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次期首相候補は3人に!石破氏逆転の可能性も

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2016/08/11 清談社

8月3日に発足した第三次安倍第二次改造内閣。菅義偉官房長官や、麻生太郎財務大臣、岸田文雄外務大臣をはじめ、8人の閣僚を留任させるなど、変化の少ない安定志向の人事のように見える。だが、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏によると、今回の内閣改造、そして同時に行われた党役員人事には、今後の安倍政権を考えるうえで見逃せない、いくつかのポイントがあるという。

安倍総理の寵愛を受ける“タカ派”稲田朋美防衛大臣の起用

 まず1つ目の注目点は、政調会長だった稲田朋美氏の防衛大臣への抜擢だと、鈴木氏は指摘する。

「保守派の論客でもある稲田さんは、まだ当選回数は4回。本来なら入閣前の当選回数です。

 ですが、安倍総理の寵愛を受け、第二次安倍内閣発足以来、規制改革担当大臣、党政調会長とこれまで一貫して、陽の当たるポストを担ってきました。

 今回はさすがに1回休みになるかなと思いましたが、蓋を開けてみれば、防衛大臣という要職を担うことになり、さらに驚いています。防衛大臣は、安全保障に関する議論はもちろん、今後、憲法改正をめぐる議論の際にも、非常に重要なポストになります。

 また、これまで防衛大臣は、中国、韓国の反発を抑えるためにも、小野寺五典さんや中谷元さんなど、比較的ハト派の議員が起用される傾向にありました。ですが今回、安倍総理は、自分と近いタカ派の稲田さんの起用に踏み切りました。

 この思い切った人事には、稲田さんを自民党の総理候補、そして自らの後継者として育てていこうとする安倍総理の強い意志を感じさせるものがあります。

 そして稲田さん自身も、安倍総理の期待に応えようと、後継者としての政治家像をイメージして脱皮を試みています。その証拠に、防衛大臣就任直後の記者会見でも、自らの歴史観についての発言を避けるなど、将来を見据えて、政治家としての幅を広げようとしているのが伺えます。あまりにもタカ派な姿勢は、自分が総理大臣を目指す際に、自らの言動を縛る要因になってしまいますから、今後もその場に応じて発言など使い分けていくことでしょう。8月15日の終戦記念日の靖国神社への参拝も見送る可能性が高いと思います」

“実力派”二階幹事長起用の真意は憲法改正にあり

 趣味のサイクリング中の転倒事故により、頸髄(けいずい)を損傷し入院した谷垣禎一幹事長の後任に、安倍総理は、二階俊博総務会長を横滑りさせることにした。この二階幹事長の起用も、今回の人事において注目すべき点だと、鈴木氏は語る。

「今度の内閣改造では、主要閣僚を特に変えていません。そのため、政策や政務に関する変更点は、あまりありません。ポイントは党務、とりわけ幹事長人事です。今回の二階さんの起用には、その背景に安倍総理が念願とする憲法改正に取り組もうという強い意欲を見ることもできると思います。

 憲法改正をするには、国会で衆参両院の3分の2以上の議員の合意が必要になります。そのため、憲法改正は政務ではなく、党務が重要なんです。国会の憲法審査会で、各政党と意見を調整をしながら、3分の2の賛同を得られるような改正案を作成していくわけですから。

 そのためには、党務の要である幹事長には、憲法改正に慎重な与党の公明党はもちろん、野党とも様々なチャンネルを持っている二階さんの力が必要になってくるわけです。

 二階さんの長所は、色々な政党を渡り歩いたことにより培った、与野党に深く張り巡らされたネットワークです。そして、その人脈は、国会議員だけに限りません。官僚や経済界などにも及んでいます。

 もう一つ、安倍総理が高く評価しているのは、二階さんの持つ政局眼です。参院選前に安倍総理の総裁任期延長に言及するなど、政局の先行きを見通す眼は、現在の永田町でもピカイチです。

 幹事長就任後にも、『年内に総裁任期延長問題について結論を出す』といち早く発言するなど、安倍総理の意向を受けながら今後、党内世論をリードし、任期延長へと向けた地ならしを着々と進めていくはずです。

 一方で、自らの派閥拡大にも余念がない二階さんの起用には、安倍総理の周辺から寝首をかかれるかもしれない、と警戒する声も一部にはありました。ですが、安倍総理とはとりあえずWin-Winの関係を構築していくのではないでしょうか」

次期総理を目指して閣外に飛び出した石破茂氏の思惑

 安倍政権の目玉政策の1つである“地方創生”を担当していた石破茂氏は、今回の内閣改造で、打診された農水大臣のポストを断って閣外に転出した。ポスト安倍を見据え、フリーハンドを得るために、石破氏は決断したのである。

 今回の人事においては、この石破氏の行動こそがもっとも重要で、かつ波乱含みのトピックスだと、鈴木氏は指摘する。

「石破さんが閣外に転出することを決断した理由として、今回の改造で農水大臣を打診されたことが挙げられていますが、実際には違います。昨年秋に行われた内閣改造の際に、既に決断していたというのが真相です。

 昨年の内閣改造では目玉政策として掲げる“一億総活躍”の担当大臣として、安倍総理の側近の加藤勝信さんが起用されました。

 実は、“一億総活躍”と石破さんの担当する“地方創生”は、その所管する政策において重複する部分が多々ありました。ですが、安倍総理は、石破さんに事前に何の相談もなく、新たに閣僚を起用したのです。石破さんが、自らの顔を潰されたと思ってもおかしくありません。この人事が石破さんに閣外転出を決断させたのです」

 閣外転出した石破氏の動きは、安倍総理にとって今後、脅威となるのだろうか。鈴木氏が解説する。

「石破さんは、安倍総理の後継を争う総裁選での勝利を目指し、かなり綿密な計画を立てています。今後、地方行脚はもちろん、SNSなどを使った政策の浸透などを展開していき、安倍総理とは異なる政治を訴えていくでしょう。

 こうした石破さんの動きに対して、安倍総理周辺は2つの見方をしています。1つは、大臣を辞めてメディアへの露出も減るため、求心力が低下し、政治的には終わってしまうであろうという見方です。その一方、閣外に転出した石破さんの動きを非常に警戒感を持って見ている安倍総理周辺の議員もいます。

 元々、石破さんは地方の自民党員から根強い支持を持っています。アベノミクスの恩恵を受けていない地方の自民党支持者の受け皿には充分なりえます。また、石破さんの動きが、野田聖子さんや、小泉進次郎さん、小池百合子・東京都知事らと連携するようなことになれば、その動きは化学反応を起こし、安倍総理を脅かす大きなものになるかもしれません」

安倍総理の後継レースに名前が挙がるのはこの3人!

 鈴木氏は、石破氏の動きが自民党に活力をもたらす可能性があるとも指摘する。

「現在の自民党は安倍一強で、党内における異論は目立ちません。ですが、元々自民党は、右から左まで幅広い意見があり、そのなかで激しい権力闘争が繰り返された歴史があります。多様な意見が飛び交うことが、自民党に活力ももたらしていたわけです。

 その意味では、今回の石破さんの行動は、安倍一強が続く状況に一石を投じ、活力をもたらす可能性もあるかもしれません。安倍総理にとっても、ライバルがいることはプラスだと思います」

 今回の人事により、安倍総理の後継候補は、かなり絞られてきたと鈴木氏は指摘する。

「有力な後継候補は、閣外に転出した石破さん、そして外務大臣に留任した岸田さん、防衛大臣に新任された稲田さん。この3人です。

 稲田さんと岸田さんは、閣内で安倍総理に協力をすることにより、禅譲を目指す作戦です。その一方で石破さんは、閣外で自らの政策を打ち出し、幅広い支持の獲得を狙っていく、いわば攻めの作戦です。どちらの戦略が功を奏すのかは、次の総裁選で明らかになることでしょう」

 今後、自民党内では、安倍総理の任期延長をめぐる駆け引きはもちろん、安倍後継を巡る候補者たちの暗闘など、激しい権力闘争が行われる可能性が高い。さらに注目をしていく必要があるだろう。

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