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1本500円の低価格ワインを美味しく選ぶ方法 値段よりも産地よりも「保管環境」を見よ!

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/11/13 07:30 松崎 のり子
いまやリーズナブルな値段で買える輸入ワイン(写真:jazzman / PIXTA) © 東洋経済オンライン いまやリーズナブルな値段で買える輸入ワイン(写真:jazzman / PIXTA)

 ひと昔前、11月にもなると「ボジョレー・ヌーボー予約中!」といったポスターやチラシを目にした。バブル期にはボジョレー解禁イベントが高級レストランやホテルで華々しく行われたものだが、最近はとんと聞かない。毎年11月の第3木曜日が解禁日と決められているため、今年は11月15日のはずだ。まもなくというのに、やっぱり盛り上がっていない印象がある。日本人はワインに飽きたのだろうか? 

 そんなことはない。巷にはワインバルやワイン酒場があふれている。ファミレスでもワインは定番だ。メルシャンの資料によると、ボジョレー・ヌーボーが日本中でもてはやされていた1987~1990年が第4次ワインブーム期で、リーマンショック後の景気低迷期はやや減少したものの、その後もワインの消費量は拡大に向かっている。現在は、第7次ワインブームにあたり、その大きな要因とされているのが低価格輸入ワインの市場拡大という。

身近な存在となったワイン

 多くの日本人にとって、ワインはありがたがって飲むものでも、高級フレンチのワインリストから選ぶものでもなく、スーパーやコンビニでビールと一緒に買って帰るものに変わった。売り場を覗くと、価格帯の中心は1000円以下だ。ボリュームゾーンは500円台で、中には750mlボトルが300円台のワインも珍しくない。コンビニで350mlの缶ビールを2本買うのと同じ程度の金額でボトル一本が手に入る。そう考えると、随分コスパがいいお酒ではないか。

 とはいえ、低価格すぎると不安になるのが人の常でもある。安かろう悪かろうという言葉が頭をよぎる。まったくワイン通でない筆者が買う時には、ボトルに書かれた情報をあれこれ読み解くのだが、やはり開栓してみるまでは安心できない。フルボトルだけに、飲んでみてがっかり、となるとダメージが大きい。

 どうしたら美味しい低価格ワインを選べるのか、その手がかりを探ってみた。

 ワインと言えば苦い体験がある。

 いつも安ワインを飲んでいる筆者に、たまにはよいものを選んであげようと家族がワイン専門店に買いに行ってくれた時の話だ。店の人に筆者の好みを伝えようとしたが、うまく説明できない。そこで、店の人が「普段はどこの産地のワインを飲んでいるんですか?」と聞いてくれたので、それならばと「チリ産を美味しいと言って飲んでいます!」とにこやかに答えたとか――。後からそれを聞き、それだけは言わないでほしかったと脱力した。お店の人の表情が、どんな様子だったかは想像に難くない。

庶民の味方チリワインはなぜ安いのか?

 別にチリワインが悪いワインなわけではない。低価格ワインの代表だが、十分美味しいと思う。先のメルシャンの資料でも、国別にみた輸入ワイン(スティルワイン)数量では、フランスやイタリアを押さえてチリがトップ。2017年のチリワインの輸入数量は約5.6万キロリットルで、3年連続で国別輸入数量第1位なのだとか。

 チリワインが安く手に入る理由には、2007年に結ばれたEPA(経済連携協定)により関税が引き下げられたため、チリからの輸入量が一気に伸びたことがある。2019年には関税がゼロになる予定で、いっそう価格が下がることも期待できる。

 また、現地大手ブランドのワインの場合、チリからバルクで大量に運んできて、瓶詰めは日本で行い、そのまま全国の販売ルートに乗っていくという話もある。瓶で運んでくるより輸送コストが安くなるため、価格を抑えられるわけだ。

 スーパーの売り場では、イオンやセブン&アイなど大手流通が各国から直輸入しているワインもよく見かける。中間コストが省ける分、お手頃価格に設定できるのだろう。

 かくして、店頭には500円程度のお手頃ワインがずらりと並ぶというわけだ。

 ワイン選びというと、まずヴィンテージ(ぶどうが収穫された年)を見て……というイメージがあるが、そのあたりはどうだろう。知人のワインジャーナリストに聞いたところ、スーパーやコンビニの売り場ではあまり重視しなくていいのでは、と言う。そういう売り場では、まずじっくり寝かせてから飲むようなタイプのワインではなく、買ってすぐ栓を開ける商品をそろえているはずだからだ。2016年、2017年でも十分美味しく飲めるし、特に白なら若い年代のフレッシュな味を楽しむほうがお勧めだとか。

 逆に言えば、ディスカウントストアなどのセールになっているワインにわりと古い年が書いてあったら、倉庫に眠っていた売れ残りというか、在庫商品の放出である可能性もないとはいえない。そういう意味でも低価格ワインを選ぶなら新しい年のほうが安心かもしれない。

 また、ヴィンテージよりも気にすべきは、売り場の環境だという。ワインが置かれている状態こそ、チェックポイントだというのだ。

低価格ワインは過酷な環境で売られている

 特に室温で保管されている赤ワインは、売り場環境の影響を受けることが多いという。なるほど、高級ワインを思い浮かべればわかるが、だいたいが薄暗く涼しい倉庫に寝かされているではないか。高い温度や明るさなどの刺激はできれば少ないほうが望ましいはずだ。

 しかし、低価格ワインの場合、店舗では他の商品と同じように陳列されているケースがほとんどだろう。たとえばコンビニの場合は、24時間ずっと照明に当たっていることになる。また、冬になれば暖房も効いている。ボトルを手にしたときに、ぬるいというか、冷たさをあまり感じないことがあれば、それはよい状態とは言えないわけだ。

 つまり、ワインを買うなら暖房があまり効いていない店のほうが望ましい。さらに、陳列されている位置関係も大事だ。暖気は上に昇るので、上の段にあるものよりは下の段がよく、さらに一番手前にあるものよりも、照明に当たっていない奥のほうにあるボトルがいいという理屈だ。そして、触ってみて、ちゃんと冷たく感じるものを選ぼう。

 こうしたワインはほとんどがオープナー不要のコークスクリューボトルなので、めったにそういうことはないだろうが、コルク栓のボトルの場合は微妙に量が違うことがあるという。

 ワインジャーナリストの知人は、買う前に必ず数本を見比べるそうだ。液面を比べると5ミリ程度の差に気づくこともあるという。もし他よりも液面が下がっているものがあったら、それはコルクの状態が不良で、漏れがあった可能性が考えられるのだとか。買う前に、数本を比較してみることを勧められた。スーパーの店頭ではなかなか勇気のいる行動だが。

 もっとも肝心なのは、なんと言っても味だろう。ボトルの裏面には、手がかりになる目安が書いてある。白なら、甘口~辛口。赤なら、ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディなど。

 ワイナリーやメーカーによっても定義は微妙に異なるので、この表記を手掛かりに選ぶことになる。たとえフルボディと表記があっても飲む人により感じ方に個人差があるので、一度試すほかないようだ。

甘いワインに当たりがっかり…という時のリカバリー法

 筆者は、期待していた以上に甘いワインに当たってしまい、がっかりしたことが何度かある。その場合にとお勧めされたのは、炭酸で割ること。炭酸にレモン果汁などを加えて、ワインカクテルとして楽しみながら飲みきる方法だ。また、砂糖を入れて煮溶かし、粉ゼラチンを加えてワインゼリーに仕立てるのもいいかもしれない。赤ワインなら、ビーフシチューやトマトソースの煮込みに使うのもありだろう。

 筆者自身は、トライアルでたまに紙パックの100円ワインを買ってみたりもするが、プロの意見としては無難なのは750mlのフルボトルで580~780円あたりではないかとのことだ。さすがに200円台はお勧めしないという。

 なお、同じ銘柄のワインでも、販売店によって売価は異なっている。今回、よく店頭で見かけるラベルのチリワインの価格をスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアで調べたところ、最安で398円、最高で548円だった。その差150円にもなる。

 もちろん、価格だけではなく、先に述べたような売り場環境も大事だろう。安いからと言って劣悪な状態のところで買うよりは、配慮が感じられる店で買ったほうがいいはずだ。たかが低価格ワイン、されど低価格ワイン。ワインはなるほど奥が深い。

 年間でワインの消費が伸びるのは、これからだという。ボジョレーにクリスマスパーティ、年末年始の集まりにと、購入する機会も増える。お手頃価格の掘り出し物をぜひ見つけてほしい。

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