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“先生”にすべて頼るセキュリティ対策の危うさ

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/08/28
“先生”にすべて頼るセキュリティ対策の危うさ: 昨今では無料のセキュリティ読本もWeb上で入手できる © ITmedia エンタープライズ 提供 昨今では無料のセキュリティ読本もWeb上で入手できる

 先日、小学校の先生たちにITセキュリティの話をさせていただく機会がありました。今どきの小学生は、スマートフォンやタブレットを持っているのは当たり前。ITセキュリティに関しては、大人と同じだけの対応が必要になる時代です。そんな生徒たちを教える立場の先生に、いったい何を伝えるべきか――と、とても悩みました。

●先生が覚えることが多すぎる?

 生徒たちのITセキュリティを考えるためにはまず、「先生」がITに慣れ親しんでいる必要があります。幸いなことに、先生たちのほぼ全員がスマートフォンを持っていたので、まずは「Google Mapのタイムライン」機能の話をしました。この機能を見れば、スマートフォンのなかに(正確にはクラウド上に)どのような情報があるのか、一目で分かるからです。実際、先生方は自分自身の記録をみて、驚いたり、楽しんだり、怖いと思ったりと、さまざまな反応がありました。

 スマートフォンはセンサーのかたまりであり、個人情報のかたまりです。そこには名前や住所、電話番号などの分かりやすい個人情報だけでなく、位置情報や写真、SNSのつながり、オンラインバンキングのアカウント情報、Webブラウザの履歴といった個人情報があります。こうした個人のセンシティブな情報を守るための策として、「画面のロックを行うこと」と「パスワードを使い回ししないこと」を紹介しました。

 覚えなければならないのは、これだけではありません。脆弱性をふさぐために、必ずOSのアップデートをしなくてはならないこと、ランサムウェアの被害を軽減するためにバックアップを取る必要があること、そして子どもたちに対しては「SNSの使い方」に気をつかうこと、自己顕示欲から来るさまざまなトラブルが身近にあること、何より著作権法違反や不正ダウンロード、不正アクセスのようなことをして「カジュアルに法を犯さないこと」などなど……。

 こうして人に教えてみると、私たちがいかにITセキュリティについて多くのことを覚えなければならないかが、改めて分かります。

 今回は90分間という長めの時間をいただきましたが、それでも説明しきれるものではありません。日々、情報をアップデートしていかなくてはならないことをお伝えして、講演を終えました。何か1つでも伝わればいいと思います。

●ITセキュリティを誰かに押しつけてはならない

 ITセキュリティは、“先生だけが覚えて他の人たちは教えを請う”ということではいけないと思っています。

 例えば、生徒たちがYouTubeで見たユーチューバーにあこがれ、自分も同じことをやってYouTubeにアップしたとしても、その責任を学校教育に押しつけることはできません。ITセキュリティは、学校だけでなく「家庭」でも教えていかなければならないものです。ここで考えるべきポイントは、“セキュリティ問題を自分ごととしてとらえず、誰かに押しつけていないか”ということです。

 これは学校や家庭だけでなく、おそらく企業内でも一緒です。「ITセキュリティは情報システム部に頼るべきもの」という考え方では、もはや脅威を避けられない時代になっているのです。ITセキュリティは、誰もが“自分のこととして考え”、他人に責任や対策を押しつけることなく、みんなで一緒に考えていくものなのです。

 講演では、最近起きた事件を含め、恐ろしい印象を与える話をしてしまいましたが、最後は「ITは本来、人を幸せにするものだ」という話で締めくくりました。

 フィッシングサイトや加工された写真などの判別は、機械学習やデータ処理で判別できる時代がきっと来ると私は楽観視しています。今の子どもたちは、親世代が想像する以上にITを使いこなしていますから、彼らが親世代になるころには今の悩みはきれいに解消されているかもしれません。その頃には、今は想像もつかないような新しい課題も出てきているでしょうが、きっと技術も進歩しているはずです。

 私はそんな未来がとても楽しみです。だからこそ、今の世代はもうひとふんばり、頑張っていきましょう。

●著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

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