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「クラウドファンディングで日本一に」──社員わずか20人、和歌山発・乗り物ベンチャーの挑戦

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/09/17
「クラウドファンディングで日本一に」──社員わずか20人、和歌山発・乗り物ベンチャーの挑戦: 画像:ITmedia © ITmedia NEWS 提供 画像:ITmedia

 アイデアや技術を持つ人がWebサイトなどを通じて賛同者を集め、製品化やプロジェクト実行の資金を集める「クラウドファンディング」の世界。2017年に入ってから、資金調達額で日本記録を樹立したプロダクトが登場した。

 自動車用品の企画・製造を手掛けるファイントレーディングジャパン(和歌山県和歌山市、現glafit)は5月30日、クラウドファンディングサイト「Makuake」で、自転車と電動バイクを組み合わせた「glafitバイク・GFR-01」の先行販売をスタート。Makuake史上最速となるわずか3時間で、目標金額300万円の調達を達成した。

 さらに開始から約2カ月半が経過した8月30日時点には、総額で1億2800万円を突破。ソニーのスマートウォッチ「wena wrist」(資金調達額1億円超)を抜き、日本のクラウドファンディング史上、最も資金を集めたプロダクトになっている。

 カー用品大手「スーパーオートバックス」での取り扱いも決定したglafitバイク・GFR-01を手掛けた同社は、乗り物に関する事業を15年以上続けてきた実績を持っているが、決して大企業というわけではない。そんな地方の企業がクラウドファンディングで大成功を収めた秘訣(ひけつ)とは──。

 この連載では、同社の鳴海禎造社長自身に、実体験を通じたクラウドファンディングの“いろは”を語っていただく。

●「元クルマ屋→現クルマのパーツ屋さん」がなぜ電動バイクを作ったのか

 こんにちは、鳴海禎造(なるみ ていぞう)です。乗り物を手掛けるglafit(グラフィット)のほか、複数のベンチャーで役員をやっています。

 ボクは22歳(2003年)のときに自動車販売・修理ショップを創業して以来、自動車輸出入業、パーツ販売などに手を出し、中国や香港に現地法人の設立、生産工場への投資、管理など、“今どきのベンチャーっぽい”さまざまなビジネスを手掛けてきました。

 ほとんどが自動車に関わるビジネスなので、自分のことを「クルマばかのクルマ屋です」と紹介しています。ボクがどうしてクルマばかになったか、ということにはそれなりの歴史があるのですが、それはまた別の機会に。

 今回は「クルマ屋がなぜ電動バイクを作ったか」なのですが……。

 ある社員のせいです。

 これまでクルマや関連商品を売ったり買ったりの商売をしつつも、「いつかは自分で何かを作るメーカーになりたい。作るなら小型電気自動車がいいな」とずっと考えていました。

 そして2年ほど前、バイク好きの社員が「作るなら電動バイクはどうでしょうか?」と言い出しました。ボクはクルマ派なので正直「えええー……」と思ったのですが、“電動”というところにフォーカスしたら面白いなと考え、彼の提案で進めてみようということに。

 中国や香港でも会社をやっていたので現地にもよく行きましたが、そういえばあちらは電動バイクが結構走っています。電動バイクの普及に関して日本は遅れているのです。そこで「よし、市場にまだないなら作る価値があるぞ!」と考えたわけです。

●日本で電動バイクが受け入れられるのか?

 一番の問題は、日本で電動バイクが受け入れられるかどうかでした。ビジネスとしてやっていく以上、作ってしまった後で「やっぱり日本には向かなかった……」なんてことになったら「ドンマイ! 次、頑張ろうぜ!」では済まされません。

 ボクの会社は当時、社員が10人の小さい会社だったので(今でも20人程度ですが……)、チャレンジするのはいいけど、下手したらつぶれてしまう危険性もあったわけです。社員はたった10人かもしれないけど、その社員には家があって家族がいて、守るべきモノはたくさんあります。ボクは独り身で身軽だからいいけど、だからといってボクの賭けに付き合ってもらうことはできません。

 エゴではなく、本当に世の中に必要とされているモノを作らなければ、と、ここは久々のド真剣モードで考えました(あ、仕事はいつも真剣ですよ)。

 「『これがいい、これしかない』と思っているのは自分だけでしたー、ちゃんちゃん」なんてことにならないように「どういうモノだったら、みんな乗りたいと思ってくれるかなぁ」ということを第一に考えたわけです。

 その結果、日本人の生活シーンには「人力と電動のハイブリッド」がベストであるという答えに行き着きました。でも、本当にそうなのでしょうか?

●クラウドファンディングという選択

 その答えを導き出すには、クラウドファンディングを使うべきではないかと思い付きました。仕組みについては以前からよく知っていました。地元のお祭りやライブイベントの集客で個人的に何度か利用したことがあったので、その経験からひらめいたのです。「テストマーケティングに最適な方法じゃないか、コレ」と。

 クラウドファンディングは、その内容に「いいね!」と思った人たちが内容に賛同して寄付するという仕組みなので、ボクたちの電動バイクが「いいねと言ってもらえる=受け入れられている」ということになるのではないかと。そもそも、Web上で詳しく紹介したものにいいねと言ってもらえなかったら、普通に店頭販売をしたところで、売れっこないと考えました。

 「このテストマーケティングにかけてみよう!」と、ボクはクラウドファンディングを使った方法を思い付いてから1年かけて企画を練りに練りました。目標はシンプルでストレートです。

 見た人に、いかに「いいね!」と言ってもらえるか、だけですから。

 とにかくこの1年の間は、自分でもたくさん考えましたが、いろいろな方から意見を伺うこともしました。もちろん自動車業界、バイク業界の関係者からもです。

 しかし、気持ちのいいくらいみんなが口をそろえて「電動バイクなんて、日本でうまくいくわけがない」と言うのです。理由を聞けば、声をそろえて「うまくいった前例がないから」と。

 ボクは変態なのでしょうか。このダメ出しが、すごくうれしかったのです。だってダメな理由が「前例がない」だけだったら。「前例を作れば成功する」ということになりませんか。これほどやりやすいことはない、この企画は「100%行ける」と確信しました。

 そして、突入したのです、クラウドファンディングの挑戦に。

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