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「コロナ禍の流行語」日本と欧米の違いとは

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2021/01/14 06:00 川口友万
Photo:PIXTA © ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:PIXTA

2020年の流行語大賞は「3密」。トップ10には「アベノマスク」「アマビエ」「オンライン○○」「Go Toキャンペーン」など、新型コロナの流行を色濃く反映した言葉が並んだ。言葉は時代を映し出し、時代を理解する足掛かりとなる。コロナ禍で、欧米ではどのような言葉がはやっているのかを調べてみた。(サイエンスライター 川口友万)

コロナ禍で広がる

スキンハンガー

Skin Hunger(スキンハンガー)」という言葉は、コロナのせいで隔離された生活に置かれた人たちが、人との触れ合いに飢えている様子を表している。ロックダウンが恒常化した欧米は、日本の自粛とはレベルが違い、買い物さえ自由に行けないありさまだ。

 最近は肌と肌が触れ合うと抗ストレスホルモンで愛のホルモンの異名を持つオキシトシンが分泌され、精神が落ち着くことが知られている。

 アリゾナ大学のコリー・フロイド教授は愛情とコミュニケーションを専門に研究している。フロイド教授によれば、周りとの正常な交流がないと脳は攻撃を受けていると判断し、過覚醒という緊張状態になるのだそうだ。

 スキンハンガーは正常な状態ではないが、癒やす方法がないわけではない。それはセルフタッチ、自分で自分をマッサージしたり、抱きしめたりすることだそうだ。枕をぎゅっと抱くだけでも、脳は皮膚からの刺激を「他人を抱きしめた」と錯覚し、オキシトシンを分泌するそうである。

Doomsurfing(ドゥームサーフィン)」や「Doomscrolling(ドゥームスクローリング)」はコロナ禍でわざわざコロナに関する悪いニュースばかりをネットで探すことを指す。

 Doomは終末や終焉(しゅうえん)の意味で、日本でいえばノストラダムスの大予言がはやった時に悲惨で暗示的なニュース(地震や動物の大量死など)を探す人が増えたこととよく似ている。

 コロナに限らず、想定外の社会的なトラブルが起きた時、人は悪いニュースばかりを探すものらしい。メリアム・ウェブスター英英辞典は、寝る前にはスマホの電源を切れと勧めているが、おっしゃる通り。悪いニュースばかりを読んだところで自分の状況が良くなるわけではないのだ。

6フィートの経済という

新たなビジネスチャンス

Coronajerk(コロナジャーク)」や「Covidiot(コビディオット)(covid+idiot、covidはコロナウイルスの略で欧米はコロナをcovid19と呼ぶ)」は手洗いや消毒、マスクなどコロナの衛生基準を無視する人たちのこと。パーティーで大騒ぎしてクラスターを発生させる手合いである。また、過剰にコロナを警戒して大騒ぎする人たちのこともコロナジャークやコビディオットと呼ぶようだ。

 jerk(ジャーク)は「野郎」や「あいつ」などの意味で、idiot(イディオット)はバカとか愚か者の意味。直訳すれば、コロナ野郎とかコロナバカだ。「#covidiot」で検索すると、テレビ会議でカメラがオンなのに気づかず、鼻をほじっている人も出てくるので、コロナ禍でのアホなこと全般を指しても使われている。トランプ大統領がやたらに上がってくるのは、彼が当初はマスクもせずに出歩いていたのだから当然だろう。

Six-feet-economy(6フィートエコノミー=6フィートの経済)」はコロナ禍で縮小・変化した経済を指す。日本のソーシャルディスタンスが2メートルに対して、アメリカでは6フィート(1.8メートル)だから「6フィートの経済」だ。

 6フィートの経済では小売業や観光業は壊滅した半面、IT関連など自宅で継続できる仕事はダメージが小さい。6フィートの経済が新しい生活様式(New Normal)でのスタンダートな経済になるのか、一時的なものなのか、議論が分かれるところだ。しかし、目端が利くビジネスマンは新たなビジネスチャンスと考え、6フィートの経済をうたったオフィススペースやEコマースサービスなどを始めている。

コロナ感染者をさらす

パンデミックシェイミング

Pandemic shaming(パンデミックシェイミング)」は、コロナ感染者がネットやメディアでさらしものにされること(shaming=恥辱や侮蔑)だ。

 日本でも流行初期に海外旅行から帰ってきた女の子が感染者だったと週刊誌に追いかけられたり、大学で感染した青年が実家に戻ったために大騒ぎになったりした。コロナに感染することは犯罪でもなんでもない(自主的な隔離をしなかったという問題はあるものの)が、徹底的にさらしものにされ、攻撃される。

 この大衆のみにくさは日本人に限ったものではなく、欧米でも共通のようで、雑誌ニューヨーカーの記事『The Public-Shaming Pandemic』(September 28, 2020)によると、コロナが悪化して隔離されているにもかかわらず、どこのパーティーで見た、デパートで買い物していたなどのうわさがネットに流れ、大変な目に遭った患者がいたそうである。

 同様の意味に「Social Stigma(ソーシャルスティグマ)」があり、コロナに感染したことが社会的な烙印として不利益を生むことを指す。コロナ差別と言い換えてもいい。コロナ禍は、どこの国でも人間の醜悪さをあらわにしたようだ。

 メリアム・ウェブスター英英辞典の2020年注目の言葉(年間のトラフィックから使われた単語を統計処理したもの)はトップがパンデミック(Pandemic)で2位がコロナ(Coronavirus)だった。そして、同ランキングで7位に入ったのが「シャーデン フロイデ(ドイツ語:Schadenfreude)」だ。他人の不幸を喜ぶ気持ちのことで、昔からある言葉だが、コロナ禍で注目されるようになってしまった。

 トランプ大統領がコロナに感染した2020年10月2日に検索語のトップになり、さらに昨秋の大統領選挙でバイデン氏に負けた時に再び検索語のトップになったというから、なかなかにイタイ。自分の状況が良くないと他人の不幸が蜜の味になるのは世界中同じのようだ。

日本のオンライン飲み会が

欧米で流行語に

 他にもコロナに関連した流行語は多数ある。

 コロナで握手やハグができなくなった代わりに、ひじをぶつけ合うあいさつがされるようになった。首相同士でもやっているアレは「Elbow bump(エルボーバンプ)」という。

Self-isolation(セルフアイソレーション)」は、コロナで陽性反応が出たら自主的に隔離状態になること。転じて自分なりのコロナ対策を指す。

Non-essential(ノンエッセンシャル)」はコロナ禍で不要なものを捨てて必要なものだけで暮らすようになり、必須ではない物事=ノンエッセンシャルと呼ぶ。欧米流の断捨離あるいは丁寧な暮らしといったところか。

Hamster shopping(ハムスターショッピング)」はバカみたいに買いだめすること。日本も2020年の春はスーパーの棚が空になり、マスクを山のように買う人が激増した。そのみっともなく買いあさる姿が、ハムスターが頬袋にたらふく木の実を蓄えて顔がパンパンになる姿とダブったというわけだ。

Staycations(ステイケーション)」はバケーションとステイの造語で、自宅や近所で休みを楽しむこと。バケーションといえば、丸々1カ月休んで避暑地へ行くヨーロッパの人々には、コロナでの自粛は相当に厳しかったらしい。ステイケーションなんて日本にも同じ意味の流行語がありそうだが、10日程度のお盆休みすら持て余す日本人には、夏休みで海外に行けないことには新しい言葉を生み出すほどのインパクトはなかったようだ。

 コロナ禍の日本で使われるようになった言葉が、そのまま欧米に広がったケースもある。

 日本の「オンライン飲み会(オン飲み)」だ。

 欧米では「ON-NOMI」として紹介され、彼らも日本のまねをしてオンライン飲み会を始めたというのだ。ON-NOMIでもハッピーアワーがあるのが欧米らしいというか。緊急事態宣言で息が詰まりそうな日々が続くが、ON-NOMIでパッと飲んでストレス発散を。

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