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「『SAPはERPベンダー』という認識を変えたい」SAP幹部が語る

ザテレビジョン のロゴ ザテレビジョン 2017/06/07
「『SAPはERPベンダー』という認識を変えたい」SAP幹部が語る © KADOKAWA CORPORATION 提供 「『SAPはERPベンダー』という認識を変えたい」SAP幹部が語る

 「『SAPはERPベンダー』という認識を変えたい」と語るのは、SAPでプラットフォーム開発の取り組みを率いるビョルン・ゲルケ(Björn Goerke)氏だ。毎年秋に開催される同社イベント「Tech Ed」では、自らギターを抱えてクイーンの「We Will Rock You」を歌いHANA開発者を盛り上げるなど、“新しいSAP”を語るときには欠かせない人物である。 SAP プロダクト&イノベーションテクノロジー担当EVP 兼 コーポレート責任者のビョルン・ゲルケ(Björn Goerke)氏(SAPPHIRE NOW 2017会場にて) SAP プロダクト&イノベーションテクノロジー担当EVP 兼 コーポレート責任者のビョルン・ゲルケ(Björn Goerke)氏(SAPPHIRE NOW 2017会場にて)  ゲルケ氏がプッシュするPaaS「SAP Cloud Platform」は、SAPがローンチした新しいブランドで重要な位置を持つようになった――新しいブランドとは、5月初めに発表された「SAP Leonardo」のことだ。  今回は、米フロリダ州オーランドで開催されたSAPのプライベートイベント「SAPPHIRE NOW 2017」で、ゲルケ氏にSAP Leonardoブランドの狙い、そしてSAP Cloud Platformの現況について聞いた。 新ブランド「SAP Leonardo」は革新的な取り組みを総称するもの ――今回、新ブランド「SAP Leonardo」が発表されました。既存のツールや技術を集めたものと言えますが、どうして“Leonardo”としてブランド化する必要があったのでしょうか? ゲルケ氏:SAPは「45年前にスタートしたドイツのERPカンパニー」だと思われています。たしかにわれわれはERP製品からスタートしましたが、近年ではビジネス調達ネットワークのAriba、人事のSuccessFactors、ECやマーケティングなどフロントエンドのHybrisといった企業を買収しています。さらに、他方では機械学習やIoTといった、かなり革新的な取り組みも進めています。  ところが“新しいSAP”――つまり“ERP以外のSAP”については認知度が低く、これを高める必要がありました。そこで「Leonardo」というブランドで、SAPの取り組みのうち革新的な部分をまとめることにしました。具体的には、AI(人工知能)、機械学習、ブロックチェーン、アナリティクス、ビックデータ、IoTといったものです。「HANA」をインメモリのブランドとして売り出し、定着させたのと同じように、LeonardoもSAPの新ブランドとして位置づけていきます。 今回のSAPPHIRE NOWで発表された「SAP Leonardo」 今回のSAPPHIRE NOWで発表された「SAP Leonardo」  われわれはこれまで“Run”として顧客がビジネスを運用するのを支援してきました。ここは、われわれが従来から強みとするコアのITプロセスです。一方で、Leonardoは“Win”を実現するものです。どの分野でもデジタルによる変化(デジタルトランスフォーメーション)が起きており、これに勝ち抜くためのツールや技術です。SAPは今後、“Run”と“Win”の両方で顧客を支援していきます。 ――どのITベンダーも「デジタルトランスフォーメーション」を口にするようになりました。早期からそれを提唱してきたSAPは、どのようにデジタルトランスフォーメーションの実現を支援できるのでしょうか? ゲルケ氏:デジタルトランスフォーメーションのためのプロジェクトは、現場から離れたところで仕込んでもうまくいきません。センサーからのデータを集めてデータレークに保存してアナリティクスを用いる――データアナリストならば面白いかもしれませんが、ビジネスと直結させなければトランスフォーメーションとは言えないでしょう。  結局のところ、デジタルトランスフォーメーションとは「顧客体験の改善、新しい顧客体験の創出」と「イノベーションの文化を社内に持つこと」の2つを実現することだと思っています。現在、市場を破壊(disrupt)しているのは、デジタルでスタートしたデジタルネイティブな企業たちです。「Fortune 500」に載る企業の顔ぶれも、これまでになく入れ替わりが激しくなっています。  それでは、われわれの顧客はどうやっているのか? どのような状況にあるのでしょうか?  われわれの顧客の多くはデジタルネイティブではありません。ただし、既存の顧客がおりブランドがあること、ビジネスモデルが確立されていることは、強みになりうるのです。そしてわれわれは、こうしたSAPの顧客がデジタルトランスフォーメーションで戦い、勝つことを支援します。より良い顧客体験を提供し、アジャイルなイノベーションモードを作ることをサポートできるわけです。ガートナーも提唱していますが、従来ビジネスの延長線上にある「予測性のあるモード」と、新しいマインドセットでイノベーションを進める「アジャイルなモード」の2つをしっかり回していく、これがポイントです。  先のセンサーデータの例に戻ると、得られたデータをコアと結びつけることで、どの製品か、サービス担当は誰か、故障が予想できるのであればどのサプライヤーから部品をいつ、いくらで調達できるのかといったことがわかるようになります。あるいは、ソーシャルデータから自社の製品に不満を抱えている人が何にどう不満なのかを知ったり、どう対応すべきかなどを分析できます。  SAPは幅広い製品ポートフォリオを持っています。S/4 HANA、Finance、LogisticsなどのERPがあり、25種類の産業別ソリューションを142カ国で展開しています。LeonardoにはSAP Cloud Platformが含まれ、コア、そしてアジャイルなイノベーションのための機能を結びつけることができます。 「SAP Cloud Platform」がGCPにも対応、マルチクラウド化を進める ――SAP Cloud Platformでのグーグルとの提携も話題となりました。 ゲルケ氏:すでにAmazon Web Services(AWS)、マイクロソフトなどクラウド事業者との関係を構築していますが、グーグルが3月に開催したイベント「Google Cloud NEXT 2017」で、S/4 HANAのGoogle Cloud Platform(GCP)認定、そしてSAP Cloud Platformのサポートを発表しました。今回のSAPPHIREでは、AWS上のSAP Cloud PlatformがGA(一般提供開始)となり、Azureはベータとなりました。GCP上のSAP Cloud Platformは現在ショーケースの段階ですが、最終的にはこの大手3社にすべて対応します。  われわれは「マルチクラウドへの対応」という方針を打ち出しています。これはオラクル、IBMなどが自社のクラウドをプッシュする中で、大きな差別化ポイントとなるでしょう。顧客は、自社のワークロードをどのクラウドで実装するのかを選択できます。これはエンタープライズベンダーではわれわれだけです。  また、マルチクラウドを利用できるため、顧客は自社ワークロードと一緒に実装できます。たとえばSAP Cloud Platformベースのソリューションと「Office 365」とをシームレスに使いたい場合は、Azure上で一緒に実装すれば、エンドユーザーはシングルサインオンでアクセスできます。  SAP Cloud PlatformはCloud Foundryの認定を受けており、Cloud Foundryで動作確認されているソリューションはすべて動きます。アプリケーション開発パートナーは、一度開発すればそれをSAPだけでなく、Pivotal、IBMといったほかのCloud Foundryベースのクラウドにもデプロイできるわけです。 ――SAPがデータセンターを所有する必要はあるのでしょうか? ゲルケ氏:欧州におけるデータ/プライバシー規制保護などさまざまな理由から、SAPのデータセンターソリューションを利用したいという企業は多くあります。今後も需要はあるでしょう。利用シナリオやワークロードにもよりますが、顧客は一部のデータとプロセスでマルチクラウドを利用し、グローバルのスケーラビリティと同時に柔軟性を得ることができます。これは、顧客もわれわれも得リットを得られる方法で、正しいアプローチだと信じています。  AWS、マイクロソフト、グーグルといった、インフラに大きな投資を行っているクラウド事業者で、SAPと共に実装できることを望む顧客がいます。一方で、SAPによるコロケーションのメリットを感じる顧客もいます。SAPはその両方を提供できます。  日本では東京にデータセンターがあります。われわれのマネージドクラウド「HANA Enterprise Cloud」向けに開設し、Business Suite、Business Warehouseなどのソリューションを動かす(マネージド型の)プライベートクラウドを提供してきました。そして2016年12月からは、SAP Cloud Platformの提供も開始しています。このPaaSの稼働率は99.9%を誇り、耐震性など日本のニーズを満たします。すでに顧客の利用は始まっており、2017年後半には大阪にも開設予定です。 シーメンス×SAPのような業界特化型アプローチを推進 ――SAP Cloud Platformの現状は? 導入事例を教えてください。 ゲルケ氏:SAP Cloud Platformは1年半前に正式提供を開始し、年3桁で成長するなど成功しています。現在は約6500社の顧客が利用しており、拡張ソリューションを作成するパートナー企業は650社を数えます。開発した拡張機能は、マーケットプレイス「SAP App Center」で提供できます。顧客は簡単に試し、実装することができます。サブスクリプション形式で購入でき、決済も簡単に行うことができます。  SAPはパートナーエコシステムの支援をさらに強化していきます。業界特化型の拡張が増えることで、プラットフォームのリーチをさらに拡大していきます。  用途はいくつかありますが、多いのは、S/4 HANA、SucessFactorsなどを導入済みの顧客が、SAP Cloud Platformを利用して機能を拡張するという利用方法です。新しいユーザー体験、モバイルからのアクセス、社員が内部の機能にセルフサービスでアクセスできるようにするなどソリューションが開発されています。  たとえばスワロフスキー(Swarovski)では、SAP Cloud Platformを利用して、日本の顧客向けにロイヤリティプログラムのアプリを構築しています。このシステムはERPと接続されており、どんな製品を購入したのかなどの情報がわかるようになっています。  また、よくあるのは、小さくスタートして拡大していくケースです。まずFiori UI for Mobileを使ってアプリを作り、せっかくならAPIを使って、さらにはAPI上にアナリティクスものせ、その上に機械学習アルゴリズムも、と拡大していくことができます。SAP Cloud Platformは、1つの領域からスタートして簡単に拡張できるからです。  シーメンス(Siemens)では、自社IoTプラットフォーム「Mindsphere」の土台としてSAP Cloud Platformを利用しています。同社のデジタルファクトリー事業部では、すべてのマシンにセンサー「MindConnect」を装着して出荷しており、これがSAP Cloud Platform/Mindsphereに接続してセンサーデータを送ります。Siemensはそのプラットフォーム上にアナリティクス、学習機能を追加しており、予測的なアプリケーションを提供しています。顧客側にあるマシンの故障予測などができるので、メンテナンスの効率化や、顧客サービス/サポートの改善が実現しました。  シーメンスとの提携ですばらしいのは、シーメンスだけではなく、同社の巨大なパートナーエコシステムがあるという点です。エンジニアリングパートナーにもMindconnectボックスを提供し、パートナーが自社のデバイスに装着して、SAP Cloud Platform/Mindsphereのプラットフォーム上でソリューションが開発できるのです。  このように、SAP Cloud Platformはプラットフォームであり、顧客はこれを利用して自社のエコシステムを持ち込むことができます。シーメンスのパートナーは、SAPよりもシーメンスのエコシステムに近い存在ですから、われわれSAPが直接リーチすることは困難でした。しかし、シーメンスがSAP Cloud Platformベースのプラットフォームを採用したことで、SAPを利用するユーザーが増えます。このように、SAP Cloud Platformでは業界特化型のパートナーエコシステムを引き寄せることができます。製造以外でも、保険、メディア、ヘルスケアなど、さまざまな産業が、シーメンスと同様のプラットフォームアプローチを展開できます。  われわれがソフトウェアを提供し、企業が業界のナレッジとエコシステムを提供する――これは、最高の組み合わせと言えるでしょう。 ■関連サイト SAP

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