもの。

 ただ、築地の現地再整備は1990年代にも一度試みられたが、総額3400億円かかるとされ、工事が長期化し途中でとん挫した経緯があるだけに、実現可能かどうかが焦点となる。豊洲移転賛成派の市場業界団体幹部は小島案を「机上の空論だ」と、こう批判する。

「90年代には市場を6分割して業者が順番に仮設店舗に移って少しずつ建て替えていく計画だったが、どこが先に仮設にいくかなど業者間の調整が難航し、結局、一つ目の工区さえ着工できずに終わった。またあのときと同じことになる恐れがある。それに、古い建物も一部残る小島案では市場の老朽化という根本的な問題は解決せず、近い将来、また建て替えなどの課題に直面することになる」

 この市場幹部は、さらに驚くべき懸念を口にする。2020年の東京五輪の選手村に、日本の食文化の象徴であるはずの築地市場の食材が納入できない恐れがあるというのだ。

「今の築地市場の店舗は屋根はあるものの半屋外にあり、敷地を出入りするトラックの排ガスや、カラスやカモメのフンなどに食材がさらされるリスクがある。現代の市場は豊洲のように流通ルートが建物で密閉され、温度管理も徹底されたかたちが主流となってきており、国が制度化しようとしている国際的な衛生基準も満たしやすい。今の築地のままでは、国際レベルの基準が求められる選手村の食材から除外されてしまう恐れがあるんです」

© Asahi Shimbun Publications Inc. 提供

 確かに、昨年12月には厚生労働省の検討会が、国際的な食品衛生管理基準である「HACCP(ハサップ)」の国内での制度化を提唱するなど、衛生面で食品業者に求められる要求は高まっている。豊洲市場のような最新設備のほうが、業者はこうした基準を満たしやすいという。ただ、小島氏も8日の市場内での会合で築地再整備案の詳細を示し、温度管理や害獣・害虫対策など衛生管理の機能を向上させると説明した。

 東京五輪組織委に問い合わせると「五輪期間中の食品流通の仕組みを含む飲食の戦略はまだ計画中。個別具体的なことにお答えできる段階ではない」(戦略広報課)とのことだった。

 もちろん、3月19日公表の調査結果で地下水から環境基準の最大100倍のベンゼンなどが検出された豊洲市場への移転も反対論が根強く、実現のハードルは高い。『築地移転の闇をひらく』の共著者の一人、水谷和子氏はこう語る。

「都は今まで『汚染は除去されている』と都民にウソをつき続けてきたわけで、誰に責任があるのかの検証も不十分なまま、なし崩し的に移転していいはずがない。また、交通の便や構内の動線に問題がある豊洲市場では、業者のランニングコストが高くなる。やめていく人が出て業者の数が減るほど、設備維持のための1人当たりの負担額が増えるという悪循環に陥る。築地での再整備を検討するほうが現実的です」

 小池氏はこれまで、移転の是非について踏み込んだ発言はしていない。前出の小島氏が築地現地再整備案について業者と行った会合について事前にコメントを求められても、

「(小島氏が)専門委員として調査研究の一環として行うと聞いている。市場のあり方戦略本部そのものではない」

 と、やや距離を置いた言い方をするのみ。本心はどこにあるのか。小池氏を中心とした地域政党・都民ファーストの会の音喜多駿幹事長はこう語る。

「小池知事はこれまで、豊洲に行かないとか、豊洲はダメだとかはひとことも言ってません。小池知事は昨年11月、移転に向けた『ロードマップ(工程表)』を発表しています。そのロードマップに沿って今も進んでいるということは確かだと思います。ロードマップの着地点というのは豊洲ということが書いてある。私たちはロードの中にいます。その過程でいろんな点を検証していくということです」

 都政関係者は小池氏の「戦略」をこう深読みする。

「仮に小池氏の本音が豊洲移転決行だったとしても、7月の都議選を前に明言はしないでしょう。築地残留を期待して小池氏を支持している層の票を失うことになりますし、豊洲移転を主張する自民党との差別化も図れなくなる。都議選までは玉虫色の態度に終始し、選挙後に発表するつもりではないか」

 移転すべきか、残留か。

 ハムレット、小池氏は、どんな決断をしてもいばらの道のようだ。(本誌・小泉耕平)

※週刊朝日 2017年4月21日号

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