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弁護士が語る「悪賢い成功者」の悲惨な末路 1万人の人生からわかった強運な人の共通項

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2017/02/20 西中 務
 

 私たちは、「成功して、羽振りがいい人」に注目しがちだ。その中には、「悪賢いこと」をして成功を収めた人もいるかもしれない。

 しかし、50年近い弁護士生活をとおして、のべ1万人以上の「トラブル」を見てきた西中務氏は、そういった成功は一時的なもので、多くは後に悲惨な末路にいたると語る。近刊『1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」』を上梓した西中氏に、「悪賢い成功者」の末路と、本当に「運の良い人」の特徴を解説してもらった。

運の良い人と悪い人がいる

 私は半世紀近く弁護士をして、本当に多くの人生を見せてもらいました。民事、刑事の仕事のすべてを合わせれば、依頼者はのべ1万人を超えるでしょう。

 刑事事件はもちろん、民事事件でも、法律相談が必要な場面というのは、人生の重大事が多いものです。弁護士として人様の重大事とたくさんかかわりを持たせてもらったおかげで、随分と人生勉強をさせてもらいました。毎年出す年賀状も1万枚を超すようになりました。

 1万人もの人生を見てきた私にはわかるのですが、世の中には、たしかに運の良い人と悪い人がいます。

 たとえば、運の悪い人は、同じようなトラブルに何度も見舞われます。同じ人が同様のトラブルで、何回も私のところに相談に来るのです。何度も同じような争い事を繰り返す人は本当に多いものです。

 そうかと思えば、まったく逆の人もいます。別にトラブルというのではなく、商売などに関連した法律相談のために事務所に来るのですが、やはり何度も繰り返していらっしゃる。そして、来るたびに、会社は大きくなっているのです。こちらは、運が良いとしか言いようがありません。

 この「運が良い、運が悪い」は一言でいえば、それまでのその人の生き方の反映です。運のいい人は、運が良くなるような生き方をしているのです。

 皆さんに幸運をつかんでいただくために、このたび上梓した『1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」』から、運を良くするための経験則をご紹介します。

良い人の周囲には良い人ばかりが集まり…

 「良い人」と付き合う

 弁護士をして、大勢の人々を見ていて気づいたのは、「良い人の周囲には良い人ばかり」なのに、「悪い人の周りには悪い人ばかり」という不思議な事実です。

 周りに気を使い、当然のように他人を助けている「良い人」がいらっしゃいます。そうした人は、たとえば事業の法律相談などで来るのですが、周囲にはやはり同じような「良い人」が何人もいらっしゃるものです。

 「朱に交われば赤くなる」ということわざがありますが、良い人と付き合っていれば、自然と周りが良い人になります。周囲が良い人ばかりですから自然とトラブルが少なくなります。しかも、困ったときには助けてくれるような人ばかりですから安心です。のびのびとした気持ちで仕事に打ち込めますし、必要なときには必要なサポートを受けやすいので、成功を収めやすいようです。常日頃から気分よく生きていけるだけでなく、仕事もうまくいくわけです。

 つまり、良い人と付き合っていると、とても幸福な人生になるわけです。そんな例をたくさん見てきました。

 「悪い人」と付き合わない

 反対に、依頼者でも相手方でもそうですが、しょっちゅう争い事を起こしている人には、他人を陥れても自分だけが得をしたいという「悪い人」がよくいます。そんな人の周りを調べてみると、やっぱり同じようなタイプの「悪い人」がぞろぞろいるものなんです。

 良い人の場合とは逆に、悪い人と付き合っていると、自然と周りに悪い人が集まってくるのでしょう。そうすると、争いが絶えず、しょっちゅうだまされたり傷つけられたりします。心はすさんで、いつも警戒や不安でいっぱいになります。イヤな気分でずっと過ごしているうちに、ストレスで体を壊しやすくなってしまいます。

 こういう人は、結局は仕事もうまくいかないようです。他人をだましたり傷つけたりすると、一時は大金を得たとしても、いつかは逆にだまされたり傷つけられたりして、失ってしまうからです。

 つまり、悪い人と付き合っていると、不幸な人生になってしまいます。

 運を良くしたいのなら良い人と付き合う。これが、ベテラン弁護士としての経験則です。

 「争わない」生き方のすすめ

 また、弁護士がこのようなことを言うのは意外に思われるかもしれませんが、47年間にわたり1万人以上の人生を見てつくづくと感じるのは、「争っても、いいことは何もない」ということです。

 なぜなら、争うことで運が悪くなるからです。

 たとえ訴訟に勝って大金を手に入れたところで、運を悪くしては何もなりません。実際、争いで手に入れたおカネはすぐに失うことになりがちです。たとえば遺産争いで大金を得ても、危機を迎えたとき、誰も助けてくれないということにもなりかねません。私は弁護士として、そのような転落をうんざりするほど見てきました。

 また、不思議なことに、裁判で勝った後に不幸になる人が珍しくありません。勝訴を勝ち取った後に会社が倒産してしまったり、不渡り手形をつかまされたり、経営者が交通事故に遭ったりする例を多々見てきました。

 非科学的だと思われるかもしれませんが、恨みを買ったために、運が落ちてしまったのではないでしょうか。冷静に長い目で見てみると、こうしたことは世の中に意外に多いと気づくはずです。

 争いはしないほうがいい。これが私の経験則となったのです。

良いことをすると運が良くなる

 昔から「情けは人の為ならず」といわれてきました。

 残念ながら今は、「人に情けをかけると、甘やかすことになって良くない」と誤解されていることも多いようです。でも、ご存じのように、本来の意味はまったく逆です。

 「情けをかけるのは他人のためではなく、自分のためだ。なぜなら、他人に情けをかけると、回り回って、自分のためになるからである」

 これが本当の意味です。

 「自分のためになるのだから、どんどん、他人に優しくしなさい」ということわざです。つまり、人の役に立つことをすると運が良くなるという意味になります。

 私の経験則からいっても、これはまったく正しいと思います。

 しかし、「それはきれいごとで、現実にはあてはまらないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。現実の社会を見ると、人の役に立つどころか悪いことばかりしている人間が、お金持ちになったり出世したりしているように見えることも多いでしょう。

悪いことをして得た成功は長続きしない

 たしかに、悪賢く立ち回って成功している人はたくさんいます。しかも、そんな人は派手にぜいたくをしがちですから、目立ちます。

 ですから、世の中にいる成功者は、そんな人ばかりなんだと思われるかもしれません。

 けれど、普通の人たちは、「うまくいった」という話ばかり聞かされがちです。その後どうなったかはフォローしませんし、あまり耳に入ってこないから、少々錯覚されていることが多いと思うのです。

 その点、弁護士は逆で、世の中のうまくいっていない人を多々見ます。弁護士が必要になるような争いがあるときは、うまくいっていない場合のほうが多いものです。

 つまり、普通の人は成功した話しか耳に入ってきませんが、弁護士は失敗している人についてよく知っているわけです。そして、悪賢い成功者がその後どうなったかについての話もよく知っているのです。

 結論をいえば、悪いことで得た成功は長続きせず、すぐに不幸になってしまうようです。

 事業で失敗して弁護士に相談に来る人の多くは、実はほんの少し前までは成功者だった人たちなのです。頭を使ってうまくおカネを儲けたり出世したりしたのに、その成功は長続きせずに、しばらくして失敗し、窮地に追い込まれる場合が非常に多いのです。

 そのことを、弁護士はよく知っています。「天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさず」ということわざもあります。悪いことをすると、必ず人知の及ばぬところにいる神さまが見ていて、罰を与えるぞという戒めの言葉です。

 悪いことをして得た成功は、長い目で見れば一瞬だけのことです。本当の幸運は、一瞬だけでなく、長い目で見ないとわかりません。

 悪いことで成功を得た人の末路を数多く知る弁護士のいうことです。どうか、参考になさってください。

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