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“2画面Ultrabook”はまるで未来のガジェット?――「TAICHI21」徹底検証

2014/09/20 02:13

2画面により変形なしでタブレットPCとして使えるUltrabook

 ASUSTeK Computer(ASUS)がこの冬に立ち上げた「ASUS TAICHI」シリーズの第1弾製品となる「TAICHI21」は、11.6型フルHD液晶ディスプレイを2画面も搭載したユニークなUltrabookだ。

 一見するとクラムシェル型ボディを採用した普通のUltrabookのようだが、トップカバーの内側と外側に1枚ずつ液晶ディスプレイを搭載しており、開いた状態では内側、閉じた状態では外側と、状況に応じて表示する画面を切り替えることで、ノートPCとタブレット、どちらのスタイルでも利用できるよう作り込まれている。

ASUSのUltrabook「TAICHI21」はトップカバーの内側と外側に1枚ずつ液晶ディスプレイを搭載するのが特徴だ。2012年11月14日の発表時点では12月8日の発売予定とされていたが、現時点で発売日は12月22日以降に延期されている(理由は部材調達の遅延のため)

 2画面の搭載により、タッチ操作に注力して開発されたWindows 8のスタート画面やWindowsストアアプリを最良の水準で体験することを、変形機構なしで実現しているのは見逃せない。さらには内外2画面の同時表示も可能で、これまでにない使い方の可能性も秘めている。

 PC USERではすでに写真と動画で2画面の使いこなしを紹介しているが、今回はパフォーマンスやバッテリー駆動時間のテストも含め、TAICHI21のモバイルPCとしての総合的な実力をチェックしていこう。

2画面でも17.4ミリ厚、約1.25キロの薄型軽量ボディ

 TAICHI21は2画面構成ながら、1画面のUltrabookに見劣りしない薄型軽量ボディに仕上がっている。ボディのサイズは306.6(幅)×199.3(奥行き)×3~17.4(高さ)ミリ、重量は約1.25キロだ。実測での重量は1.256キロと、ほとんど公称値と同じだった。

 11.6型フルHD液晶ディスプレイを1画面搭載した同社の「ZENBOOK Prime UX21A」(UX21A-K1256)は、本体サイズが299(幅)×196.8(奥行き)×3~17.5(高さ)ミリ、重量が約1.1キロなので、これと比べた場合、幅が7.6ミリ、奥行きが2.5ミリ増え、重量は約150グラム重いが、厚さは0.1ミリ薄くなっている。2画面でこの薄さと軽さだ。

 外観は全体に丸みを帯びたフォルムのZENBOOK Prime UX21(UX21A-K1256)に対し、TAICHI21の天面はフラットでエッジもシャープにカットされているため、精悍(せいかん)で洗練された印象を受ける。アルミニウム製ベースボディの底面もすっきりとしたデザインだ。なお、天面は通常のUltrabookよりやや厚みがあるものの(実測で約7ミリ)、画面が表示されていないときは光沢ブラックの天面として特に違和感がない。

開いた状態では2画面の搭載を感じさせないスリムなUltrabookという印象だ(写真=左)。内側画面だけを表示しているときは、外側画面にはASUSのロゴが小さく点灯し、見た目は光沢ブラックの天面を採用したノートPCそのもの(写真=中央)。トップカバーを閉じるとともに、天面のASUSロゴが消灯し、Windowsボタンのロゴが浮かび上がり、外側画面に映像が表示される(写真=右)。液晶ディスプレイ部はメタルフレームと側面のダイヤモンドカットにより、剛性の確保と見た目の美しさに配慮している

 

 内蔵バッテリーは着脱できないタイプで、バッテリー容量はCPUID HWMonitorの表示で約37ワットアワー、公称での駆動時間は約5.2時間をうたう。これもZENBOOK Prime UX21(UX21A-K1256)の値(約5.1時間)とほとんど変わらない。

 ACアダプタもやはりZENBOOKシリーズと同じもので、実測での突起物を除くサイズが60(幅)×60(奥行き)×28.5(高さ)ミリ、重量が約183グラムと小型軽量だ。個人的な要望をいえば、もう少し形状がスリムなほうが扱いやすいと思うが、最近のモバイルノートPC/Ultrabookとしては十分小さく、重さも最軽量の部類に入る。

CPUID Hardware Monitorの表示(画面=左)。内蔵バッテリーのDesigned Capacityは36852ミリワットアワーとなっている。底面はZENBOOKシリーズと同様のシンプルなデザインで、バッテリーやメモリモジュールを着脱するためのカバーなどは一切ない(写真=中央)。ACアダプタはコンパクトでACプラグを折り畳めることから、持ち運びに苦労しない(写真=右)

2画面はIPS方式の11.6型フルHD液晶と豪華仕様

 液晶ディスプレイはTAICHI21における最大の特徴だ。液晶ディスプレイのサイズは11.6型ワイド、表示解像度は1920×1080ドット(フルHD)に対応する広視野角のIPSパネルを、トップカバーの内と外、両面に内蔵している。

 2画面の液晶ディスプレイは、ノートPCとして利用する内側が半光沢に近いノングレア仕上げでタッチパネル非搭載、タブレットとして利用する外側が光沢のグレア仕上げでタッチパネル搭載となっており、内と外で表面処理とタッチ対応が異なる。

ノートPCとして利用する内側画面は、半光沢に近いノングレア仕上げでタッチパネル非搭載だ(写真=左)。タブレットとして利用する外側画面は、光沢のグレア仕上げでタッチパネル搭載となっている(写真=右)

 グレア仕上げの外側画面は、写真や映像などを鮮やかに表示できるが、ユーザーの姿などが映り込みやすく、また外光をダイレクトに反射するため、設置場所によっては視認性が低下し、目にも負担がかかりやすい。ノングレア仕上げの内側画面は反対に、鮮やかさでは劣るものの、光を拡散するため、外光が映り込みにくく、目にかかる負担も比較的小さくて済む。

 用途には個人差があるだろうが、カジュアルにタブレットとして楽しむ場合はグレア仕上げ、ノートPCとして画面に集中して向き合う場合はノングレア仕上げ、という使い分けは理にかなっている。

ノングレア仕上げの内側画面(写真=左)とグレア仕上げの外側画面(写真=中央)にLEDランプの光を反射させてみた様子。ノングレアの内側画面は外光の映り込みが抑えられている。内側画面のチルト角度は140度程度まで開く(写真=右)

画面サイズが11.6型ワイドのため、1920×1080ドットを96dpi(dpi設定「小-100%」)で使うと文字などが小さすぎることから、デフォルトでdpiの設定は「中-125%」となっている。「小-100%」よりは作業領域が狭いが、これでも1366×768ドットの「小-100%」に対して約1.58倍の作業領域が確保できる

 11.6型ワイドの画面サイズで1920×1080ドット(フルHD)という高画素密度の表示に対応している点も目を引く。画素密度は約190ppiであり、「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」(13型モデルで約227ppi)にこそ及ばないものの、画素密度の低い標準的な液晶ディスプレイとの違いは見てすぐに分かる。

 Ultrabookに多い138ppi(13.3型/1600×900ドット)や118ppi(13.3型/1366×768ドット)の液晶ディスプレイとは並べて比べるまでもなく、明らかに精細で、写真や映像、アイコンやテキスト、いずれも美しいと感じる表示だ。なお、高画素密度のメリットについてはZENBOOK Prime UX21(UX21A-K1256)のレビューでも詳しく述べているのでそちらも参照していただきたい。

 液晶ディスプレイ自体の表示品質も良好だ。表面仕上げの違いはあるが、内も外も輝度が高く、IPS方式ならではの視野角の広さも実感できる。特にタブレットとして使う場合、横位置でも縦位置でも色味やコントラストが変わらないので扱いやすい。目視の印象ではあるが、色味も正常に近い表示だ。

 トップカバー外側の液晶ディスプレイは、静電容量式の10点マルチタッチに対応するセンサーを内蔵したタッチパネルとなっており、256段階の筆圧検知が利用できる電磁誘導式スタイラスペンも付属する。タッチ操作の使用感は、指の滑り、精度とも、特筆するほどではないものの、良好といえる水準だ。

指でのマルチタッチ操作に加えて、256段階の筆圧検知が可能なペン入力機能にも対応。筆圧検知に対応したペイントアプリ「Fresh Paint」(写真=左)や、手書き、テキスト、画像を組み合わせたメモを作成できるアプリ「SuperNote」を備える。付属の電磁誘導式ペンはN-Trig製のものを採用し、単6形電池で駆動する仕様だ(写真=中央/右)。筆圧検知に対応したアプリは限られる。本体にペンの収納部はないが、付属のキャリングケースにペンのポケットがある

ノートPCを閉じたらタブレットが現れる新体験

 2画面の表示方法については、以下の4種類の方法が用意されている。

  •     「ノートパソコンモード」――内側画面のみ表示し、通常のノートPCとして利用
  •     「タブレットモード」――外側画面のみ表示し、タブレットとして利用
  •     「ミラーモード」――2画面に同じ画面をミラー表示
  •     「デュアルスクリーンモード」――2画面に異なる画面を拡張表示

 トップカバーを開いた状態ではノートパソコンモードで、閉じるとタブレットモードへと移行する仕様だ。液晶ディスプレイの開閉という既存のノートPCで自然に行っていた動作だけで、変形なしにモードチェンジが行なえる。

 また、外側に画面を表示させないことも可能で、本体左側面の画面ロックスイッチをオンにしておけば、通常のノートPCと同様に、トップカバーを閉じてもタブレットモードへは移行せず、そのままスリープ状態となる。

 4つのモードをワンタッチで手軽に切り替えられる仕組みもある。キーボード右上のF12キー右隣に用意されている「TAICHIキー」を押すと、専用ユーティリティの「TAICHI Home」が起動し、4つのモードを選択することが可能だ。TAICHI Homeでは、モード切り替えのほか、PCの設定状態を表示するとともに、省電力、オーディオ、画面などTAICHI21を使いこなすためのツールや設定にアクセスできるようになっている。

F12キーの右隣には表示方法を切り替える「TAICHIキー」が配置されている(写真=左)。「TAICHI Home」ユーティリティではモード切り替えのほか、各種設定にアクセスできる(画面=中央)。プライバシーセッティングを「オン」にすると、画面の切り替え時にログオン画面が表示されるようになる。ミラーモードやデュアルスクリーンモードでは、このように液晶ディスプレイを立てて、対面で同じ映像や違う映像を2画面に表示することが可能だ(写真=右)

オーディオは数種類のプリセットが用意されており、選ぶだけで適切な設定が適用される(画面=左)。画面の使い方、切り替え方をアニメーションで解説してくれるチュートリアル「ASUS Tutor」(画面=中央)。ASUSおなじみの電力管理ツール「Power4Gear Hybrid」も用意(画面=右)。デフォルトではAC駆動時に「Performance mode」で、バッテリー駆動時に「Battery Saving mode」へ移行する

 TAICHI Homeからアクセスできるツールの中でも有効なのが、「Screen Share」というユーティリティ。これを使えば、デュアルスクリーンモード時の外側画面に写真や動画をスライドショー表示できるという優れものだ。

 営業用のプレゼンに使えばインパクト抜群だし、公私問わず、見せびらかせるノートPCとしては現時点で最強ではないだろうか。トップカバーの開閉による切り替えギミックと合わせて披露すれば、(まだ周囲に入手した人がいなければ)TAICHI21のまわりに人が集まってくること請け合いだ。対面した相手や周囲の人々の注意を引きつけるためのツールとして、さまざまな応用が考えられる。

デュアルスクリーンモードでのスクリーンキャプチャを見ると、Windows上では左に内側画面(メイン画面)、右に外側画面(拡張画面)を配置したデュアルディスプレイ構成になっていることが分かる。「Screen Share」ツールを使えば、デュアルスクリーンモードでの拡張画面側に写真をスライドショー表示したり、動画を再生させることが可能。プレゼン用途や見せびらかしに大活躍しそうだ

 

Windows 8標準の設定メニューからも画面表示の切り替えは可能だが、通常はTAICHIキーとTAICHI Homeで切り替えるほうが使いやすいだろう

 このように2画面の利用法は実によく考えられているが、使い勝手に関して気になった部分もいくつかある。特にTAICHI21を使い始めて間もないころは、ノートパソコンモードでも内側画面をタッチ操作したくなり(できるものと勘違いし)、思わず画面に触れてしまうことも少なくないだろう。

 また、普段からタブレットの操作に慣れていると、タブレットモードから使うことをやめるとき、電源スイッチに手を触れるのにも少し抵抗がある。電源スイッチはノートPCと兼用だけに、スライド式のしっかりしたもので、タブレットモードのカジュアルな操作感に水を差す印象だ。

 デュアルスクリーンモードでは、何かの拍子にマウスカーソルが拡張画面側に移動してしまうこともあるだろう。これに気付かないと、メイン画面側でまったく操作を受け付けられないと勘違いしてしまいがちだ。

 これはデュアルディスプレイ環境では当然のことだが、TAICHI21では画面が内と外に分かれていて同時に見られないため、状況を把握しにくい面もある。TAICHI21はデュアルディスプレイ環境をあまり意識せず、2画面を使い分けられるだけに、はじめてのユーザーは戸惑うかもしれない。

Ultrabookとしても上位の基本スペック

TAICHI21の内部構造。バッテリーの面積が大きく、基板類を奥に集めたUltrabookではよく見られる設計だ。CPUの熱はヒートパイプでつながれたファンで冷却される。ボトムカバーを外すには、底面に露出しているネジと、底面の奥にある2つの丸いゴム足をはがすと現われる隠しネジ2本(いずれもヘックスローブ)を外す必要がある

 基本システムは多くのUltrabookと同様、超低電圧版Ivy Bridge/ChiefRiver(いずれも開発コード名)のプラットフォームを採用しているが、スペックの内容はUltrabookとしては上位クラスだ。

 CPUはCore i7-3517Uを採用。動作クロックは1.8GHz、Turbo Boost 2.0により、高負荷時は最大3.0GHzで動作する。TDP(熱設計電力)は17ワットと低い。グラフィックス機能はCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000を用いる。

 チップセットはIntel QS77 Expressだ。メモリはPC3-12800 SDRAMを4Gバイト搭載している。Ultrabookではメモリがシングルチャンネルアクセスの製品も多いが、デュアルチャンネルアクセスによりメモリアクセスを高速化しており、抜かりがない。

 データストレージは、Serial ATA 6Gbps対応のSSDを採用しており、容量は約256Gバイトだ。今回試用した評価機のデバイスマネージャで確認してみると、「SanDisk SD5SE2256G1002E」と表示されていた。

CPU-Zで見たTAICHI 21の情報。CPUには超低電圧版のCore i7-3517Uを採用する(画面=左/中央)。デュアルコアでHyper-Threadingに対応しており、4スレッドの同時実行が可能だ。定格クロックは1.9GHz、Turbo Boost 2.0により、高負荷時は最大3.0GHzで動作する。メモリはDDR3-1600 SDRAMを採用しており、容量は4Gバイトを確保(画面=右)。デュアルチャンネルアクセスに対応しており、メモリ帯域は25.6Gバイト/秒と高速だ

タブレットモードは縦位置での利用も可能だ

 タブレットモードでの活用を考慮し、本体には電子コンパス、加速度センサー、ジャイロスコープといったセンサーも内蔵する。トップカバーを閉じたタブレットモードで本体を縦位置にすれば、表示の向きが縦方向に自動で切り替わる仕組みだ。

 通信機能は、IEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANと、Bluetooth 4.0を標準装備(Intel Centrino Advanced-N6235)している。有線LANは本体には内蔵していないが、USB接続の有線LANアダプタ(100BASE-TX対応)が付属している。

 本体装備の端子類は、2基のUSB 3.0のほか、Micro HDMI出力、mini VGA出力、マイク/ヘッドフォン共用端子を装備。Webカメラは内と外の両側に装備しており、内側が93万画素、外側が500万画素となっている。そのほか、本体側面には電源ボタンのほか、音量調整ボタン、画面ロックスイッチなどが用意されている。プリインストールOSは64ビット版Windows 8だ。

前面(写真=左)と背面(写真=右)にインタフェース類は用意されていない

 

左側面に画面ロックスイッチ、音量調整ボタン、mini VGA出力、USB 3.0、マイク/ヘッドフォン共用端子を装備(写真=左)。右側面には電源スイッチ、Micro HDMI出力、USB 3.0、ACアダプタ接続用のDC入力を搭載する(写真=右)。本体の厚さは17.4ミリ、液晶ディスプレイ部の厚さは実測で約7ミリと、2画面を感じさせない薄さだ

左側面のmini VGA出力端子に接続するD-Sub(アナログRGB)変換アダプタと、USBポートに接続する有線LAN(100BASE-TX)アダプタが付属する(写真=左)。ZENBOOKシリーズと同様、本体用と変換アダプタ用のキャリングケースが付属する(写真=中央)。本体用のキャリングケースにはペンを収納するスロットもある(写真=右)

TAICHI21のデバイスマネージャ画面。「汎用 PnP モニター」として2つのディスプレイが登録されているのが分かる。256GバイトSSDは「SanDisk SD5SE2256G1002E」とある

Windows 8に最適化したタッチパッドも装備

 キーボードはキートップのみを露出させたアイソレーションタイプで、標準的な6列仕様だ。キーボードには暗所での視認性を高めるバックライトも内蔵しており、Fnキー+F3キー/F4キーで輝度を調整できる。

 主要キーのキーピッチは約19ミリ×16.5ミリで、縦が少し窮屈に感じるが、慣れで対応できるレベルではある。日本語87キーの配列も特にクセはないが、カーソルキーが実測で約8.5×7.5ミリと小さいため、カーソルキーを多用するユーザーは慣れるまでは打ちにくさを感じるかもしれない。

 キーボードのスイッチの感触はまずまず良好だ。また、あえて強めにタイプすると若干たわみを感じたが、気になるほどではない。

日本語87キーのアイソレーションキーボードを採用(写真=左)。F12キーの右隣にTAICHIキーを搭載する以外は自然なレイアウトだ。暗所で操作しやすいように、キーボードバックライトも備えている(写真=右)

 キーボードの手前にあるタッチパッドは、左右のクリックボタンが一体化したデザインを採用する。パッドの左下/右下を押すとパッド全体が沈んでクリックボタンの役割を果たす、いわゆるクリックパッドだ。センサー領域のサイズは105(横)×63(縦)ミリと十分に広い。指の滑りは標準的といったところだ。

 タッチパッドには「ASUS Smart Gesture」ユーティリティが導入されており、2本指での上下/左右スクロールや回転などのほか、Windows 8のチャーム表示/非表示や、Windows 8ストアアプリの切り替えといったジェスチャー機能も利用できる。

タッチパッドには、ASUSオリジナルのドライバが導入されている。使える機能は「ASUS Smart Gesture」ユーティリティで確認できる。パッド右端から内側へのスワイプでチャームの表示、左端から内側へのスワイプでアプリの表示切り替えなど、Windows 8のタッチ操作と対応した機能も備えている

Ultrabookトップクラスの性能をベンチマークテストで実証

 ベンチマークテストの結果を見てみよう。Ultrabookとして上位の基本スペックを持つだけにパフォーマンスも上々だ。参考までに、ほぼ同等のハードウェアスペックを備えたWindows 7搭載Ultrabookの「ZENBOOK Prime UX21」(UX21A-K1256)と、CPUにCore i5-3317Uを採用するWindows 8搭載Ultrabook「dynabook R822」(試作機)のスコアも併記した。

 まずパフォーマンスの鍵を握るSSDの性能をCrystalDiskMarkで確認してみた。シーケンシャル/ランダム、リード/ライトともバランスのとれたスコアで、ZENBOOK Prime UX21(UX21A-K1256)の搭載SSD(ADATA XM11)を上回り、Ultrabookに採用されるSSDとしてはトップクラスの性能を持つことが分かる。

 Windowsエクスペリエンスインデックスでもプライマリハードディスクのサブスコアは8.1と上々のスコアだ。全体的にも大きな弱点がなく、Windows 8を快適に使えるパフォーマンスを示している。

CrystalDiskMark 3.0.1cのスコア(グラフ=左)。Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア(グラフ=右)

 また、PCMark 7、3DMark Vantage、3DMark06、そのほかのゲームベースのテスト、すべてのスコアで良好な結果だ。dynabook R822に比べて、特に3D系テストでは差を広げたが、これはCPUクロックが高いことに加えて、メモリがデュアルチャンネルアクセスに対応していることが大きいと思われる。ZENBOOK Prime UX21(UX21A-K1256)とはOSが異なるので単純な比較はできないが、SSD性能の優位もあって、総合スコアではすべて上回る。

PCMark 7のスコア(グラフ=左)。3DMark Vantage 1.2.0のスコア(グラフ=中央)。3DMark06 1.2.0(1024×768)のスコア(グラフ=右)

ストリートファイターIVベンチマークのスコア(グラフ=左)。MHFベンチマーク【絆】のスコア(グラフ=右)

バッテリー駆動時間の実測値、動作時の騒音と発熱は?

 バッテリー駆動時間はBBench 1.01(海人氏・作)を利用して測定した。1画面表示のノートパソコンモードでテストしている。無線LANでネットに常時接続し、BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」および「10秒間隔でのキーストローク」とした。WebブラウザはInternet Explorer 10(64ビット)を指定し、タブブラウズはオフに設定、Bluetoothはオフ、キーボードバックライトの輝度は最小としている。

 電源プランはデフォルトではASUS独自の「PowerSaving」が使われるが、試作機のためか、性能重視の設定となっていたため、OS標準の「バランス」設定を利用し、ディスプレイの輝度は30%に固定した。液晶ディスプレイの輝度が高いため、30%の設定でも一般的なUltrabookの40%設定より明るいほどだ。

 この条件で満充電からバッテリー残量が5%になり休止状態へ移行するまでの時間は4時間28分だった。公称の5.2時間よりは短かったが、まずまずの駆動時間といえる。今回は1画面表示でテストを行ったが、2画面表示では消費電力が高くなるため、バッテリー駆動時間も短くなることを覚えておきたい。

 動作音については、平常時は静粛で、高負荷時もうるさいというほどの音はしない。発熱は底面の奥が中心だ。ピンポイントでは45度(室温22度)とそれなりに高くなるが、全体としてはさほど熱くならず、ノートパソコンモードで手が多く触れるパームレスト部分までは熱が伝わってこない。

 なお、タブレットモードでWebページやWeb動画を見る程度であれば、最も発熱する部分でも37度前後にまでしかならなかった。

暗騒音32デシベル/室22度の環境において、本体手前5センチに騒音計を設置し、動作音を測定した結果(グラフ=左)。室温22度の環境において、3DMark Vantageを実行した直後のボディ表面温度を放射温度計で測定した結果(グラフ=右)

2画面Ultrabookは、まるで未来を先取りしたような新しさ

 このようにTAICHI21は、単に2画面を思いつきで載せたコンセプトモデル的な製品ではなく、デザインや携帯性、ユーザー体験までしっかり練られており、Windows 8世代のハイブリッド型モバイルノートPCとして実用性は高いレベルにある。

 2画面表示のアピールも心憎い。ノートパソコンモードからタブレットモードへ移行する際には、トップカバーを閉じる操作の途中で内側の画面が自動で消灯するとともに、外側画面ではASUSのロゴが消灯し、代わりにWindowsロゴがすぅっと浮かび上がり、その後に映像がパッと表示される。

 この一連の操作のエクスペリエンスは実に新鮮だ。ちょっとした未来を感じる瞬間といっても過言ではないだろう。

 画素密度が高いIPS方式の11.6型フルHD液晶ディスプレイゆえの美しい表示もまた、その体験に奥行きを与えている。この強力な2つのディスプレイ構成によって、さまざまなユーザーを魅了することは疑いがないところだ。

 ハードウェアを提供するだけでなく、2画面のシームレスな連携を実現し、2画面を活用するための「Screen Share」ツールを標準で用意している点も見逃せない。2画面の活用法を考えるのも実に楽しく、クリエイティビティに訴える魅力も備えている。パフォーマンス、ボディのデザインや付属品も含めた演出も文句がない。

 これで実売価格は13万9800円前後というのだから驚きだ。一足先にちょっと未来を体感する対価として、決して高いということはないだろう。

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