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年収1000万でも「結婚できない」アラフォー・アラフィフ男たちの事情

SPA! のロゴ SPA! 2019/03/24 08:54 日刊SPA!
日刊SPA! © FUSOSHA Publishing Inc. 提供 日刊SPA!

 未婚率が上がっている――。近年よく言われることだが、女性が社会に出て活躍するようになり、結婚に対する価値観の変化といった時代背景があることは確かだろう。また、雇用の不安定化や貧困化する若者の増加も理由のひとつに違いない。では、唸るほどのカネを稼いでいれば、結婚できるのだろうか?

 超一流企業に勤め、年収1500万円オーバーの収入を持つ“勝ち組”にも関わらず、アラフォー、アラフィフになった今でも「結婚できない」という3人の男性に事情を聞いた。

◆近寄ってくる女性が全員“カネ目的”に思えてしまう

 中部地方の進学校を卒業後、早稲田大学に進学。その後、当時は最難関だった大手出版社に就職した成田真司さん(40代・仮名)。マンガ雑誌や週刊誌の編集者として活躍し、20代後半で年収は1000万を超えた。「遊びも仕事のうち」と毎晩飲み歩き、女性も取っ替え引っ替えという羨ましい日々。しかし30歳になったころ、ふと「結婚しなければ」と考えるようになったという。

「実家が田舎ですから、親や親族から『結婚しないのか』と言われ続け、嫌な思いをしてきました。近しい友人が続々と結婚し、子どもを産み、家を建て始めたのです。これまでは酒と女さえあればいい、そう思っていたのですが、嫁と子どもと幸せそうに過ごす友人を見て、ハッしたんです」(成田さん)

 そうしてやっと「婚活」を始めたのは35歳の誕生日を迎えたころ。当時付き合っていた女性は26歳、銀座のホステスだった。デート時の費用から彼女の家賃まで一部補助しているような有様。“恋人”と言えばそうだろうし、“客とホステス”と言えばそうかもしれない。

「当初は年齢も離れているし、“そういう関係”と考えていましたが……思い切って結婚を切り出したんです。でもやっぱり、のらりくらりとかわされて、結局は別れてしまいました」(同上)

 その後、知人に紹介された女性も、まずは自身の「収入」を聞いてきた。強みだったはずの「大手出版社勤務」「高収入」そして「都内一等地のマンション所有」という情報が、いつの間にか「レッテル」にさえ感じられるようになったという。

 成田さんは、来る女性来る女性、全員が「カネ目的」に思えてしまったという。

「もちろん考えすぎもあったのでしょうが、自分自身、相当卑屈になっていましたね。カネはあるが自信がない。女性が収入の話をしてくると一気に引いてしまう。そうこうしているうちに、本当に年収や資産しか聞いてこない女性ばかりが集まるようになった。遊んできた自分が言うのもなんですが、ちゃんとした価値観を持ち、カネではなく、俺と生涯を過ごしてくれる人なんていないんじゃないのかと……」(同上)

◆遊ぶ女性には困らないが…

 外資系証券会社に勤務する笹原郁雄さん(40代・仮名)も、前出の成田さん同様に幼い頃からエリート街道を爆進してきた。東京大学在学中にヨーロッパやアメリカの名門大学に留学し、帰国後は超大手保険会社に就職。ヘッドハンティングなどを経て、現在の会社に籍を置く。20代は激務に次ぐ激務で、「遊ぶ暇なんてほとんどなかった」と言いつつも、夜はカネにモノを言わせて六本木や銀座の街を練り歩いていた。当然、遊び相手の女性には困らなかった。

「当時の年収は2000万円ほどありましたね。高級な店に飲みにいっても、所詮ひとり分だから使いきれない。一夜を過ごす女性はたくさんいて、彼女が欲しいと思うことは一度もなかったですね」(笹原さん)

 転機が訪れたのは、リーマンショック(2008年)の直後だ。証券業界は大混乱に陥った。同僚が自殺したり失踪したり、病気になって退職したり。そんな中でも、しっかり働けていたのは家族がいる同僚だった。みな、精神がおかしくなりそうな状況で働く中、その支えは「家族だ」と話していたのである。

「そうか、家族ってそんなにいいものかと思いました。私自身、都心の4LDKのマンションに暮らしていましたが、ここに暖かい家族が築けるなら、などと夢想していたのです。それですぐに婚活を始めましたが……」(同上)

 そんな笹原さんがぶち当たったのも「近寄ってくる女性がカネ目的なのではないか」という、独身富裕層ならではの疑心暗鬼だ。暖かい家庭を持ちたい、という希望を満たしてくれるような女性は皆無に思え、焦るがあまりに、詐欺師のような女にも引っかかってしまった。

「カネなんていらない、あなたの人柄に惹かれた、なんて言われてグラッときました。ところが、いざ結婚することになって戸籍などを取り寄せたところ、どうも彼女の態度がおかしい。戸籍を私に見せようとしないのです。問い詰めたら、離婚歴だけではなく、2人の子どもまでいることが発覚。同時に数百万円の借金まで判明し、もうぐちゃぐちゃです。婚約は解消し、あまりのショックに1週間寝込みました」(同上)

 結局は未婚のまま、さらには女性不信に陥った笹原さん。現在は都心の2LDKタワマンに住み替え、相変わらず忙しい日々を送っているが……。

「今は23歳の彼女と同棲しています。カネ目的? そりゃそうでしょう(笑)。もう開き直ったんですよ、どうせカネ目的で見られているなら、相手は若い方がいい。まあそのうち彼女が私と結婚してもいいよ、なんて考えるようになってくれれば御の字。海外旅行に行ったり美味しいものを食べたり、あとは彼女が目指している資格の試験のために、色々と援助しています。結婚は諦めていませんが、急ぐつもりもない。結婚してすぐ、相手に介護をお願いするなんていうのも惨めでしょう」(同上)

 ある意味「達観」しているようにも見えるが、結婚を諦めていない、というのは、この世代の未婚者の偽らざる本音ではないだろうか。

◆キャリアウーマンの彼女が進歩的な考え方で…

 最後はIT企業役員の一ノ瀬荒太さん(50代・仮名)。ここまでは女性が“カネ目的”に思えてしまうという金持ち男性ならさもありなん、といった感じだが、時代の最先端をいくキャリア組同士が付き合うことで結婚ができない場合だってある。

 これまでの2人と同様、高学歴な一ノ瀬さんだが、親の仕事の都合上、20歳までのほとんどの時間を海外で過ごした。20代で知人らとIT企業を立ち上げ、その後は様々な会社の役員を務め、現在の会社に転職。収入はコンスタントに1800万円以上。都内で開かれたIT系セミナーで知り合った彼女(30代)と所有するベイエリアの高層マンションで同棲し、今年で5年目だ。側から見れば「順風満帆」で今風な男女に思えるが……。

「彼女も海外帰りで、考え方が“進歩的”というか……。結婚に関しては事実婚でもいいし、お互いの気持ちを尊重しようというスタンスでした。私もそういった彼女の考え方が気に入り付き合い始めたのですが、やっぱり、年齢と共に“結婚”という形がほしくなったんです」(一ノ瀬さん)

 ある日、結婚を切り出した。しかし、「話が違う」「私に専業主婦になれってこと?」と激怒された。年齢的に子作り、子育てが厳しくなってくると指摘すると、女性蔑視だと金切り声をあげ、家を出て行ったのだ。

「彼女の考え方は尊重しますよ。でも、この歳になってから、家庭の温かみとか、子どもが欲しいとか、気持ちが変わってきたんです。そうした私の思いも、少しはわかって欲しいんです。結婚という制度になぜこだわるのか、こう詰問されましたが、ではなぜ、その制度を頑なに拒否するのか。お互い平行線で議論もできません。彼女に対する気持ちが冷めていくのがわかります」(同上)

 国立社会保障・人口問題研究所の調査(2015年)によれば、男性の生涯未婚率は23.4%で、すでに5人に1人だという。この先もっと増えていくかもしれないが、それぞれに“事情”があることを理解しておかないと、表面上だけの議論で「未婚者」を嘲笑うような世論が出てきかねない。いや、すでにそうなってはいまいか。<取材・文/山口準>

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