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“EDGEST”をシャープの記号に――「AQUOS ZETA SH-04F」「AQUOS PAD SH-06F」で目指したもの

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/23 ITMedia
“EDGEST”をシャープの記号に――「AQUOS ZETA SH-04F」「AQUOS PAD SH-06F」で目指したもの © ITMedia 提供 「AQUOS ZETA SH-04F」

 シャープはドコモ向けの2014年夏モデルとして、スマートフォンのフラッグシップ機「AQUOS ZETA SH-04F」、7インチタブレット「AQUOS PAD SH-06F」、フィーチャーフォンの「SH-07F」、さらに「Disney Mobile on docomo SH-05F」を投入する。今回、AQUOS ZETAを中心に、ラインアップ全体と各機種のコンセプト、デザインについて開発陣に話を聞いた。

●「EDGEST」でブランドイメージの向上を狙う

 今夏のドコモ向けシャープ端末4機種のうち、スマートフォンのAQUOS ZETAと7インチタブレットAQUOS PADの2機種が、3辺狭額縁の「EDGEST」スタイルを採用している。通信システム事業本部 グローバル商品企画センター 第一商品企画部部長の高木氏は、「スクリーンの中から外、外から中への働きかけによって、ユーザーに新しい体験をしてもらうことがEDGESTの世界観です。枠を広げるだけではなく、可能性を広げるという意味もあります」とEDGESTの世界観を説明する。また、店頭に板状のスマートフォンが並ぶ中、ひと目みて分かる違いや新しさが必要だとし、「3辺狭額縁をシャープの記号として押し出し、ブランドイメージの向上を狙います」(高木氏)と語った。

 なお、スマートフォンのブランドがAQUOS PHONEから、液晶テレビなどと同じ「AQUOS」に統一されたことについては、「PHONEの枠からはみだして、スクリーンを通じてユーザーさんに新しい体験をしていただいていこうという思い」を表しているという。

●「AQUOS ZETA SH-04F」の3つのポイント

 フラッグシップモデル「AQUOS ZETA SH-04F」では「ディスプレイ、カメラ、グリップマジックの3つが重要です」と、パーソナル通信第一事業部 商品企画部の三枝氏は言う。

 ディスプレイは、ドコモの2014年夏スマホでは最大の5.4型で、省電力に優れるIGZO液晶を採用。改良したバックライト「PureLED」を新たに搭載し、鮮やかさが増した。特に赤色が一段と鮮やかになり、旧モデルと並べると違いがはっきり分かる。IGZO液晶は若干白っぽく見えるという意見があるが、今回はLEDバックライトを改良して対処した。

 「IGZOは省電力をアピールしてきましたが、鮮やかさも追求し、もっと色味を出したいと思っていました。今回、黄色の蛍光体をばらし、赤と緑の独立の蛍光体を使うことで三原色をきちんと正確に出すことができるようになり、赤を中心に色味が強くなりました。これは動画も静止画にも対応します」(三枝氏)

 もちろんIGZOは省電力が魅力。ドコモが測定した実使用時間は約98.9時間だが、SH-04Fでは約101.7時間に向上し、3日……いや4日以上持つ計算だ。また、静止画だけでなく、動画もピンチイン/ピンチアウトが可能になっている。

 カメラでは、人も夜景もきれいに撮れる「NightCatch II」や「リアルタイムHDR」を搭載し、失敗しないカメラを目指した。

 「背景がきれいに撮れるNightCatchが、人物を入れ込んだフラッシュ撮影でもきれいに撮れるようになりました。人物はフラッシュをたいて、背景はフラッシュオフで撮影した画像を合成して、夜景の背景と人物の両方をきれいに撮れます」(三枝氏)

 逆光時の撮影で便利なHDRは、1回の撮影で処理できるリアルタイムHDRに進化。通常、HDRは2枚の写真を撮って合成しているが、リアルタイムHDRでは1枚の中で露出を変えていて撮ることができるようになっている。これによって連写も可能になった。

 「今までは2枚の合成だったので、動いている被写体だと合成ブレがあったのですが、今回は1枚の写真の中で差を見てHDR処理をしているのでズレません。シャッターの長押しで連写もできます」(三枝氏)

 また今回、新たな試みとして、被写体に応じて適切な構図をアドバイスする「フレーミングアドバイザー」を導入した。特に料理と人物についてはオートでガイドが表示され、それに合わせればいいようになっている。

 「一般的にですが、料理は皿が画面から切れるくらい近づいた方がおいしそうに見えるので、そのような構図の提案になっています」(三枝氏)

 オートだけでなく、四角い皿に盛られた料理や、定食など複数の料理を撮る際に適したマニュアルモードも用意。「共感を得られるような写真を撮って、会話が深まるといいなという思い」があって搭載したという。写真はSNSに投稿することも多く、コミュニケーションのきっかけになる。投稿する写真に期待通りの反応が得られていないなら、参考にするといいかもしれない。

 SH-04Fには、EDGESTスタイルを意識したカメラ機能もいくつか搭載された。360度のパノラマ写真が撮れる「全天球撮影(Photo Sphere)」はGoogleのカメラアプリだが、標準の「SHカメラ」のメニューから起動でき、「アルバム」アプリで見られる。

 「全天球撮影はEDGESTの世界観にマッチするということで、Googleさんと協議して、SHカメラからの導線を入れさせてもらいました。まるで、その場にいてファインダーから風景を見ているような感覚で見ていただけます」(三枝氏)

 ソフトバンク向け2013年冬モデルの「AQUOS PHONE Xx 302SH」に搭載された「翻訳ファインダー」と、新しい検索アプリ「検索ファインダー」もEDGESTらしい機能としてSH-04Fに搭載された。

 「検索ファインダーは、撮った文字、かざした文字を指でなぞると、OCRで文字を認識して検索し、検索結果がAR(拡張現実)でに見られるというものです。画面を文字から外すと結果は消えますが、ファインダー画面右上のアイコンをタップするとまた表示されて、検索候補にタッチするとWebサイトにジャンプします」(三枝氏)

 SHカメラアプリから「SH SHOW」にアクセスし、カメラ活用アプリをプラグインという形で追加できるのも特徴の1つだ。画質や機能に加え、「楽しむ機能、面白系にチャレンジしているところもアピールしたい」という。

●「グリップマジック」が進化

 SH-05Fの3つ目のポイントが「グリップマジック」だ。グリップマジックは2013年冬モデルの「AQUOS PHONE ZETA SH-01F」から搭載された機能で、端末を持つと画面が点灯し、電話がかかってきたときに持つと着信音が小さくなるといった機能があったが、今回は端末を離したときに働く機能も搭載された。

 持ったときのアクションでは、通知があるときにバイブで知らせる「バイブお知らせ」が追加された。ポケットに入れたままでも、グリップセンサーに触れると着信や未読メールがある場合に振動で分かる。また、電話の着信時に、端末を持つまで名前を非表示にする「着信時簡易シークレット」も搭載。端末を机の上に置いているときには名前が表示されず、持って初めて分かる。さらに、音楽などのメディアを利用していて、机に置いたときに音量が自動的に設定した音まで上がるといいう「メディア視聴中音量アップ」も利用できる。

 「前回は、端末を持ったことをきっかけにする動作を訴求していましたが、今回は離すということも検知している点が新しい部分です。グリップセンサーを使ったUIは、ユーザー調査をした結果、さまざまなアイデアが出てきました。さまざまなアクションを便利に使っていただけるのではと思って進化させました」(三枝氏)

 ユーザーからの意見をもとに、細かなところも調整されている。例えば、前モデルでは、電源キーを押して画面を消灯させても、端末を持ち替えるとまた点灯してしまうことがあった。今回は持ち替えても画面が点灯しない。

 「電源キーを押した後、2秒間程度はセンサーに触れても画面は点灯しません。その間はグリップセンサーを無効にしています。例えば、端末を持ち替えてポケットに入れるような操作をしても画面がつきません」(三枝氏)

●片手操作をアシストする「ワンハンドアシスト」

 大画面は映像を見るときにはいいのだが、画面操作は指が届きにくいところがある。それに対処するために、画面表示を縮小して左右に寄せ、ストレスなく操作できるようにした機能が「ワンハンドアシスト」だ。

 ロック解除画面やテレビ画面を除く画面で設定でき、ワンハンドアシストを利用すると、画面サイズは4インチ程度に固定される。ディスプレイを消灯するとワンハンドアシストは解除されるが、「電車で手がふさがっているときとか、ちょっとしたときに使ってもらいたい機能」(三枝氏)だ。

 また、通知パネルでWi-Fiやマナーモードなどの機能をオン/オフできるボタンは、これまで並び替えができるだけだったが、今回からは追加や削除もできるようになった。初心者にも使いやすくシンプルメニュにも対応。表示される機能が必要最低限に絞られ、分かりやすくなる。

 「文字入力や画面スクロールのチューニングも従来から継続しています。5.4インチと大画面で、大画面を求める方にはもちろん買っていただきたいですが、大画面はちょっと、と思っている方にも、ワンハンドアシストやグリップマジックを活用すると快適に使えます。映像を見るときは大画面をそのまま、でも操作しやすいという形をアピールしたいと思っています」(三枝氏)

●好評のAQUOS PADが正統進化

 7型タブレット「AQUOS PAD SH-06F」は、2013年夏モデルとして発売された「AQUOS PAD SH-08E」に続く、シャープのドコモ向けタブレットの第2弾。通信システム事業本部 グローバル商品企画センター 第一商品企画部 主事 西郷光輝氏は「SH-08Eは非常に好評いただいています。1号機を作り上げるよりも、2号機として続けていくことの大変さを感じました」と開発時の状況を振り返る。開発にあたっては、SH-08Eを購入したユーザーや販売スタッフの話を聞くことから始めたという。

 「話をうかがうと、1号機で評価されたのはサイズと、当時は珍しい存在だったフルセグでした。それであれば、正統進化版ということで、評価してもらったところをさらに伸ばしていこうというのが、SH-06Fのコンセプトです」(西郷氏)

 1号機はビジネスマンをターゲットとして開発したが、販売の現場ではシニアがフィーチャーフォンと2台持ちするという需要が多かったという。SH-06Fでは、そういった使われ方も意識したという。

●コンパクトなボディに充実機能を搭載、通話も可能

 そのSH-06Fの特徴は3ポイント。1つはサイズ感。2つ目がビジネスからエンターテインメントまで使える充実の機能。3つ目がレシーバーの内蔵だ。「SH-06Fは、これ1台で通話ができます。1号機も通話機能はありましたが、今回は持って耳に当てて通話できます」(西郷氏)

 前モデルとサイズを比較すると、横幅は107ミリから106ミリへと1ミリ細くなっただけだ。しかし、EDGEST効果で高さは190ミリから174ミリへ大幅に小型化。また、特にこだわったという厚さは9.9ミリから8.4ミリに。EDGESTのデザインテイストに合わせたサイズ感の見直しなど、もろもろの効果で重さも288グラムから233グラム(測定中)へと軽量化された。au春モデルの「AQUOS PAD SHT22」と見た目のサイズは近いが、厚さや重さに大きな差がある(SHT22は厚さ9.9ミリ、重さ263グラム)。SH-06Fは「LTE対応の7型タブレットで世界最軽量」と訴求するという。

 「手に取っていただければ、絶対に体感していただける軽さです。そして画面を表示させると誰もが分かる大画面。触っていただくのが一番という製品に仕上がったと思っています。EDGEST効果や薄型化によるグリップのしやすさは特にポイントです」(西郷氏)

 機能面で注目したいのがフルセグだ。今回はデータ放送に対応しており、さまざまなニュースや番組情報を確認できるほか、画面にリモコンを表示させて番組内のアンケートやクイズに参加することもできる。また、メインターゲットであるビジネスマン向けの機能として、WordやExcelといったビジネスドキュメントを扱えるアプリは編集可能なものを用意した。従来の手書きメモ機能も継続して訴求していく。そして、狭額縁ながら上部にレシーバーを備え、スマートフォンのように電話ができる。

 「タブレットを耳に当てて通話する人は少ないだろうと思って1号機は対応しなかったのですが、いざ電話がかかってきたときに、スピーカーフォンで周りに聞こえてしまうのが困るし、イヤフォンを挿すのも手間。かかってきたらすぐ出たいという要望をいただいたので今回はレシーバーを搭載しました。EDGESTの世界観を損なわないように、かなり苦労してレシーバーを配置しています。しかもVoLTE対応です」(西郷氏)

 ドコモがこの夏からVoLTEの提供を開始するため、レシーバーもVoLTE対応のものになった。しかし、このVoLTEレシーバーは従来のものより大きく、EDGESTスタイルを採用しているAQUOS ZETA SH-04Fともども、搭載するのに苦労したという。

 サイズやビジネスシーンで利用できる充実機能を訴求するため、システム手帳でよく知られるアシュフォードとコラボレーションし、AQUOS PADを入れられる手帳も開発中だそうだ。秋ごろに発売できるように進めているという。

 「自分の考えを書いて整理するアナログと、記憶媒体としてのデジタルの2つを融合して新たな出会いができないかという思いがあって、進めているところです」(西郷氏)

●シャープのデザインを象徴する「EDGEST」

 今夏のシャープ製端末のデザインについては、通信システム事業本部 デザインセンター 副参事の水野理史氏が説明。まず、大きなコンセプトとして「Premium Surface(プレミアムサーフェス)」というコンセプトがあるという。今までのシャープ端末よりワンランク上の上質感を狙ってのことだ。

 「普通のスマートフォンは、リアカバーが成型品で、塗装していますが、あまり高級なものに見えません。ワンランク上の上質感を表現するため、なるべく塗装物を使わないデザインができないかと考えました。表面に素材の質感そのものを採用することによって上質になるという意味で、“プレミアムサーフェス”というキーワードを使っています」(水野氏)

 もう1つの大きな要素が、EDGESTの複数端末への展開だ。各端末にEDGESTスタイルを採用することで「シャープのデザイン全体の記号を作っていく」(水野氏)という狙いがある。

 「これまでのシャープは出る機種ごとに全然違うデザインをしていて、シャープはどんなデザインをしているメーカーなのか、ということが記憶に残らない。パッと見てシャープだと分からない。例えば車メーカーは、トヨタならトヨタ、BMWならBMWと一目見て分かります。そういうものを作ることによって、EDGESTのブランディングを確立させたいという狙いがあります」(水野氏)

 そこで今回、ドコモ端末のAQUOS ZETAとAQUOS PADで採用されたデザインが、上下左右対称型で六角形の断面を持つ「ヘキサグリップシェイプ」だ。

 「手に取って触れただけで、これがシャープの形なんだということがすぐ分かるような強い記号を持ち、なおかつ持ちやすい形状はどういうものかと考えて、行き着いたのがこの六角形の形状です」(水野氏)

 背面の縁がカットされているので、ラウンド形状のような持ちやすさを感じ、机に置くと隙間ができるので持ち上げやすい。また、側面の角度が取っ掛かりとなるので、しっかりホールドできる理にかなった形状だ。

 側面をぐるっと囲むメタリックなラインもこだわった部分だという。AQUOS ZETAの場合は一部がグリップセンサーになっていて「機能をデザインした」かたちになっている。

 「前機種はどこにグリップセンサーがあるのか分からず、ユーザーさんに伝わりにくかったと思います。見たときに、何か機能的なものがあるんじゃないかと思ってもらえるようなデザインを目指しました」(水野氏)

 実際に、AQUOS ZETAを手に取ると、自然と側面のライン部分に指を当てて持つかたちになり、グリップセンサーがしっかり反応する。機能をデザインするという狙いから、開発段階ではグリップセンサー以外の部分をアンテナにすることも考えていたが、「なかなか特性が取れないという課題があって見送った」(水野氏)そうだ。

 なお、AQUOS ZETAの場合は、背面が側面の色ごとに処理が異なっている。Whiteはシボ、Blackは光沢、Orangeはその色を際立たせるために黒くしている。

 「Orangeで象徴されますが、あえて裏には色を付けず、シンメトリーという形状を強調しました。それによってヘキサグリップシェイプや狭額縁も強調されています」(水野氏)

●持ちやすく長く使えるフィーチャーフォン

 Android端末以外に、今夏のシャープはドコモ向けのフィーチャーフォン「SH-07F」も提供する。企画を担当した通信システム事業本部 グローバル商品企画センター 第一商品企画部 林里奈氏は「持ちやすく、年配から小学生まで、持っていても恥ずかしくない端末です」と魅力をアピールする。

 「一番の特徴は、3.3型液晶でありながら幅が約49ミリの持ちやすいサイズです。また、表面にアルミパネルを採用したスタイリッシュなデザインもこだわりました」

 販売店によると、フィーチャーフォンは年配だけでなく、小学生くらいの子どもにも購入されているという。「色は小学生にアンケートをして決めました。持っていても恥ずかしくないものだと思っています」(林氏)

 操作性のポイントとなるキーは、文字が大きく色がはっきりした「くっきり操作キー」を採用。凸加減も指にフィットするように調整され、見やすく押しやすいキーになっている。また、ワンセグ、おサイフケータイ、防水防塵など、十分な機能を搭載した。

 デザインは背面のアルミパネルがポイントだ。

 「プレミアムサーフェスというコンセプトに沿って上質感を実現しました。一般的に金属感を出すためには蒸着塗装を使いますが、すぐはげるんですね。フィーチャーフォンを使ってくださる方は最低2年、5年以上使うユーザーも非常に多い。塗装がはげて質感が損なわれないアルミパネルを採用した理由はそこにあります」(水野氏)

 すっかり塗装がはげて、もとが何色か分からないような端末を使っているフィーチャーフォンユーザーは多い。十分な機能を搭載し、長く美しく使えるSH-07Fは貴重なフィーチャーフォン買い替え候補になりそうだ。

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