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あれっ、古書にイチョウの葉が… 店主「本が大切にされていた証しです」 つぶやきに反響、その理由とは?

withnews のロゴ withnews 2017/11/14 withnews

 「古い本にはイチョウの葉が挟まってることがたまにあります」。ある古書店主のつぶやきがネット上で注目を集めています。「ゴミが挟まっている」と嫌な思いをするかもしれませんが、実はこれ、かつての本の持ち主がその本を大切にしていた証しかもしれません。その理由について話を聞きました。

持ち主が変わっても伝わる思い

 今月3日、ツイッターに投稿された画像。年代ものと思われる本と、そのページの間に何枚も挟み込まれたイチョウの葉が写っています。そして、こんな文言が添えられています。

 ◇ ◇ ◇

 古い本にはイチョウの葉が挟まってることがたまにあります。

 栞(しおり)代わりという事もあるけれど、イチョウの葉には防虫効果があるからです。

 前の持ち主が大切にしていた証でもあるので、買った本に挟まっていたらその事を思い出して貰えると嬉しいです。

 ◇ ◇ ◇

 この投稿に対して、「こんな意味があったとは。素敵な出会いだ」「持ち主が変わっても伝わる思い」「なんて風情があるんだろう」といったコメントが寄せられ、リツイートは3万8千、いいねは6万5千を超えています。

古書店主に聞きました

 ツイートしたのは、東京都世田谷区の「古書 月世界」の店主・赤堀晋介さんです。「本に挟まった様子がキレイだったのと、つぶやくネタがなかったこともあって投稿しました」。

 神保町での修行を経て5年前に店を構えた赤堀さん。幅広いジャンルの本を扱う中で、江戸時代の本などにイチョウの葉が挟まっているのをときどき見かけるそうです。

 「そんなに珍しい話ではないと思います。知らない人は嫌な思いをするかもしれませんが、大切にとっておきたいという思いのあらわれだとしたら、受け取り方も違ってくるのではないでしょうか」

 古書を扱っているとイチョウの葉以外にも、はがきなど前の持ち主のものが挟まっていることがあるといいます。そんなとき、あえてそのまま書棚に並べる店もあるといいます。

 「瑕疵(かし)になるようなものは取り除きますが、その本の来歴というか、雰囲気を残しておきたいという思いで私もそうすることがあります」と赤堀さん。

黄金色に輝く山形県天童市のイチョウ並木=朝日新聞 © withnews 黄金色に輝く山形県天童市のイチョウ並木=朝日新聞

 話題になったことについては、「こんなに反響を呼ぶなんて思っていなかったので、びっくりしています。こうした発見も古書ならではの楽しみなので、ぜひお店で手にとって確かめてみてください」。

調べた男性に聞きました

 古本とイチョウの葉の関係について、調べた男性がいます。京都府立総合資料館(現在の京都府立京都学・歴彩館)の文書課に勤めていた西村隆さんです。

 きっかけは館内で作業していて、イチョウなどの植物の葉がはさまれた本に気づいたことでした。

 はじめは単なる栞の代わりかとも思いましたが、手近な辞典や植物図鑑でイチョウについて調べると、イチョウの葉は防虫効果があるといわれていることがわかったそうです。

 他の文献も調べたところと、江戸時代にはそうした風習があったことはわかりましたが、なぜイチョウなのかという点や、科学的根拠まではわからなかったそうです。

 「中には、イチョウは物忘れにも効果があるなんて書かれたものもあって、そっちの方が興味を引かれました」と西村さん。

 話題になったことについては、こう話します。

 「電子書籍が普及し、古典籍のデジタル画像化なども盛んです。デジタル化されるときにイチョウの葉は、ゴミとして取り除かれるでしょう。しかし、古人がイチョウの葉に託した書物への思いは、現物を見てこそ感じられるものです。現物が持っているおもしろさは、触れてこそ味わえるものではないでしょうか」

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