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「くも膜下出血」の治療と予防法

All About のロゴ All About 2017/09/22

毎年約1万4千人もの命を奪う「くも膜下出血」の治療と予防について、わかりやすく解説します。 © AllAboutMedical 提供 毎年約1万4千人もの命を奪う「くも膜下出血」の治療と予防について、わかりやすく解説します。

くも膜下出血の治療

医学が発達した現代においても治療の難易度が高い、くも膜下出血。私たち脳神経外科医は、患者さんのために全力をつくして集中的な治療を行っています。このくも膜下出血の治療法について、具体的にわかりやすく解説します。

くも膜下出血という病気が起きた場合、「再出血の予防」と「脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)の予防」という2つの治療を同時に行わなければなりません。以下で順に解説しましょう。

くも膜下出血の再出血予防

くも膜下出血の8割以上は動脈瘤の破裂が原因。出血しやすい動脈瘤を破裂しないようにする手術が必要になります。手術には「クリッピング術」と「コイル塞栓術」の2つがあります。

■クリッピング術

頭蓋骨を開けて行う「開頭術」という手術で、全身麻酔下で行います。チタン性の洗濯バサミのような医療器械で、破裂する危険のある動脈瘤を直接挟み込み、出血しないように処置する方法。

従来型の治療で、ほぼ100%、再出血を予防することができる、確実な治療法です。頭に傷口がのこりますが、髪の毛で隠せる位置に傷口をつくりますので、傷が目立つことはほとんどありません。

■コイル塞栓術(こいるそくせんじゅつ)

近年発達した治療方法で、開頭術で行うクリッピング法と違い、頭蓋骨を開けずに行います。

「カテーテル」という医療器械を用いて、動脈瘤内にコイルを詰め込み、破裂を予防します。大抵は、右股関節からカテーテルを挿入して処置するので、クリッピング術よりも傷口が小さくてすみます。

しかし、コイルでしっかりと詰めたのにもかかわらず、再度、動脈瘤に血流が流れ込んでしまい、再手術が必要になる事がときにあります。

くも膜下出血の入院期間・手術費用

くも膜下出血の入院期間は、極めて順調に行って2週間程度、平均すると3~4週間です。後遺障害によっては、リハビリテーションが必要になり、2~3カ月という長期入院が必要になることも。

クリッピング術、コイル塞栓術ともに、保険医療の対象ですので、3割負担ですみます。また、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度がありますので、病院の医療ソーシャルワーカーに相談してください。

クリッピング術、コイル塞栓術の治療は、どちらの治療も一長一短があるので、脳神経外科専門医の診察が必ず必要です。動脈瘤の大きさ、手術をする場所によって、クリッピング術とコイル塞栓術を使い分けて治療をします。

くも膜下出血の脳血管攣縮予防

くも膜下出血が起きると、約2週間ほど脳血管が縮みやすい状態になってしまいます。このことを「脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)」と呼びます。この時期は、血管が細くなり、詰まりやすくなるので、脳梗塞と同じような病状になりやすいのです。

だから、血管を詰まらせないためにも、血圧をすこし上昇させたり、身体の水分が足りなくならないように点滴治療をしたりする治療が中心になります。手術が成功しても、この時期の治療の成否が社会復帰に大きな影響を与えます。

その後も、約2週間にわたり長期的なベッドでの治療が続きます。なるべく早くリハビリテーションを行って、筋力を維持したり、体力をつけるために栄養状態を改善する必要があります。

くも膜下出血の予防

くも膜下出血の大多数は、脳動脈瘤によるもの。脳ドックをして脳動脈瘤がなければ、くも膜下出血になることは一部の例外をのぞいてありえません。逆に言うと、脳ドックの目的は「くも膜下出血になりやすい脳動脈瘤を発見すること」なのです。

くも膜下出血の原因となりうる脳動脈瘤が、検査で見つかった場合はどうするか。実のところ、脳動脈瘤の破裂率というのは思ったより少なく、年間0.5~1%程度と言われています。

動脈瘤が大きい場合(おおむね5mm以上)、動脈瘤がいびつな形をしている場合、くも膜下出血の家族歴などがある場合は、破裂率があがるので、手術治療による脳動脈瘤の処置を行い、くも膜下出血を予防することが必要になることが多いと言われています。とくに、タバコと破裂率には因果関係があるといわれているので、今すぐにでも禁煙してください。

くも膜下出血になる前に動脈瘤を処置する場合の入院期間は、クリッピング術、コイル塞栓術のどちらも、おおよそ7~10日間程度です。退院後は、すぐに仕事復帰をしてもかまいません。

動脈瘤が見つかった場合、当たり前なのですが、気になって過剰に不安に襲われることがあります。その結果、鬱っぽくなり、眠れない、めまいがしてふらふらする、何も手につかないなど、さまざまな症状が出ることもあるので、主治医から精神安定剤を少量処方してもらいストレスを減らすことが良いでしょう。

ですから、動脈瘤について自分で悩み抜くよりもすぐに脳神経外科専門医を受診し、手術をした方が良いのか、それとも定期的な検査で良いのかを判断してもらうようにしましょう。

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