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長期休校中、勉強に没頭 在宅の父に質問 「やるだけ成績が上がる」

西日本新聞 のロゴ 西日本新聞 2020/10/18 11:50 西日本新聞
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「コロナ禍の子」(2)中学受験

シャープペンシルを素早く操り、ノートに数字を書き込む。紙からペン先を離している間も小刻みに動いたまま。まるで、宙に字を書いているようでもある。

福岡県内の公立小6年、シュンさん(12)=仮名=は今、勉強をするのが面白くてたまらない。

子どもは大人に比べて新型コロナウイルスの感染者数が少ないことから、対面授業を再開した塾に週4回通う。周囲も自分もマスク姿であること以外は、コロナ前と変わらない。

「やったらやるだけ成績が上がるので」。理由は極めてシンプル。午後10時には寝たいと考えているが、「あと1問」に集中するあまり、いつの間にか時間が過ぎる。塾と自宅で平日は5時間、土日祝は8時間は机に向かう。

低学年の頃は将棋に熱中していた。父の影響で始め、九州各地から子どもが集まる大会に出場。負けた悔しさで火が付いた。プロ棋士を輩出している将棋教室に通い始め、段位の認定を受けた。

地域の小学生が参加する大会で優勝もしたが、ほどなく思い知る。「自分より年下で、もっとすごい人がいる」。プロ棋士は狭き門。父からも「勉強して難関大に受かる方が門戸が広い」と諭され、何だか冷めてしまった。

塾にも通い始めており、高学年の頃には「頭の中」が勉強に切り替わった。テスト結果を見るたびに「負けたくない」という気持ちが湧いてきた。算数をはじめ、社会や理科の成績は順調に伸びた。

コロナの影響による春の長期休校中も勉強に没頭した。休み前に学校から配られた10枚ほどのプリントは約2時間で解き終えた。その後は塾の課題に取りかかった。休校中も塾からは週2回、新たな課題が出され、その内容に関する短時間の説明があった。

国語、算数、理科、社会。4教科の学習計画を立てると、設問を解いて自分で答え合わせをした。理解できない問題は、自宅でリモートワークする会社員の父(50代)にその都度尋ねた。それでも分からなければ、塾の先生に質問した。

「学校が休みで時間がたくさんあったので、塾の課題も余裕を持って終わらせた」。その後の浮いた時間で市販のテキストを解いていく。ただ、1人で続けていると疲れて思考力が落ちるため、気分転換に家の近所をジョギングした。

塾ではオンラインによる学習支援もあった。それぞれの自宅で勉強する同級生がパソコン画面に映る。でも「気が散る」ため、同級生の姿は見ずに目の前の問題に集中するようにした。

5月下旬に休校が明ける。学校では遅れを取り戻そうと、1日に何度も国語や算数の授業があり、例年よりも早いペースで教科書は消化されていく。

ただ、シュンさんにとっては「既に塾でやったことの簡易版」に映る。提示される課題をさっと終えると、塾の課題や市販のテキストを机に広げる。担任は気付いているはずだが、何も指摘はされない。

隣の人と意見交換を求められる授業もあるが、その時は「一方的に教えるだけ」。図工や音楽、体育は新鮮だし気分転換にもなるが、それにしても学校は拘束時間が長すぎると思う。長期休校の影響で、塾に集中できるはずだった夏休みも削減された。

目指すのは、難関私立中。父からは「公立中に行っても、思った通りに勉強できないかもしれない」と助言された。本気で友人とぶつかる中で腰の低さや礼節、人に好かれることの大切さを学んでほしいとも言われる。

今春の業者テストの結果では、志望校合格も視野に入ってきた。来年1月の受験まで残り約3カ月。インフルエンザの流行時期に、今季はコロナの懸念も重なるだけに、体調管理に気を使う日々が続く。

「中学に進学した後は、早めに中学で学ぶ内容を終わらせ、高校生活に備えたい。その先はまだ、考えていないけど」。シュンさんは眼鏡の奥で、この先の道筋をそう見据えている。

(編集委員・四宮淳平)

私立中学、九州に80校 国立中は9校

文部科学省の学校基本調査によると、2019年5月1日時点で九州7県には私立中が計80校あり、福岡27校▽佐賀6校▽長崎15校▽熊本9校▽大分4校▽宮崎9校▽鹿児島10校。国立中は9校で、福岡3校、6県は各1校だった。

生徒数は国公私立中で計34万6000人。このうち4.8%が私立中、1.1%が国立中に在籍していた。

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