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世界初? インドで牛専用の救急車デビュー! いっぽう、牛の崇拝が強まる影で起きる問題とは

ギズモード・ジャパン のロゴギズモード・ジャパン 2017/05/20 株式会社メディアジーン
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立派な救急車です。サイレンだって鳴ります。でも家畜専用です。

インド北部のウッタル・プラデーシュ州で、おそらく世界初と思われる家畜専用の救急車が始動したそうです。

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The Telegraph

によれば、ウッタル・プラデーシュ州の副首相、Keshav Prasad Maurya氏が今月はじめに発表した「Cattle Healing Mobile Van Service(家畜救済用移動診療サービス)」は、州都ラクナウほか近隣都市で5台の救急車を導入し、獣医師と救急救命士のチームがケガや病気で弱った牛や、身寄りのない牛の救護にあたっているそうです。救護にかかる費用や資金源は明らかにされていませんが、低コストに抑えて誰でも利用できるようにしているとか。専用のフリーダイヤルも設けられていて、The Guardianによると、すでに200件以上の要請を受けて1日25頭のペースで救護する活躍ぶりだそうです。

「家畜」と言いつつ、メインターゲットは。救急車を提供した「Gau Vansh Raksha Trust(牛・仔牛保護団体)」というNGOは、これまでにも捨てられた牛を引き取って看取る「Gau shala(牛のための介護施設)」を設立し、とかく牛のために奮闘してきた団体です。

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ウッタル・プラデーシュ州内にある「Gau shala」

(image: Alexander Mazurkevich / Shutterstock)

なぜこんなにも牛へのサポートが手厚いのでしょうか? なぜなら、インドの約80%にものぼるヒンドゥー教徒にとって牛は神聖な生き物だからです。どのくらい神聖なのかというと、Gau Vansh Raksha Trustの副代表であるSugandh Kumar氏いわく、「インドの神話によれば、われわれには3人のがいる。ひとりは産んでくれた母。もうひとりは成人するまで育んでくれた母――母なる大地。そしてもうひとりは、その母乳によってわれわれを強くしてくれた」なんだそうです。

神聖なる牛は、インドの法律にも手厚く守られています。The Indian Expressによると、インドの29ある州のうち25では牛を殺すことが禁じられており、有罪だと懲役6カ月から10年。州によって量刑はまちまちですが、牛肉を売買したり、食べたり、保存したりするのも一切禁止されています。

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ウッタル・プラデーシュ州の街並み。道の真ん中に座り込む牛を避けて通る車

(image: Martchan / Shutterstock)

屠殺が禁じられているので、繁殖期を終えた牛や搾乳できない老牛を飼い続けることが経済的に困難になり手放すケースが増え、国中で530万頭もの牛が路頭に迷っているそうです。エサにありつけず、牛たちは道路ばたに散乱しているゴミの山をあさります。The Telegraphによると、時にはプラゴミを食べて窒息死したり、有毒なゴミを食べて死んでしまう牛が年間数千頭にも及ぶのだそうです。

そんな牛たちを救おうと立ち上がったのが、2014年5月にインドの首相に就任したナレンドラ・モディ氏。牛を過度に崇拝するような流れを作りだした人と言えるかもしれません。モディ氏率いるインド人民党はヒンドゥー至上主義に傾倒していて、牛を保護する政策を次々と打ち出してきました。The Guardianによれば、インド国内にいる1.9億頭の牛すべてにマイナンバーを割り振ったのも彼の功績。さらに、インド全土において「Gau shala」をどんどん増やしていく予定だそうで、牛の救急車もその一環なのでしょう。

一方、大多数を占めるヒンドゥー教徒が牛を崇拝するあまりに、牛を崇拝しない宗教の人たちとの衝突が絶えません。The Guardianによると、道をふさいでいた牛にクラクションを鳴らしただけで集団リンチに遭い、片目を失った犠牲者も出ているそうです…。

牛の救急車サービスが始まった同じ日、同じ州内で、15歳の息子を病気で失った村人がいたそうです。彼は、New Delhi Televisionによると、病院で息を引き取った息子のなきがらを肩に背負って、7キロ歩いて村に帰ったそうです。担架の貸し出しも、救急車も、霊柩車もありませんでした。この親子の宗教は、明らかにされていません。

image: Pikoso.kz / Shutterstock.com, Alexander Mazurkevich / Shutterstock.com, Martchan / Shutterstock.com, World Social Issues / YouTube

source: The Guardian, The Telegraph, The Indian Express, New Delhi Television

reference: BBC News, Wikipedia 1, 2

(山田ちとら)

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