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「えんとつ町のプペル」Amazonで1位に 無料公開で宣伝効果 「クリエイターの対価問題は別の話」 西野さん、批判に反論

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/01/20
「えんとつ町のプペル」Amazonで1位に 無料公開で宣伝効果 「クリエイターの対価問題は別の話」 西野さん、批判に反論: 西野さんのブログより © ITmedia ニュース 提供 西野さんのブログより

 「僕らは無料公開が損失だとは考えていません」――お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが、自らが手掛け、23万部を突破した絵本「えんとつ町のプペル」(幻冬社・税別2000円)を1月19日、全ページWebで無料公開し、同日、Amazon.co.jpの書籍総合ランキング1位を獲得した。

 西野さんは1位獲得をブログで報告し、「人気作品を無料公開すると、クリエイターにお金が回らなくなる」などの批判にも反論。クラウドファンディングなどネットを使って「信用を換金できる」仕組みが広がる中、人を信用し、自ら与えていくことで、人がお金に支配されない未来につながると改めて訴えている。

 書籍の電子版無料公開が宣伝効果を挙げ、紙の本や関連コンテンツの売り上げがアップする例は、2010年から無料公開されている漫画「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰さん作)などこれまでにも多数あり、書籍のマーケティング手法として一般化しつつある。ただ、既に絶版した古い作品だったり、無料公開期間や数量を限定するケースが多く、発売から間もないヒット中の絵本を全ページ無期限で無料公開する例は珍しい。

●無料なのに売り上げアップ 「人は確認作業にお金を払う」

 えんとつ町のプペルは、西野さんが監督・脚本を務め、33人のクリエイターとともに作った絵本で、昨年10月に発売。テレビなどで話題になり、23万部を突破するベストセラーになった。

 西野さんは19日、バズメディア「Spotlight」で全ページを無料公開。同日付けのブログ記事「お金の奴隷解放宣言。」で、「2000円は高くて買えない」という小学生からの声を受け、「お金ではなく『恩』を贈り合う時代に向かったほうが面白い」と考えて無料公開を決めたと説明していた。

 20日付けのブログで西野さんは、同書がAmazonと楽天ブックスの書籍総合ランキングで1位を獲得したことを報告。無料公開でかえって売り上げが上がった理由について、「人は確認作業で動く」という心理があると指摘した。既に知っている世界の名所を自らの目で確認するためお金をかけてわざわざ旅行することを例に挙げ「《入り口を無料化する=価値を下げる》ではない」という分析だ。

●「クリエイターの対価問題」に反論

 一方で、西野さん自身もお金をもらわないと回らない仕事を多数抱えており、「僕は『すべてのモノを無料化しろ!』とは1ミリも思っていない」とも。ただ絵本は「お金を払いたい人は本を買い、無料で読みたい人はネットで無料で読めるモノになれるかもと思った」という。「無料で提供したところで価値は下がらないし、たくさんの人に知られてさえいれば、マネタイズは後からいくらでもできる」ためだ。

 今回、本の制作スタッフには「最初の段階でお給料を全額お支払いしている」と説明。「今回の無料化で売り上げが止まったとしたら、ダメージがあるのは本の印税が給料になっている僕と出版社」だが、出版社からは無料公開の許可を得ており、担当編集者も、中心となって参加したイラストレーターの六七質さんも、無料公開を歓迎するツイートを投稿していると述べた。

 人気書籍を無料公開すると、「人気作品が無料ならそれより無名な作品にお金が回らなくなり、作り手に収益が回らない」などの批判も多数あったが、「そこを同列に語り出したら、有名アーティストがYouTubeにPVをアップした時点でアウトじゃないか」と指摘。無料公開でまず知ってもらい、有料のライブに足を運んでもらう音楽ビジネスを例に挙げる。

●「お金が人を支配する」時代に終焉を

 「僕たちは『お金』の正体について、今一度考えなければならない」とも。西野さんはお金について「信用を数値化したもの」と定義。クラウドファンディングやオンラインサロンなど、ネットを通じて「信用をお金化する為の装置が揃ってきている」ため、「困った人を助けたらいつか自分に返って来る」という言い伝えが真実味を増していると分析。信用を“貯蓄”してお金に替えることもできるし、ただ与え続けることで信用を貯め続けることもできると指摘する。

 「労働の対価=お金」が正義ととらえられ、「お金が人間を支配してしてしまっている」ことを疑問視。労働の対価としてお金をもらうか、もらわずに信頼を貯めておくかを人が主体的に決められる、「《人間がお金を使う未来》が来てもいいんじゃないかなぁと今回強く思った」という。

 「2017年。僕らはもっと人を信用していい。自分から与えていっていい」「人が人を信用するときに、必ずしもお金が必要だろうか?」「時に裏切られることがあるかもしれないけれど、まずはコッチから信用しないことには始まらない」と訴えかけている。

 ある小学生とのエピソードも明かした。昨年開いた個展「えんとつ町のプペル展」(クラウドファンディングで調達した資金で入場無料)の会場に現れたある小学生が「本を買いたいけれど、今、お金が無くて」とつぶやいたところ、その場にいた大人が、そばにあった「クソおみくじ」(所有者は西野さん、1回100円)の賽銭箱に次々にお金を入れ、賽銭を間接的に小学生に渡す形でカンパ。その子は大人に何度も頭を下げ、2週間後、お小遣いを貯めて買った駄菓子の詰め合わせをプレゼントしに来てくれ、「泣きそうになった」という。

●お詫びと訂正:1月23日午前9時半

初出時、最終段の小学生のエピソードについて「今回の無料公開のきっかけになった」としておりましたが、無料公開のきっかけと当該エピソードは別との指摘を受け修正しました。

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