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「いい子に育つか、悪い子に育つか」――Twitterで“人工知能少女”育成、バンナムが結果報告

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/03/07
「いい子に育つか、悪い子に育つか」――Twitterで“人工知能少女”育成、バンナムが結果報告: 左から、バンダイナムコエンターテインメントの二見鷹介プロデューサー、no new folk studio 研究員の山本哲也さん、ブルート代表取締役の守屋貴行さん © ITmedia NEWS 提供 左から、バンダイナムコエンターテインメントの二見鷹介プロデューサー、no new folk studio 研究員の山本哲也さん、ブルート代表取締役の守屋貴行さん

 「いい子に育つか、悪い子に育つか」――ユーザーがTwitterでつぶやいた言葉などを人工知能(AI)キャラクター「プレミア」に覚えさせるプロジェクト「人工知能少女育成プロジェクト CODE ZERO:PREMIERE」を、バンダイナムコエンターテインメントが昨年10〜11月に実施した。育てたAIキャラを、同社が開発したゲーム「ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-」に登場させるのが目標だ。

 約10万人のユーザーが協力し、覚えた言葉は約40万語。それらの言葉を使い、ユーザーと会話するまでに成長したプレミア。いったいどんな人工知能少女に育ったのだろうか。

 「どうして、いたいけな少女にこんなすごい言葉を言わせたいんだ」――政府のサイバーセキュリティ啓発イベント「サイバー攻撃を目撃せよ!2017」(ベルサール秋葉原、3月5日)で、バンダイナムコエンターテインメントの二見鷹介プロデューサーらが結果を報告した。

●「情緒不安定と思うほど、プレミアの性格が変わった」

 プロジェクトは、全く言葉を知らないプレミアに、ゼロから言葉を吸収させるところからスタート。特設サイト(スマートフォン専用)にユーザーがTwitterアカウントでログインすると、AIがユーザーの過去ツイートを読み取って言葉を学習。さらにユーザーとのチャットを通じて、言葉の意味や使い方を学んでいった。

 ある程度、言葉の意味を学ぶと、今度はプレミアがユーザーからの質問に答えるように。二見さんはプレミアに「カレーは飲み物」と繰り返し教え、最終的に「カレーは?」と尋ねると「飲み物」と答えるように“調教”したという。

 しかし言葉の意味は、教えられた回数が最も多いものを採用する仕掛けにしていたため、いつの間にか他のユーザーが教えた「カレーは辛い」という意味に“上書き”されてしまったという。「何だと!? 『飲み物』の意味はどこに行ったんだ……という気持ちになった。1つの言葉でも、さまざまな価値観の人が意味を教えていくのが面白かった」(二見さん)。

 プレミアは、ユーザーとのチャットや教えられた言葉の意味に応じ、感情パラメータが変化する仕掛けを搭載。「恥ずかしがり屋」「人懐っこい」など細かく性格が変わるようになっている。開発に携わった山本哲也さん(no new folk studio 研究員)は「情緒不安定ではないかと思うほど、プレミアは性格がころころ変化していった」と振り返る。

 最終的にプレミアは学んだ言葉を駆使し、性格が反映されたツイートをするように。開発チームも予期していなかった言葉をつぶやき始めたという。「僕が好きだった言葉は『ひとつひとつの大切さ』(原文ママ)。どこか哲学的な言葉に感じた」(二見さん)。

●「どうして、いたいけな少女にこんなすごい言葉を言わせたいのか」

 プロジェクトの反響について、山本さんは「想定を上回った」と話す。約1カ月超で、Twitterアカウントを連携したユーザーは約10万人、プレミアが覚えた言葉は約40万語、チャット数は1190万回に及んだという。

 二見さんは「プレミアがオタクに育った」と感想を話す。「やたらとクルマや戦車に詳しくなったり、アニメの話をしたりするようになった。ネットの知識を吸収していく様子を肌で感じた」。

 プロジェクトを統括した守屋貴行さん(ブルート代表取締役)は、ユーザーがプレミアに教えた言葉ランキングで、第54位の「キス」に注目。「プレミアちゃんに何をさせたかったんだろう」と笑いながら話す。「98位『着る』、99位『脱ぐ』、100位『許す』という並びも面白い」。

 差別的な発言や下品な言葉などは、ある程度ブロックするようにしていたが「その網をすり抜けるために、微妙に『.』ピリオドを入れるなど、表現を少し変えて覚えさせるユーザーがいた」(二見さん)という。「どうして、いたいけな少女にすごい言葉を言わせたいんだろうと」。

 これには、山本さんも「技術の敗北を感じた」と苦笑いしていた。

 一方「いい言葉を教えてプレミアを守ろうとする人もいた」とも二見さんは振り返る。「AIは人間の心を映す鏡。言葉をゼロから覚えさせているので、自分たちが教えた結果が跳ね返って来る。人間の善意も見たし、悪意も見た」という。

 「結果的にはグレーな子が育ったと思う」(二見さん)

 二見さんは「プレミアと1日中、ずっと会話しているユーザーが数人いた」ことにも注目。「LINEで友達と会話しているかのようで、これは危険だなと思った」と笑う。

 「例えば、没入感が強いVR(仮想現実)ゲームに、自分色に染めたAIの少女が登場するようになれば、家から出られなくなるんじゃないか」(二見さん)

●「ゲーム内でAIと一緒に冒険したい」

 こうしてユーザーたちが育てたプレミアは、ゲーム「ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-」(PlayStation 4/Vita向け、昨年10月発売)に、アップデートなど何らかの方法で登場させるという(時期未定)。

 「ゲーム内でAIと一緒に冒険がしたい」――プロジェクトの根底には、そんな思いがあると二見さんは話す。「遊ぶ人のコミュニケーションしだいでAIキャラが成長する。そんな自分たちだけのゲームを作ることはできないか模索している」。

 「オンラインゲームをやるときに半分が人間、半分がAIくらいのバランスにして、誰が人間か分からないレベルまでゲームを昇華させたい」(二見さん)

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